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緊急番外 貸切にした客は…

「ねぇ、クロトス?」

「ん?」

「今日はなんで店を貸しきりにしているの?」

「無論、客が来るからだ」


今日の喫茶店は貸切のために店内に一人も客がいない。

いるのはカウンターでコップを磨くクロトスとその前の席でコーヒーを飲みながら尋ねるウリエル。


「客ってティニア達?」

「はずれ。大体にしてあいつらは公務で隣国に行ってるだろう」


色々と遊びまわっているティニアだが王女としての仕事もまったくしてないわけではない。

本当に重要な仕事や暇な時は人の数倍の仕事をこなす場合もあるのだ。

もっともそれもリンのサポートとエルの作ったおやつがあるからこそだ。

そのために3人は一緒に隣国で外交会議に出席している。

ということは今日の貸切の客はこの3人ではない。


「じゃあ、またたび飯の会?」

「はずれ。というかあいつらだったら断る」


以前、またたび飯の会がクロトスの喫茶店で食事会を行ったことがあった。

…一言で言うとコスプレパーティーだった。

頭にネコ耳を付けるのは大人しい方。

例を挙げるなら

・変身魔法で人とネコの間の生物リアルになったおっさん。

・かなり際どい水着で飼っているネコの体の模様をボディペイントした女性。

・体中にネコが張り付いている歩く招き猫のレイ。

・ドラ○もん

等が多数。

その集団がひたすらネコの魅力について語る。

マスターのクロトスはもちろん、料理を運ぶウリエルとグラムにも語る。

耳にタコ…いや、ネコが出来るのではないかというぐらい語る。

ちなみにそこにウルが現れた瞬間は…


「とすると…誰?」


クロトスが店を貸しきりににするのは珍しい。

前に貴族が貸切を頼んだ時はいくら金を積まれても断った。

貸切にするのはクロトス個人に縁のある者のみ。


「さぁ?」

「さぁ…って誰がくるかもわからないの?」


ウリエルの当然の問いにクロトスはコップを磨く手を止めずに答える。


「誰がくるかは知ってるが…会ったことがないし、話したことも無い」

「じゃあ、なんで貸切の申し出なんて受けたの?っていうよりもどうやって貴方に喫茶店の貸切を頼んだの?」


ピタッとクロトスの手が止まった。

そして、目線がスゥッと天井、さらにその先の遠くを見るような目でボソッと答えた。


「それが世界の理だからさ」

「…?」


よくわからない答えにウリエルは首を傾げる。


「会えばわかるさ」


ドアのベルがなった。

2人が顔を向けるとドアの前にはグラムが立っていた。


「主よ。連れてきたぞ」

「ご苦労様。大変だったろう?顔もわからない相手だからな」

「いや、簡単だったぞ。他の者と魂の作りが違ったからな。…というよりも見た瞬間わかった」


苦笑いのグラム。

疑問に思ったウリエルだがとりあえずそれは置いといた。


「それで顔もわからないのにお店を貸切にしたお客様は何処?店の外?」


グラムは疲れた表情でとある方向を指差した。


「そこにいる」

「そこって……キャアーー!!」


グラムが指差した方向は店の中心に聳え立つ柱。

そこには緑色の塊がへばり付いていた。

それは蛹だった。

それも子供ぐらいの大きさの蛹。

しかし、見る人が見ればこう言うだろう。


「トラン○ル!?」


クロトスは叫んだ。

某ゲームに出てくるモンスターの名前を。

それにしてもなぜに神界の王がゲームのモンスター名を知っているのか?

蛹はもぞもぞ動いたかというとピカッと光りだした。

眩しい輝き。

クロトスの頭の中ではとある音楽が流れる。

某ゲームで育てたモンスターが成長し、進化する時の音楽。

光が徐々に収まった。

そして、そこには…


「バタフ…「それ以上は色々とやばいからやめて!」…へっ?」


柱に背を向けてよしかかる女性がいた。

ショートカットの黒髪の若い女性。

その女性はクロトスの言葉を遮り、コホンッと咳払いを1つしてからにこりと笑った。


「初めまして…でいいのかな?僕は蛹と言います。この話の作者というかある意味で君達の世界の神で〜す。テヘッ♪」

「いらっしゃいませ。いつも世話になってるな」

「いやいや、僕のほうこそ君らには感謝してるよ」


ほのぼのとする2人。

唖然とするウリエルは徐々に体を痙攣させるように震えだす。


「まぁ、とりあえず席に…」

「待ちなさ〜い!!」


喫茶店内にいる者は皆、耳を押さえた。

大声を出したウリエル以外は。


「何?うるさいよ」

「貴方何なの!?」

「だから作者って言ったじゃない」

「作者って何よ!?」

「この【神は貴方の守護天使!?】を書いている執筆者=僕に決まっているじゃない」


えっへんと無い胸を張る…グハァ!


「無い胸言うなぁ〜!!」


いや、だからって俺に椅子を投げつけないでよ!?


「女性に対する気遣いとかもう少し考えなさいよ!」


……ハッ(笑)。洗濯板風情が何を言うか。

そのスタイルで女性を名乗るな。


「やるか〜。このネット廃人!」


黙れ。この(放送禁止用語)の(自粛)な(危険)が俺様に勝てると思う時点で貴様は(アラート!アラート!)なのだ。


「それを言うなぁー!」

「あの…?」

「何?」


何だ?


「とりあえず話が進まないから落ち着きましょう」

「…ウルっちの顔に免じて見逃してやる」

「ウルっち!?」


仕方ない。これ以上は書くのも疲れるからな。

ウルウルの顔に免じて許そう。


「ウルウル!?」

「あ〜、ウリエル?とりあえず落ち着け」

「ウルっちって何?ウルウルって何よ?もしかして私のこと!?」


混乱するウリエル。

パニック状態のウリエルを皆が可哀想な人を見るような目で見ている。


「適当なこと書くんじゃないわよ!」


チッ


「舌打ち!?ってか貴方誰!?」


俺?作者の蛹。


「それはこの子でしょう!」

「そう。私は蛹。でも、彼も蛹」

「どういう事?」


蛹(女)はスカートの端を掴み、貴族のように優雅にお辞儀をする。


「私は蛹。世界を創造した蛹。いつか変わることを夢見ている蛹。そして、今回の進行役の蛹で蛹というキャラクターの一人で蛹の代弁者」

「え〜と、とりあえずの疑問。作者って女性なの?」

「女性かもしれない。男性かもしれない。老人、学生、社会人かもしれない。あらゆる可能性から生まれたのが私。私は蛹の欠片」


ニコッと微笑む蛹。


「じゃあ、貴方は?」


ウリエルは明後日の方向を見て尋ねた。


「そうじゃなくて貴方よ」


再び尋ねるウリエル。

しかし、その方向には誰もいない。


「それじゃあ、貴方は何処にいるのよ?」


…俺のこと?


「そうよ」


俺は地文担当の蛹。

ナレーションの蛹。

世界を構成する欠片であり、作者の蛹の欠片。

とりあえず、無視していいよ。

基本的に干渉しないから。


「さっき思いっきりしてたじゃない」


それはそこの少年がうるさいから。


「僕は女だ!」


じゃあ、僕って言うなよ。


「昔からなんだからいいだろう!」


男女ボソッ


「キシャーーーー!!!」

「ストップ!いい加減話を進めて!」

「お願い。すぐにあいつを処分するから放して!速攻で磨り潰すから!」

「お願いだから止まって〜〜!!」


《しばらくお待ちください》

………

……


「え〜と、この話は本編とは関係ありません。僕こと蛹も今回のみの登場です。ですのでこんな番外なんてどうでも良いとお思いの方は次話を投稿をするまでお楽しみに♪」

「やっと話が進むのか…」


疲れたようにため息を吐くクロトス。

蛹はクロトスのコーヒーを飲みながら話を進行する。


「それではまずは…今回の番外を書こうと思った切欠をお話します」

「いつもだったら10話ごとに番外を入れているのにね」


ウリエルの疑問に蛹はニコニコと笑みを浮かべる。


「最初の切欠はPV累計アクセス数がなんと…10万ヒットを突破しました〜!」


何処からともなくファンファーレが喫茶店内に響きわたった。


「それはすごい事なのか?」


ピタッと動きの止まった蛹は一瞬にしてグラムの後ろに回りこみ、グラムの口を後ろからビョ〜ンと横に引っ張った。


「そんなこというのはこのお口かな!?そうなのかな!?」

「イフャイ!はなふぇ、ふぁめふぉ!」

「グラムのホッペって意外とやわらかい…イタッ!」


突如として空から空き缶が蛹の頭の上に落ちてきた。


「何するのよ!」

「なにこれ?」


天井からひらひらと落ちてきた紙を手に取るウリエル。


「『話の進行をしろ!じゃないと今回の番外がとてつもなく長くなるだろうが!by蛹(ナレーション担当)』だって」

「地文で語ると僕達の情景が書けなくなるから手紙作戦できたか」


蛹は椅子に座り、軽く咳払いをする。

グラムは赤くなった頬を涙目で擦るが蛹は無視した。


「とりあえず、アクセス数が大台を突破したことが理由の1つ。もう1つが話の区切り。39話までこの話を書き上げてたんだけど現在進行中のリン、エルの誕生日の章が38話で終了。新章が39話から始まることになるんだけど40話に番外を入れると中途半端になっちゃうから今回の番外で調整したのが理由の2つ目」

「ストックがそんなにあるならさっさと次話を投稿しろよ」

「前だって一ヶ月以上間が空いてたな」


クロトスとグラムの文句に蛹はテーブルに突っ伏すように倒れこむ。


「僕だって頑張ってるんだけど忙しいんだよ。朝早く起きて帰ってくるのは夜遅くだもん。この話だって休みの日に一気に書き上げたんだから」


ルルルルーと涙を流す蛹にクロトスはコーヒーのお代わりを差し出した。

蛹はそれを飲むと幾分落ち着いた様子で顔をあげた。


「まぁ、こういう理由で今回は番外を投稿したという訳」

「それはいいが…今回は何をやるんだ?」

「とりあえずは無難に質問コーナーかな?後は話の流れ次第だね」


クロトスの疑問に答えるかのように蛹の手元に紙の束が現れた。


「質問って誰から?」

「小人さん」

「…はい?」

「本当は読者から応募して欲しかったけど時間無かったし、呼びかけもしてないから私の頭の中の小人さん達が読者だったらこういう質問をするのではないかというものを想像でピックアップしてみました♪」


ウリエルはなんともいえない表情で蛹を見るが無視する蛹はパラパラッと紙を捲る。


「それでは最初の質問で〜す」


『登場キャラクターのプロフィールデータを知りたいです』


「却下。次の質問に…」

「待てや、コラ!最初の質問からそれか!」


クロトスの突っ込みにしぶしぶ答える蛹。


「あまり詳しいこと書くと後で矛盾が生じるから書きたくないんだ」 

「…前の全知全能の事を引きずってるのか?」

「君が悪いんだよ!読者の瑠璃さんから『神王様は神々の王で全知全能なわけですよね、じゃあ戦わなくてもウリエルさんより強いんじゃないんですか?』って質問が来た時は冷や汗が止まらなかったよ!」


テーブルをドンッと叩き、クロトスに迫る蛹。

クロトスは仰け反りながらも苦笑いで答える。


「いや、設定を考えたのはお前だろうが」

「どうやってその質問に答えようかとネットで数日かけて調べまくったよ。運良く良い資料が見つかったから良かったけど…」

「聞けよ!」

「次の質問は何かな〜?」

「おいっ!」


蛹はクロトスに背を向ける形で質問が書かれた紙の束を捲る。


『クロトスとウリエルの子供時代のお話を書いて』


「「駄目!」」

「…じゃあ、採用♪」


明らかにクロトス、ウリエルの反応を見て決めた蛹。

ニヤニヤしながら質問が書かれた紙に判子を押した。


「恥ずかしいからやめて!」

「ん〜、33話で言ってた親祖の吸血鬼の城への肝試しの時辺りでいいかな?」

「1番危ない話を持ってくるんじゃねぇ!」


2人の剣幕に怯えることなく、ただニヤニヤする蛹。

グラムは巻き込まれないように少し離れた場所でコーヒーを飲んでいる。


「さて、次の質問は…」


落ち込んでいる2人を無視する蛹は話を進行させた。


『グラムが人間になった時の話を書いて』


「いつかね。次の質問は…」

「我に関しての質問に対する扱いがひどくはないか!?」


グラムの言葉に蛹は指を折って何かを数えだす。


「もしかしたらだけど…その話を書く頃にはこの話が完結してるかもしれないし」

「我の番外を書いてから終わればよかろう!」

「実は…次作の小説の構成もある程度考えてあるし、僕って書くの遅いから2作同時進行はちょっと…」

「睡眠時間を削ってでも書け!」

「………次の質問はっと」

「無視をするなぁ〜!!」


『作品の裏話を教えて』


「え〜と、グラムとレイにはモデルがいます」

「誰だ?」


クロトスの質問に蛹は何処からとも無くパネルの板を取り出した。


「グラムのモデルは…とある漫画の親祖の吸血鬼。600年生きた幼児体型の魔法使いで…」

「ネ○ま!のあいつか?」

「…さっきのトラン○ルといい、何で知ってるかなぁ?」


神王は意外と漫画好きらしいようだ。

一体何処で手に入れているのであろうか。


「気を取り直して、レイのモデルは…」

「エヴァン○リオンの赤○博士で名前は同じ作品のパイロットじゃないのか?」

「君って本当に神界の王族?」


蛹の言葉を遮るように答えたクロトスに呆れた声で返す蛹。


「クロトスにはなんで知っているか後で詳細を聞く(尋問)として他に裏話はないのかしら?」


睨みつけるウリエルからクロトスはさっと顔を背ける。


「え〜と、………そういえば、リン、エルにもモデルがいたっけ?」

「なんで疑問系なの?」

「キャラクター名がわからない。たしかとある漫画に出てきたんだけど…」


頭をかきながら懸命に思い出そうとする蛹。


「なんの漫画なんだ?」

「それは…秘密で♪あまりばらすと面白くないし」

「いいのか、それで」

「というよりもいい加減にこの話題を切り上げないと次の質問入れないし」


言いつつも次の質問の紙を捲る蛹。


『クロトスを巡る恋の行方(ビリッ!)(グシャ!)(ボワッ!)』


「「「却下!」」」

「…なぜ皆して質問を破る?」


蛹が途中まで読んでいた所で蛹が破り捨て、グラムがそれを踏みにじり、グラムが足を退けた瞬間にウリエルが燃やした。


「これはいろんな意味で答えにくい質問だからパスね♪ってか答えたら僕の命が危ない…」


冷や汗をかく蛹の後ろに突き刺さるような視線が複数。


「次の質問は……ふぅ…なんか疲れた。もう帰るね」


そう言って立ち上がる蛹。


「…なんか大して質問に答えてないんじゃないのか?」

「これ以上答えるとこの話がとてつもなく長くなるもん。じゃね♪」


蛹は額に指を当てると一瞬にして消え去った。


「瞬間移動ってことはドラゴン○ールか。実はあいつってただのオタク?」


片足は突っ込んでるかもな。

けど、フィギュアもDVDも持ってないぞ。

you t○be見たいな所で見たりはしてるけど。


「干渉しないんじゃないのか?」


どうせ終わりだし。

最後ぐらい俺にもしゃべらせろ。


「別にかまわないが…」


コホンッ、それではいつも神は貴方の守護天使!?をお読みいただき、誠にありがとうございます。

未熟者ですので更新は亀のごとく遅いですが完結は必ずさせますのでこれからもよろしくお願いします。

あと、自分の小説に感想、評価を書いてくれた皆さん。

本当に感謝しています。

これからも末永くよろしくお願いします。

それでは登場キャラクター達から一言。


「クロトスです。評価、感想でお褒めの言葉を戴いたことに感謝とお礼を申し上げます。…駄目だ。真面目な言葉は恥ずかしいな。喫茶店の営業も大会も頑張るからこれからもよろしくな」

「ウリエルです。え〜と、……何を言えば良いのかしら?不束者ですが…違うわね。とにかく、これからも精進していくのでよろしくお願いしますね」

「グラムだ。作者が未熟でコメディというよりもファンタジーに近い小説だがどうか見捨てないでほしい。これからもよろしく頼む」


以上で今回の番外を終わります。

最後にもう一度言いますが今回の話は本編には一切関係ありません。

これからも神は貴方の守護天使!?をよろしくお願いします。

以上、ナレーション担当の蛹でした。

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