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神の周りは怖い人ばかり!?

久しぶりの投稿…という言葉をたびたび使っている気がする。

投稿するスピードが徐々に下がってきているし…。

次回は番外編。

完成品を読んで思った事。

「やっべ、色々と壊しすぎた」

次回、マッドな方々があの人を…

裏タイトル『恐怖のIF ベクトルシャッフル』

あまり期待しないでね♪


…壊れているのは俺か?

あのウリエルの大立ち回りの後、ティニア達はウリエルと共に喫茶店へと向かった。

エルがウリエルに対して少々怯えていたが特に問題は無かったといえよう。

喫茶店の前まで来るまでは…


「やっぱり帰ろうかな…」


そう呟くティニアの目線の先には喫茶店の前で口論するグラムと男4人組。

ティニアにとっては空から壁の一部が降ってきたり、ウリエルの機嫌が悪かったりと散々な一日のようだ。

しかし、無視するわけにもいかないので口論しているグラムにティニアは声をかけた。


「どうかしたの?」


すると初めて気が付いたのか、グラムは相手に向けていた鋭い目線をそのままティニア達に向け、すぐに目を丸くした。


「ああ、今日はいつもより来るのが遅かったのだな。何、この小童共がぶつかった時に骨を折ったとかで金払えとか喚いてるのだ」


どうやらずいぶんとめんどくさい相手にからまれたようだ。

グラムとティニア達が目線を向けた先にはニヤニヤとティニア達を見る男たち。


「お前ら、この糞餓鬼の保護者か?保護者ならちゃんと躾くらいしとけや」

「そうそう。俺の友達がこいつに怪我させられたんだぞ。どうしてくれるんだ?」


ティニア達を値踏みするように見る男達。

一般人に比べて上等な身なりと容姿、特にティニアとウリエルのスタイル。

そのニヤついた顔から考えていることは簡単に想像がつく。


「うわ〜…」

「…怖いもの知らずというか」


エルとリンがそう呟く。

男たちが目を向けているのはこの国の王女と先ほど大立ち回りをした最近、噂になっているらしい最凶のウェイトレス。


「自分の娘が俺の骨を折ったんだ。それ相応の…」


男たちの内の一人が言葉を言いきらぬうちに言葉を止めた。

ティニアとウリエルから凄まじい程の黒いオーラが噴き出している。

それに当てられた男たちは恐怖で唇が乾き、体が自然に震え、冷汗が際限なく噴き出す。


「…らしいですよ、ウリエルさん?」

「あら、何言ってるの?貴方に言ってるんでしょう、ティニア?」

「でもあいつの目線は…」

「いえ、それは…」


そう言って笑顔ながらも目がものすごく怖い2人はお互いに今の言葉の矛先を相手に押し付けあっている。

しばらく口論していたがしばらくすると…


「「フフフフフッ…」」


突然、笑いだした。

微笑みとは程遠い笑み。

その証拠にいつの間にか喫茶店前の道には彼ら以外誰もいなくなっていた。

男たちもさすがに自分たちがいちゃもん付けた相手が悪かったと悟ったのか後ずさり始めたが彼女らは笑うのを止めて、グルンッと顔を彼らに向けた。


「「「「ひいぃぃぃーーーー!!!」」」」


その血走った目線と共に。


「「どっちに言ったの!?」」


そう言って近寄る2人に彼らは恐怖のあまりに彼女らに襲いかかった。

もっとも愚かで身の程知らずな選択である。

そして、彼らにとってはもっともしてはならない選択であった。

彼らの一人は懐からナイフを取り出し、ウリエルの方に向かった。

それを追うようにもう一人もウリエルに向かう。

ウリエルは彼らを一瞥すると特に構えもせずにナイフを突き刺そうとする男の凶刃から体をさっと逸らし、すれ違いざまに彼の手の中にあるナイフにそっと自分の手を添えた。

傍目にはそれだけにしか見えないが男は悲鳴をあげてナイフを放り出した。

男が自分の手を見るとまるで真っ赤に燃えた鉄か何かを掴んだかのように真っ赤に焼けただれていた。

この時、男が目にすることはなかったが彼が放り出したナイフの刀身は真っ赤に熱を持ち、一部が溶けだしていた。

涙眼で自分の手を見ていたが彼がふっと顔をあげるとガシッと誰かに顔を鷲掴みにされた。

指の隙間から見えたのは自分の顔を鷲掴みにする女性を反対の手で同じように顔を鷲掴みにされた自分の仲間であった。

そして、女性がふっと笑い…


「燃え尽きなさい」


ウリエルの手が炎に包まれたかと思うとそれが侵食するかのようにすぐに男たちの全身が火に包まれた。

男たちは悲鳴を上げながら地面を転がるもその火が衰えることはなかった。

口を開けば灼熱の炎と空気が口に入り込み、体内を暴れまわり、閉じれば意識が朦朧とする。

転がっても火は消えることなく、服を脱いでも炎は皮膚に貼りついたかのようにその身を焼く。

しばらくするとウリエルが指を鳴らし、それと同時に彼らを包む炎も無産するかのように消えたが男たちは立つ気力も無く、地面に横たわる。

しかし、彼らは火に包まれたとは思えないほど軽傷とはいえないが重傷ともいえない火傷であった。

ウリエルは彼らが生きている事を確認し、フッとティニア達の方を見ると…


「あ〜、今日って最悪っ!」


と文句を言いながらも襲いかかる男たちを蹴りでボコボコにしていくティニア。

ナイフを抜いているようだが器用に足でそれを捌き飛ばし、鳩尾などの急所を中心に華麗に突くように蹴る。

ジュニアールから護身術を習っているとウリエルはティニアから聞いたことがあるがどう見ても護身とはかけ離れた凶悪かつ有効的な攻撃であった。

女性としての非力な欠点を足数と急所への攻撃という面でカバーし、それを躊躇なく実行できる強靭で大胆な精神。

失礼かもしれないが人間にしておくにはもったいないとウリエルはちょっとだけ思った。

それは人間という種族を見下しているわけではなく、これが自分と同じ天使で自分と同じ職場にいてくれたならという願望であった。

見る間に腫れていく男たちはしばらくすると地面に力尽いて倒れた。


「「(…怖いっ!)」」


と2人から離れた場所でそれを見て怯えるメイド2人。

しかし、遠くから見ていたおかげで気づいた。

ウリエルが倒した2人のうちの1人が体を若干だが起き上がらせていた。

火傷でボロボロだがその眼には怒りと殺意で満ちていた。


「くっ、なめや…がって。せっ、先生ーー!!」


そう叫んで力尽きた男。

そして、路地裏から男が一人現れた。

細めの体だが鍛え抜かれているのが解る肉体。

眼はうっすらと開かれているがその隙間からのぞく瞳は色濃い狂気の色に染まっている。


「手合わせ願おう」


そう言って剣を抜き…

頭に飛んできたワインボトルがぶつかった。

いきなりの光景に一瞬、その場の空気が凍った。

男も剣から手を放し、頭を押さえながら激昂した。


「なっ、何者だ!?」


そう言って男が目線を向けた先には…


「店前で暴れるんじゃねぇ!只でさえ小遣い減らされてるのに売上下がったらどうしてくれるんだ!」


エプロン(花柄)を身につけた喫茶店のマスター(現在、財布をウリエルに握られている神王)がいた。


「ウェイトレス共に出す茶菓子を手作りでしかも手抜き&節約レシピで茶菓子代をピンはねしたり、とある3人組に失敗した料理を新メニューと言って有料で出したりしてやっとの状況なんだぞ!」

「「「「「ちょっと!?」」」」」


5人にとって聞き捨てならない言葉を言うクロトスだが怒りでクロトスの視界には5人は入っていないようだ。


「ってか今考えたらさっき投げたワインって意外と高いんだった。金払え!」

「ふざけるな!」

「大真面目だ!!」

「いや、それもどうかと…。ねぇ、ウリエルさん?」


ティニアはウリエルに目線を向ける。

ウリエルは疲れたように肩を落とし、頷く。

そして、今も怒鳴るクロトスの所に歩み寄る。


「さっきのワイン代と営業妨害の賠償金とその他もろもろをサービスして総額……ってお前らいたのか?」

「クロトス、両手を上げなさい」

「こうか」


ウリエルの言葉にとりあえず両手を上げるクロトス。


「「交代」」


そう言ってティニアとウリエルはクロトスの手にハイタッチを交わした。


「はっ?」


訳の解らないクロトスはティニアとウリエルに背中を押された。


「「さっさと行きなさい!」」

「どわっ!?」


突き飛ばされた先には剣を頭上高くに掲げる先生と呼ばれた男。

自分の間合いにクロトスが入ると頭上の剣を振り落とした。

クロトスは自分の頭目掛けて落とされる斬撃をさっと避けるが男はその刃を返し、下からクロトスの足目掛けて剣を跳ね上げた。

それをクロトスは…


「遅い」


右手の親指と人差し指で挟んで刃を止めた。

男はあまりにも現実離れしたクロトスの止め方に唖然としていたためクロトスが男のお腹に左手の手のひらを当てている事に気付かなかった。


「奴当たりだ。悪く思うな」


クロトスがそう呟くと男は吹っ飛び、店の道を挟んで反対側にあった壁にめり込んだ。


「さて、リン。後は頼む」


そう言ってクロトスは喫茶店の中に入って行った。

それに続いてグラムとエルも中に入った。

ウリエルはリンに視線を向け、クロトスの言葉の意味を聞こうとしたがリンはすでにいなかった。


「たぶん、証拠隠滅しにいったのよ」


それに私もだいぶお世話になっているしっとティニアがウリエルに言った。

一国の王女がそれもどうかと思うがリンは色々と秘めている事は何となく感づいていた。

こっそりと暗器を隠し持っていたのも知っていたし、たまにふらっと居なくなることがある。

知ろうとは思わない。

ウリエルはリンを信頼しているし、前にティニアと2人で町を歩いていた時にこっそりと護衛しているのに気づいたからだ。

時たま見せるその行動に何となくだがウリエルはリンの立場が想像が付いている。

しかし、それはそれとして…


「なんであの人がそれを当然のようにリンにいうの!?」

「もしかして、お世話になるくらい…今のような事をしてる?」


色々と問いただすために2人も喫茶店内へと入った。

ちなみにエルは…


「えいっ!えいっ!」


倒れている男たち一人一人にプスッ、プスッと針を刺していた。

その針はなぜか緑色の液体で濡れ、刺された瞬間に男たちはビクビクッと痙攣を起こし、口から泡を噴き出した。

それを一通りに行った後、ふっと普段からは想像できないような真面目な顔になり…


「掃除はいつもと同じ手筈で。引き続き任務続行を」


そう呟くと表情が崩れ、いつもの呑気で明るい【エル】の顔で喫茶店内へと入った。

彼女が喫茶店に入る頃には喫茶店の前には血の跡も男たちも消えていた。

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