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神と剣と…

次回から戦闘。

強さのバランスが難しい。

今回は56話で現在は61話(番外60話未定)まで完成。

ストック充分ですので手直しと次回作を執筆予定。

短編も投稿したのですが…失敗かな。

よかったら感想お願いします

噛み締める唇が痛い。

爪ガ食イ込ムホドニ握リシメタ拳ガ痛イ

デモ、ココロ二イチバンノイタミヲカンジル。


「この世界と心中する気はないよ。ただ…」


それしか選択肢が無い事は解るが心が納得いかない。

頭では理解しようとしても、心が悲鳴を、悲しみを、拒絶を叫ぶ。


『嫌だ』

『いやだ』

『イヤダ』


何度も何度も悲鳴を、絶叫を叫びながら身を食い破ろうと暴れるように痛い。


「そこで報酬の件だが」


突然、グラムがそのような事を言い出した。

クロトスはなぜか、その言葉が頭の中にすんなりと入り込み、心が落ち着いた。

ストンッと憑き物が落ちたかのような感じだ。

グラムの言葉に先ほどまでの悲壮感がまるでなかったかのように返事を返す。


「ああ、そう言えばそんな事を言ってたな」


ここに来る途中でそのような話をしていた記憶もクロトスは持っていた。


「まぁ、手遅れになる前に解ったんだ。それなりの物を用意はしよう。神王特製スペシャルパスタでいいか?」


この世界の食材をさらに厳選して、拘りに拘ったクロトスの最高傑作と言っていい程の一皿。

個人的に親しい人ぐらいしかその存在を知らず、準備に数日かかる特別なものである。

ちなみに一緒に出されるスープと自家製パンもこのパスタに並ぶ最高のものである。

王女であるティニアでさえ、今まで食べた中で一番おいしいと絶賛するほどである。

神王の知識、力に加え、この世界に来たお陰で仕事から解放されたお陰で信じられないほど無駄に空いた時間。

それを全て自分の好きな事に費やせるという幸福感から有名店に土下座してまで頼み込んで教えてもらい、不眠不休で試作するというハイテンション。

これらが無ければ生まれることの無かった代物である。

それを知ったウリエルは神王がこの人でいいのかどうか真剣に悩んだほどである


「地味にせこくは無いか?いや、それも捨てがたいが…いや、それも悪くは…いやいや、それではここに来た意味が…」


なにやら真剣に悩みだしたグラム。

ここに来たもう一つの目的とパスタ。

天秤がグラグラと揺れるほどに心も揺れ動く。

そのまま頭を抱え、数分ほど座り込むほど悩むが結論が出たのか立ち上がってクロトスに顔を向ける。


「いや、やはり我が所望するのは主だ!」

「…プロポーズ?」


傍から見ればまさにそうだろう。

クロトスの言葉にしばし時が止まった。

遠くで地下水が染み出しているのか水滴が滴る音が2人の間に虚しく響いた。

グラムが頭の中で自分が言った言葉を反芻すると顔を真っ赤にして慌てた。


「ばっ!?ちっ、違うぞ!そうでは無くて…主と手合わせを所望するというのだ!」

「はっ?」


呆気に取られるクロトスにグラムは畳みかける様に早口で喋る。


「前にウリエル殿と手合わせしただろう?あれからどうも疼いてな!」


ワタワタと慌てふためきながらも目は真剣であった。

そして、コホンっと咳払いをするとグラムはクロトスの目を見つめる。


「久しぶりに全力で戦いたいと思ったのだ」


射抜くような真っ直ぐな視線。

言葉よりも目が多くを語る。

その真剣な願いを。


「…お前は剣としては最高峰だがその形態での自身による戦闘は不得手だろう?」


グラムは元々は剣である。

若い頃にオーディンが手に入れたが使いこなせずにとある世界に封印して保管していた。

しかし、その世界の住人がなぜか封印を解き、完璧に使いこなせてはいないがオーディンよりはその力を発揮できる才能を持っていたために様々な騒乱を起こす。

それが様々な世界を渡り、神王の手に渡った事でその神王の力で今の姿を得た。

その形態の歴史はもちろん浅く、やっと戦闘できるといった程度にしか使いこなせていない。

しかし、グラムは薄い笑みを浮かべたと思うとその体が黒いの影に覆われた。

包み込む影はグラムを覆い、時折、蠢く紅い光のようなものが不気味に浮かび上がる。

そこから徐々に浮かび上がるは影よりさらに深い黒い色をした漆黒の剣。

星脈の淡い命の輝きに浮かぶ闇のような色合い。

生命の光と死の権化とも言われた剣。

浮かび上がるのは星脈が糸の様に複雑に絡み合った箇所。

グラムが立っていた処にその箇所があったのだが重力に引かれるようにその剣が地面に突き刺さった。

そこから源泉のように噴き出す星の命のエネルギー。

それに包まれる魔剣はそのエネルギーを吸収、いや、喰らうようにそのエネルギーを自分の物にしていく。

そして、その噴き出したエネルギーが徐々に収まると同時に輝きが増していく魔剣。

今まで死を内包していた魔剣は命を取り込み、魔剣にしては輝かしく、聖剣としては禍々しい狭間の剣と変貌を遂げる。

言うなれば神剣となったグラムは再び、人間の形態に姿を戻した。

それはいつものグラムとは違う姿。

背はクロトスの胸ほどだった背が170センチとかなりの高身長となり、スラリとしたスタイルでかなりの美女になっていた。

特徴的なガラスのような白銀の髪はショートカットで肩まで揃えられていた。

それはグラムが人間の形態で成長したらなるであろう姿だった。

呆気に取られるクロトスにさも可笑しそうに口元に手をやり、笑うグラム。

それはいつもより大人っぽかった。


「これでもか?」


妖美な大人の色気が出たグラムの声はそのまま声にもその特徴が出ていた。

その声を聞いたクロトスは正気に戻り、吠えた。


「それは卑怯じゃないか!?」


星の力を得たグラム。

それはドーピングに近いが副作用など無い。

例えるなら戦闘中の数匹のスライムが集まりだしたかと思うと合体してキングスライム…を通り越して魔王(最終形態)になったかのような理不尽さだった。

こんな方法でのレベルアップなどグラムだからこそでき、こんな幾つもの偶然が重なった奇跡があったからこそ可能な…と頭の中で色々な事が廻るがグラムは片手にグラム自身を模した剣を生み出し、構えた。


「ちょっと星脈の力を一時的に借りただけだ。後できちんと返す。そんなことより参るぞっ!!」

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