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神と変態兄妹(兄弟)!?

39℃の熱に卒業レポート、入社準備等で更新が遅くなりました。

お詫びと懺悔に後書きにオマケを付けてみました。

興味を持ちましたらお読みください。

戦いは始まった。

兄弟はすばやく衣服の乱れを正し、妹のような弟は両手にトンファーを構える。

兄はその後ろで隠し持っていた杖を構え、呪文を唱える。

この2人の戦法は弟がトンファーで敵の足止めをし、兄が得意とする魔法で一気に殲滅という一般的でありながらも効果的な戦法を主としている。

トンファーというこの世界でも珍しい武器による緩急を付けた動きで敵を翻弄し、敵が手間取っているうちに高威力の魔法でトドメをさす。

2人には優勝とまでは言わないがこの大会でも上位の成績を修められるという自信があった。

しかし、相手が悪かった。

弟がトンファーを構えた途端、いつの間にか目の前には剣を振り下ろそうとするウリエルがいた。

弟はほとんど反射的にトンファーを上に構える。

凄まじい金属音を立てて交差される剣とトンファー。

弟はその斬撃を痺れる腕で全力で受け止める。

ただ一撃、ウリエルが振り下ろした…ただ一撃で弟の腕がプルプルと震える。

見た目は女だがれっきとした男が女の剣をただ一撃受け止めただけでこの有様。

弟は反射的に受け止められなければ今の一撃で終わっていたと知ると顔を青くする。


「…人間にしてはやりますね。」


ボソッとウリエルがつぶやく。

弟はウリエルをキッと睨みつけ、そのまま固まる。

仮面のような無表情ではあるがそれがどこか美しい美術品のような印象を受けるウリエル。

戦いを忘れて、腕の痺れも忘れてただ見とれる弟。


「ですが…所詮は人間ですね。」


そう呟いた瞬間に弟の視界からウリエルが消える。

フッと風の流れを感じた弟は無意識に右を見る。

そこにはウリエルが立っていた、まるで何かを蹴った後のような体勢で。

先ほど自分がいたはずの舞台の中心にウリエルが立っていた。

ウリエルはすでにこちらになど目を向けていない。


「…なん…なのよ、それ…。」


弟は気づいた。

自分が浮いている事に。

自分が先ほどいた場所から飛ばされている事に。

自分が蹴り飛ばされた事に。

相手が異常な存在な事に。


「(何処の世界に…蹴っただけで人間をこれだけ吹っ飛ばせる人間がいるのよ。)」


自覚した途端に蹴られたであろう脇腹に尋常じゃない痛みが走る。

なぜか涙が出た。

蹴られた痛みのためか、異常なウリエルに対する恐怖のためか。


「(わけ…わかんないわよ。)」


やっとのことで吹っ飛ばされた自分が地面に接触し、転がっているのを他人事のように思いながら思った。


「(なんで…こんな大会に……あんなのがいるのよ?)」


そこでやっと意識を失うことが出来た。

痛みからも恐怖からも、『あれが何なのであるか?』という考えてもわからぬであろう疑問からも解放された。


………

……


その様子を唖然と見ていたクロトス。

とりあえず、状況を確認しよう。

舞台中心にウリエルがいる。

その奥には呪文詠唱中にあまりの光景に詠唱をやめて呆然としている変態1号(兄)。

舞台端にはウリエルに蹴り飛ばされてゴミのように転がっている変態2号(弟)。

会場中は呆然としている。

さらに中心を見ると蹴った脚を下ろしたウリエルが残った変態…兄を見る。

剣を再び構えて、今にも飛び掛ろうとする。

ハッとクロトスは慌ててウリエルの所に駆け寄る。


「って、バカかお前は〜!?」

「ッッ!」


クロトスは相手選手を蹴り飛ばし、今にももう片方の選手に切りかかろうとするウリエルの頭を殴った。

ゴンッ!っと静寂であった会場にその音が響き渡り、観客も放心状態から戻る。


「…何をするんですか?」


ウリエルが少々涙目でクロトスを睨む。

クロトスは思わずたじろぐがそれどころではない。


「敬語は…まぁ、それは今はいい。それよりもやりすぎだ!」


いつもの癖で敬語を注意しようとするがそれどころではないので渋々流す。

しかし、目立った事はしたくないと言ったはずのクロトスの考えを全力で破壊したウリエル。


「戦闘に手を抜けと…?」

「人間のレベルをいきなり超える戦い方はやめろ!怪しまれるだろ!」


前回の戦いでオルガの巨体を投げ飛ばしたクロトス。

その異常性でドーピング疑惑、魔物疑惑、茶番疑惑等の色々な面から疑われた。

一部の研究者からモルモットとしても狙われた。

二度目は御免被りたいクロトス。


「そう言われればそうですね。申し訳ございません。考えが足りませんでした。」


試合が始まる前にその事を言ったはずだろう…と内心、クロトスは思ったが言葉には出さずにため息だけ出す。


「…まぁ、わかれば良い。帰るぞ。」

「もう一人いますが?」


ウリエルがそう言ってその相手を見るといつの間にか倒れていた。

仰向けに倒れている男を見ると肩、腹、足、腕と至る所に切り傷があった。

クロトスに視線を戻すと微笑みながらいつの間にか握られていた小型のナイフを数本両手に持っている。


「いつ攻撃したのですか?」

「お前を殴った時。ちなみに痺れ毒を塗った投げナイフ。」


さらっと言うクロトス。


「貴方も十分人間レベルを超えているのでは?」

「ばれなければ良いの。良く言うだろ?『犯罪はばれなければALL O.K.♪』って。」

「言いませんよ。何ですか、その犯罪者に都合が良すぎる主義は?」


ジトッと睨み、言い咎めるウリエル。

その視線を無視し、クロトスは笑顔をウリエルに向ける。


「そういうことで試合終わったから敬語禁止。」

「意味がわかりません。文脈が繋がっていません。」

「敬語♪」


クロトスが顔をウリエルに近づける。

クロトスの笑顔を至近距離で見たウリエルは顔を染めてクロトスから顔を逸らす。


「…殴る方の言う事など聞けません。それになんかご機嫌なのがイラつきます。」


そう言ってむくれるウリエル。

言葉は敬語だが態度はすでにいつものウリエルである。


「あれは思慮が浅いお前が悪い。だいたい神王という立場は隠しているんだから敬語はまずい。」

「…女性に手をあげるなんて最低だと教われなかった?」


ようやく敬語はやめたがご機嫌斜めという感じである。


「『女は暴力行為を快感に思う稀な生命体』という事は知り合いの悪魔に教えてもらった。」


思わずこけるウリエル。


「そんなわけないでしょう!?そんな人いません!!」


先ほどとは違い、怒鳴るように注意する。

仕事人モード(クロトス命名)と普段では敬語もそうだが態度もまるっきり違う。

個人的にクロトスは普段のウリエルの方が好きなのでそういう意味でも敬語はやめるように言っている。


「そいつの妻と愛人等は皆そういう人らしいけど?」

「…訂正します。ごく一部だけです。」


よくわかっていない様な様子のクロトスは首を傾げる。

特殊な環境のためにそういう知識はあまり詳しくない。

それを面白がって周りの天使、悪魔はクロトスに色々吹き込んでいる。


「(今度ちゃんとした性教育を受けさせようかしら?)」


ウリエルはなぜか自分がクロトスに教えている光景が頭の中に思い浮かぶ。

途端に顔を真っ赤に染める。


「(なんで私が教えるのよ!?しかも、そんないかがわしい格好で!?『続きはベットで実習ね♪』って何言ってるのよ、頭の中の私!?)」


ウリエルの頭の中では段々と行動がエスカレートしていく自分を妄想してさらに顔を真っ赤にする。


「ウリエル。」

「…だいたい……初めてはロマンチックな場所で……。」

「ウリエル?」

「…いつのまにそんなテクニック……そうね、今夜は…いっぱい…。」

「ウリエル!」

「へっ?…キャー!!」

「ヘブォッ!?」


ウリエルの真っ赤な顔を覗き込んだクロトス。

しばらくクロトスと見つめあうがハッと気が付いたウリエルは悲鳴をあげてクロトスの顎をアッパーで殴る。

浮き上がったクロトスにウリエルは思いっきり回し蹴りを放つ。


「へぎゃ!」

「ブフォ!」

「グハッ!」

「……(ガクッ)。」


何度か地面をバウンドしながら転がっていくクロトス。

舞台の端で止まったクロトスは何かを掴むように空に手を向けてそのまま息絶えた。


「あっ…。」


あまりのことに会場中は静まり返る。

舞台では変態兄弟とグラムとの戦いから人気急上昇中のクロトスが横たわる。

立っているのはその全てを叩き伏せた美しき女神。

驚きで先ほどからボーっとしていた審判が慌てて駆け寄るが3人に反応は無い。

徐々に会場中の視線が女神に…ウリエルに集まる。

冷や汗をかいているウリエルはとりあえず…


「…え〜と、…大変!クロトス、私を守るためにこんな怪我までして…。早くお医者様に見せに行かないと。」

「「「「「「「(いや、あんたがしたんだろ!?)」」」」」」」


会場中の心の声が一つになった。

ウリエルは顔を真っ赤にしてクロトスを背負うとそそくさと舞台を後にした。


「…選手戦闘不能のためにこの試合、クロトス、ウリエル選手の勝利?」


審判はなんとなく疑問系でそう宣言した。

リン(以下リと呼称)「…懺悔のコーナー。」

蛹(作者)「何で俺ロープで縛られてるの!?」

リ「…今回は私、リンがこの罪人を裁きます。」

蛹「罪人!?俺何かした!?」

リ「…最近をウル見てない。」

蛹「ーっ!?」

リ「…最後の登場は19話。今回の28話まで、さらにはすでに書き上げている31話まで一回も出ていない。」

蛹「………(汗)」

リ「…言わないと爪の間を針で刺す。」

蛹「ごめんなさい、忘れてました!最近思い出して話に出そうとしたら色々と忙しかったんです!!」

リ「…早く出さないとまた呪いかける。」

蛹「またって何!?まさかこの前の原因不明の39℃の熱って!?」

リ「…クスクスッ♪」

蛹「その笑い方怖いからやめて!っていうかロープ解いて!」

リ「…駄目。お仕置きがまだ。黒子、スタンバイ。」

蛹「待てコラ、そこの黒子!何でアイアン・メイデン(鉄の処女)を持ってくる!?それは拷問器具だろ!」

リ「…ウルを忘れた貴方が悪いの。王様の名前を決めるのも忘れてたし。」

蛹「いや、だって野郎なんてどうでもいいし。」

リ「…ジャスティスなの。」

蛹「い〜や〜!!」

リ「…悪は滅びたの。これからも『神は貴方の守護天使!?』をよろしくです。」

蛹「……よろし…くぅ……グハッ!」

リ「…意外としぶとい。」

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