神と決着
60話番外が難産過ぎたぞ、このヤロー!?
久しぶりの投稿。
次回作の設定が大体固まってきた。
シナリオも着々考え中。
その前にこれを完結させないと。
長編は初めてだったので設定を行き当たりばったりで始めたら愚作になったので同じ失敗はしない。
それはそうと…戦闘シーン難しすぎだ、このヤロー!
グラムの言葉と同時に鍾乳石の影から飛び出す無数の影。
それはクロトスが見慣れた者だった。
グラム。
それもいつもの少女の姿でなぜがウェイトレスの格好だ。
それはグラムが影で作った影のグラム。
そのため色は少々黒ずんでおり、クロトスが振り落とす昆が当たると霧散する。
しかし、それが無数に出現するので徐々にクロトスの体力を削っていく。
「目障りだっ!」
再びクロトスは昆を地に突き刺した。
しかし、先ほどとは違う結果だ。
突き刺した地から生み出されたのは石柱。
凄まじい勢いで飛び出す石柱は影のグラムを突き砕き、舞い上がった粉塵で再び辺りを覆う。
そして、先ほどと違うのが一点。
一瞬、互いの姿が粉塵で見えなくなるがすぐに接近し、互いの獲物が交差した。
「防戦一方ではないか。たまには打って出てはどうだ?」
そう言って交差する剣にさらに力を込めるグラム。
初めて己の主と対等以上に戦えたグラム。
その歓喜、それが一瞬だけの隙となった。
「それではお言葉に甘える……ぞっ!!」
ズドンッと激しい音。
グラムが自分の腹部を見ると地から突き出された石柱。
その衝撃は全身に広がり…
「これもだとっ!?」
その偽りの体を霧散させた。
「影はあの姿のみとは言ってないぞ」
そう言ってクロトスの背後から振り下ろした斬撃。
そして、グラムの手に剣で何かを切り裂いた確かな手ごたえを感じた。
しかし、その感触にグラムは顔を青ざめた。
迸る赤い血しぶき。
その尋常じゃない量と転がり落ちた何か。
足元に転がっているのは見覚えのありすぎる人の腕、その持ち主の腕があるべき場所、その切断面から止めどなく流れおちる赤い液体。
崩れ落ちるクロトスの体をグラムは慌てて支えた。
「主っ!!」
急激な成長による感覚の差異。
腕の長さ、間合い、身体能力…。
いつもと異なる一つ一つの要因が重なり、クロトスの実力を知っているからこそ防いでくれるという信頼。
それが招いた事故である。
グラムは自身の主を横にし、傷口を見る。
その状態に苦虫を潰したような顔を浮かべ、自身の服の一部を引きちぎる。
それを傷口に当てようとした所、クロトスの体を突き破って飛び出した石柱に吹き飛ばされた。
体がバラバラになるような衝撃。
視界の隅に入った己の主の体はバラバラとなり、『霧散』した。
そして、自身が吹き飛ばされた先には無傷の堂々と立ち尽くす己の主がいた。
その表情は笑顔…というには少々黒い笑みだ。
その横にある物は自身の能力で創造されたのであろう物。
それは5m程の大きさのゴーレムがバットをブンブンっと素振りをしていた。
そして、構えるゴーレム。
自身が飛んでいくのはゴーレムのストライクゾーンど真ん中。
グラムは意識が消えゆく直前に思った。
結局、我は主に届かぬかーーー
最後は遊ばれた形にはなったがそれでも自身の持てる力を出し尽くせた事に満足した。