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神をも恐れる存在

短編と違って長編の方がアクセス数の伸びが段違いですね。

この調子だと次話辺りで逆転かな?

状況を整理しよう。

俺はオディーンの爺さんとの死闘(?)の末に宝玉を手にいれた。

その宝玉は契約者を選ぶらしい。

契約者とは宝玉の中の世界の創造主、管理者、神となる者。

俺は駄目もとで宝玉と契約をしたら宝玉に吸い込まれた。

気が付いたらモンスターと人間に囲まれていた。

取り乱しかけたが冷静に周りを観察すると人間側のリーダーらしき奴がいたので情報収集のために話をした。

怪しまれないように丁寧な口調で話したところ、あいつらは今いる町の騎士団だったらしい。

そこで、リーダーのくせに頭悪そうな間抜けに取引を持ちかけた。

この世界での魔法の威力も調べられ、衣食住も手に入る一石二鳥。

ちょこっとぶっ放したら騎士団が事情を聞きたいとかで城に同行してほしいと言って来た。

この世界の文化や世界情勢を調べなければならなかったので大人しくついていった。

ここまではいいだろう。

それがなんだ?この国は…


―少し前ー


城に連れて行かれた俺。

最初は騎士団の詰め所で事情聴取を受けていた。

しかし、そこに入室してきた別の兵士から国王が呼んでるという伝令を受け、俺は謁見の間に案内された。

警備の兵士が謁見の間に通じる大きな扉を開け、俺は高価な赤い絨毯の上を歩き、奥へと進む。

そこはパーティーが開けるような大きな部屋であるが今は人気がない。

警備の兵士は?と疑問に思ったがとりあえず目の前に目を向けた。

そこには、この国の王と王妃らしき者が王座に座っていた。

黒髪のオールバックの王と金髪のショートの王妃で王は40代、王妃は30代前半に見える。

俺は王族の前なので頭を下げるために膝を突こうとしたが王が首を横に振った。

ので、立って口上を述べようとしたがその前に王が玉座から身を乗り出すように…



「よう!とりあえず、おまえは良い奴か?」

「はぁ?」


と王にあるまじき砕けた口調で訳のわからない質問をされた。

つい、失礼な返事をしてしまったが王は気にせずに笑っていた。


「善人か悪人かって聞いてるんだよ」


再び、王は同様の質問をしてきた。

狙いはわからないが少なくとも偽証する必要性は無いので正直に答えた。


「…少なくとも、悪人ではないな」


俺がそう言うと王は目を輝かせた。


「よ〜し!皆の者!歓迎の宴の用意をしろ!今日は飲グハアァァァッァァァァアッァ!!!」

「そんなんでいいわけないでしょう!」



ガッシリした体つきの王は先ほどの発言により、王妃にグーでぶっ飛ばされた。

王は5メートルほど吹っ飛び、そのまま壁まで転がっていった。

スリムなあの体の何処にあのパワーが秘められているのか。


「え〜と…」


俺が呆気に取られていると王妃はこちらに視線を向ける。


「ああ、あれはほっときなさい。いつものことだから」


いつもなのか!?


「…ご希望とあらば」


たとえ、王の体が痙攣してようと俺には関係ない。

ああいうタイプは大人しく従っていれば矛先がこちらを向かない。

俺の答えに満足したのか王妃は玉座に座り、ジッとこちらを見つめる。


「あなたの名前は?」


偽証は認めない。

目線がそう言っていた。

まぁ、無視するが。


「名乗るほど者ではございません(神王っていうわけにもいかないしな)」


そもそも、神王に名前は無い。

神王となった時点で名は破棄される決まりなのである。

神王に即位した者にこの例外はない。

神王は神王としか呼ばれない。

即位する前の名前も言いたくない。

あの名前は…


「…訳有りね。まあ、いいわ。とりあえず、君は何者?」


何か勝手に勘違いしてくれたようだ。

訂正する気もないのでそのまま話を進める。


「ただの迷子でございます」


ただし、おもいっきし偽証。

王妃の口の端が引きつった。


「どうして杖無しに魔法が使えるの?」


これは俺のミス。

この世界の魔法のルールや仕組みを理解せずに使ってしまったから。

さて、どう誤魔化すか。


「なぜですかね?」


王妃の頬の引きつりが酷くなった。


「どうしてあんなところに現れたの?」


そりゃあ、いきなり戦闘中に現れたら不審だよな。


「神秘ですね」


目つきが鋭くなった。

王妃は震える声で…


「…話す気は無いのね?」


と聞いてきたので俺は満面の皮肉った笑みで…


「はい♪」


と答えてあげた。


「良い度胸じゃない。」


王妃のコメカミがピクピクと動いていた。

大人しくしているつもりがついからかってしまった。

けど、この王妃…

からかいがいがありそうだな。


「小じわが増えますよ。平常心、平常心」

「大きなお世話よ!」


王座から身を乗り出して反論する。

結構気にしているようだ。


「おせっかきな性分でして」

「そんな性分なんて今すぐ捨てなさい!」

「興奮すると血圧が上がりますよ。それほど、若くないんですから」

「なんですって!」


興奮で顔を赤くする王妃。

神王の心の中では小さな悪魔の格好をした神王が大爆笑している。

それを悟らせないように愛想笑いでからかい続ける。


「年を取ると怒りっぽくなるって言いますよ」

「ムキィーーーー!!!」

「サルに退化しても年齢は変わりませんよ?つらいかもしれませんが現実を見ましょう」

「キーーーー!!」

「ほんとにサルそっくりだぞ、エイン」


いつのまにか復活していた王が王妃の隣でそう言った。

…よく生きていたな!?


「あ〜な〜た〜!!」


せっかく復活した王はエイン王妃にボコボコにされていった。



―少々お待ちください。―



落ち着いたエイン王妃は玉座に座っている。

足元に広がる赤い海に沈んでいる物体は気にしないほうがいいだろう。


「まあ、王都の危機を救ってくれた恩人だし、心配ないでしょう。しかし、再び失礼な発言を発した場合はそれと同じ運命をたどるのでそのつもりでいるように」

「イエッサー!」


彼女をこの世界の第一級危険物に認定しとこう。

この世界の人間が神に勝てるとは思えないが彼女には逆らってはいけない気がする。

こういうタイプの人が切れたときは大人しくしているに限る。


「ところで…」

「なんでございましょう?」

「まず、その口調を直しなさい。普段の言葉でいいわ」

「はーい」


軽い返事ではあったがそれを注意するとやぶ蛇を突くことになりそうなのであえて聞き流すエインであった。


「モンスター撃退のお礼なんだけどモリガンと取引したんですって?」

「誰それ?」


心当たりがなかった。


「貴方がモンスターを倒す代わりに衣食住を保障しろって取引を持ち込んだ相手よ」

「あー、あの頭足りなさそうなおっさんか?」


王の前に連れて行かれる前に自己紹介はされたが興味なかったので半分ほど聞き流していた。


「その頭足りなさそうなアホ面の汚らしいおっさんよ。」


正直に思った悪口を言ったら倍になって返ってきた。


「…嫌いなのか?」

「生理的に」


俺の疑問を即答してきたエイン王妃。

それを聞いた俺は腕を組み、大きくうなずいた。


「納得」


少なくともあの髭は無いだろうと思う。

ゴワゴワで汚らしい。


「あの髭は剃れっていってんだがな。おしゃれだって聞かないんだ。あれだとまるで、エインの陰もグハアァァァッァァッァッァァアァアア!!」

「このヘンタイ!!何いいだすのよぉぉ〜〜〜〜〜!!!」


またもいつのまにか復活していた王はエイン王妃に……合掌。



―しばらくお待ちくださいー



「え〜と…」

「…ラブラブなんですね」

「………うん」


真っ赤に顔を染め、手をモジモジとさせるエイン王妃。

少女のようにウブでかわいらしいエイン王妃に少し好感を持った俺は話を進める。


「条件は飲んでくれるんのか?」


少なくとも認めてくれなければ野宿決定である。


「えっ!あー、うん。いいわよ。家以外はすぐ用意できるわ」


あっさり許可された。

さっきの王といい、大丈夫なのか、この国は?


「家は?」

「勝手に決めるわけにもいかないでしょうから候補だけ選んどいたわ。実際に行って選んできなさい」


仕事が早い。

条件を提示してからこの謁見までにそんなに間が無かったのだが。


「はい、ありがとうございます♪」


以外にもあっさり条件を飲んだ王妃に笑顔でお礼を言った。

すると、王妃は何故か顔が赤くなった。


「(騎士団員に聞いた通り本当にきれいに笑うわね。………////)」


疑問には思ったが取りあえず、日が暮れるまでに宿を決めたい。


「それじゃあ、失礼します」

「ええ」

「またな。次こそ一緒に酒を飲もう」

「ああ」


俺はさっそく踵を返し、家探しに向かった。

…王、いつの間に復活した!?


………

……


「あなた。いつ気がついたの?」

「あいつが俺達をラブラブだと言ったときからだ」

「………////」

「そういうかわいらしい所も好きだよ。」


これも1つの愛の形であろう。


もしかしたら就職先によっては北海道を出ることになるかも。


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