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神だってするときはするんです

最近ふっと思う。

日本人って働きすぎだよね。

朝8時前に出勤、帰宅が夜10時。

これが日常になってきた私って…{泣}

これでも改善されたんですよ。

異動前は職場で日を越すのが当たり前でした{号泣}。

本当に久しぶりの投稿です。

いつの間にか40万アクセスですね。

番外はどうしようかな?

その前に手直ししたいです

ティニア達が喫茶店に入ると喫茶店内の椅子やテーブルはどこにも見渡らず、床にはホウキが転がっていた。

喫茶店内の椅子やテーブルが無くなるだけでずいぶんと広く感じた3人。

ウリエルがカウンターテーブルに近づき、すっとテーブルを指でなぞった。

なぞった指の腹をじっと見る姿にエルが内心、小姑みたいっと考えた所、ヒヤッと背筋が凍るような悪寒が走った。

身の危険を感じて、スパッと反射的にティニアの後ろに隠れるエル。

ネコに怯えるネズミのような様子を本当であれば、メイドが王女の後ろに隠れるという行為を叱責しなければならないティニア。

しかし、苦笑してエルの頭を優しく撫でるだけに留めた。

…決して、今もこちらをジッと見つめる人の目が怖いのは自分も同じだからというわけでは無いっと心の中で自分に言い聞かせるティニア。

ウリエルは何事もなかったかのように視線を逸らし、訝しげに今も床を磨き続けるクロトスに向けた。


「どういう気まぐれ?貴方が私のいない間に大掃除を始めるなんて」


ウリエルでさえ、掃除をしているクロトスなんていう光景は初めて見たのだ。

もちろん、クロトスだって机の上程度の掃除ぐらいはする。

しかし、神界にいた頃は部屋等の掃除は部下か世話係が行っていた。

この喫茶店の清掃もウリエル達が行っており、ウリエル達が来る前はたまに来るリン、エル達がやってくれていた。

基本的に好きな事以外ではめんどくさい事は嫌いなクロトス。

そもそも、ウリエルやグラムにとってはあの神王が喫茶店を経営しているというだけでこの人が本物なのかとさえ疑うほどであった。


「いや…まぁ……、なんというか…愛着?朝になって店を見渡してみたら結構汚れてきたみたいだったからな」


雑巾を絞りながらそう答える神々の王。

神界の者がこの光景をみたらどう反応するのか。


「元があのボロボロの廃墟だったとはとても思えませんよね。…そういえば、初めてウルちゃんと会ったのもここでしたよね?」


エルがティニアの後ろから覗き見るように呟く。

どうやら未だに警戒しているようだ。

ウリエルの視線が向くたびにビクッと体が震えている。

さすがに罪悪感があるのか、ウリエルは苦笑いを浮かべた。


「リンが怪我したウルを追っていって、私達から逸れたんだっけ?」


当時の事を思い出し、笑みを浮かべるティニア。

ふっとエルが視線を逸らすとそこには…


「…ねぇ、おにいちゃん?」

「何だ?」

「何アレ?」


目を丸くするエルが指さす先をクロトス達も見た。

そこには真っ白な毛並みと真っ赤な眼の猫。

先ほど話題に上ったウルである。


「ウルだろ?」

「いや、そうだけど……何してるの?」


エルの視線は床に注がれた。

床には真っ白な雑巾が二枚。

その内の一枚の上にウルが立っている。

そこまでは特に問題ない。

しかし、ウルは雑巾の上から右前足だけを出し、もう一枚の雑巾の上に乗せていた。

その状態でこしこしっと雑巾を前後させる。

雑巾にじゃれている様にも見えるが周りの状態からするとその行為はまるで…


「ん?ウルには雑巾がけを頼んだんだ」

「「「猫に!?」」」


確かにそれは雑巾がけの様に見えた。

白猫の雑巾がけ。

そのシュールな光景に思わず聞き返した3人。


「ほら。ちゃんと足で汚れないように雑巾の上に立っているし、少しずつ移動しながら掃除してるんだぞ」

「うわっ、本当にしてるしっ!?」


その動きは遅いが足を巧みに使って、まるで尺取り虫のように足下の雑巾を動かして進む白猫。

虫が苦手なティニアはちょっと気持ち悪いと思ってしまった。


「…ポーズ」

「ってリンちゃんいつの間に!?」


先ほどまでいなかった筈のリンがエルの横でカメラのシャッターを切っていた。

ちなみにそのカメラの開発者はレイ。

これが高性能でシャッターを切ると同時に瞬時に魔法紙にその映像を焼き付けるタイプのカメラ。

クロトスがこれに興味を持って以前にレイを共同制作をし、さらに高性能化。

この世界の技術レベルを軽く超えてしまったオーバーテクノロジーである。

しかし、大本となるレイ作のカメラでさえも完全なオーバーテクノロジーであった。

普段はあれだがレイのその知識は意外と凄まじいものがあった。

しかし、そのすごいカメラで撮られるのは雑巾がけする白ネコ。

ちなみにこの写真は数日後、喫茶店で販売される。

ちゃっかり者のリン(隠密部隊隊長)とクロトス(神々を束ねる王)。

それぞれの部下が知ったらどう反応するであろうか。


「…良いものが取れましたが役立ってるんですか?」


すっとカメラを下ろし、首を傾げながら問いかけたリンにほかの面々も同意するように視線がクロトスに集まる。


「ああ。しかも、隙間に落ちた物とかも色々見つけてくれたんだぞ」


そう言ってクロトスが指さした先にはカウンターの端に置いてある小さなアクセサリーや小銭、紙と色々。

それを見たリンはウルに近づく。

ウルはその気配に気づいたのか、顔をリンに向けた。


「…お手柄」

「ニャ〜」


リンがウルの頭を撫でると眼を細め、気持ちよさそうに喉を鳴らす。

ティニアはその少々埃に塗れた落し物の数々に歩み寄った。

触るのには抵抗があるらしく、指でチョンチョンッと突きながらそれを探っていくと可愛らしいアクセサリーからなぜか入れ歯まであった。

なぜに入れ歯?と思うが解るわけもなく、さらに探っていくと…


「あっ、失くしていた宝石箱の鍵!?」


そう言って取り上げたのは綺麗な装飾がされた金色の鍵。


「それって姫様がいろいろ弄ってたけど結局は癇癪起こして壁に投げつけた後で蹴り砕いたやつですか?」


エルがティニアの手元の鍵を覗き込みながら言う。

その言葉にグラムが首を傾げてクロトスに訊ねた。


「主よ。宝石箱は開かなくなったら蹴り砕くのも有りなのか?」

「いや、蹴りはしないな、蹴りは」

「砕く方を否定しなさい!」


鍵であれだけの装飾なのだ。

宝石箱だけでもどれだけ見事なものか想像もつかない。

忘れがちになるがティニアはこの国の王女である。

クロトスも神々を束ねる王である。

王族は皆こうであるのかと疑ってしまうウリエル。

そう嘆くウリエルが視線を落とすと視界の中に入ったのは…


「…ちょっと待ちなさい。これって……」


そう言ってウリエルが掴んだのは埃塗れのチラシのようなもの。

それにはこう書いてあった。


「「「「大会出場者次試合日程報告書っ!?」」」」

「あ〜、そこにあったのか」


クロトスが呑気に答えた。

その日付は三日後であった。


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