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神と王女の逆襲

投降がとてつもなく遅れました。

祖父が亡くなり、そのためにこのようなことになってしまいました。

色々と忙しかったのですがようやく落ち着き、久しぶりに投降します。

パーティーの次の日。

その日の営業を終えた喫茶店にはお馴染みのメンバーが集まっていた。

店内のテーブル席にはメイド2人と王女、カウンター席にはウェイトレス2人、カウンター内にはクロトス。

それぞれが遅いおやつのケーキやらパスタなどを食べている。


「ティニア。」

「ん〜?」


クロトスの呼びかけにケーキを食べる手を止めるティニア。


「大会のルールのことなんだが…。」

「あっ、やっぱり不満だった?」

「俺が頼んだ面白いイベントという点では文句は無い。けど、特別ルールの内容は大雑把過ぎないか?」


ティニアは苦笑しながら頬を掻く。

その際に頬にケーキのクリームが付いたが気が付いていない。

エルが言おうとするがリンがそれを止めた。


「あのルールはパパがノリで考えたものだから。」

「止めろよ!」

「あれで結構頑固なのよ。周りがゴチャゴチャうるさいからならいっその事無しで良いだろうって。」


この世界に来たばかりのウリエルとグラムは呆れ、言葉が出ない。


「…なんというか、そんな王でよくこの国が滅びませんでしたね。」

「良く言われるわ。」


なんとか言葉を紡ぐウリエルに苦笑いで返すその王の娘。


「王にも色々いるのだな。」


グラムがチラッとクロトスを見るが喫茶店のマスター兼神々の王は視線を逸らした。


「王様なのに書類仕事はたびたびサボっちゃうよね。」

「…お城も何度も抜け出しますね。」


エルとリンの愚痴にウリエルはじろっとクロトスを睨む。

何処かで聞いた愚痴に心当たりのあるクロトスは冷や汗をかく。


「おかげでお城の人はその度に大騒ぎ♪」

「…ストレスでやめていった者も数知れず。」

「「もう勘弁して(くれ)…。」」


ティニアとクロトスには耳の痛い話に降参の意を表す。

父親の恥と他人事とは言えない愚痴。

2人は泣きたい気持ちになる。

エルとリンはなぜクロトスが止めるのかわからなかったがクロトスの落ち込みように追求するのは可哀想と思い、止めた。


「そういえば、おにいちゃんは助っ人は誰にするの?」


暗い雰囲気となった場の様子に慌ててエルが話を変える。


「助っ人は1人なんだっけ。…じゃあ…。」

「…王女様は駄目ですよ。王族がそんな危険な大会に出れるわけないでしょう?」


リンに先に釘を打たれたティニアは押し黙る。


「って、リン〜?私のことは『お姉ちゃん』って呼びなさいって前に言わなかったかしら?」


突然、思い出したかのようにティニアがニヤニヤと笑顔でリンに言う。


「―っ!?」


それを見たリンは顔を真っ赤にしながら逃げ出そうとする。

逃げるリンをティニアは両手でガッシリと掴み、持ち上げて自分の膝の上に乗せる。

膝の上でじたばたとするリンをティニアは抱きしめて耳元で囁く。


「『お姉ちゃん』って呼んで欲しいなぁ〜。」


そう言って耳にふぅっと息を吹きかける。


「ひニャァっ!?」


ビクッと体を硬直させて大人しくなったリンにティニアは追い討ちをかけるように耳を唇で挟むように噛む。


「アッ……ハウッ……。」

「ほはっ、はっはふぉほへえふぁんふぇいいふぁふぁい(ほらっ、さっさとおねえちゃんって呼びなさい)♪」


甘噛みをしながら喋るティニアとそれに反応しながら顔を真っ赤にして荒い息を吐くリン。

エルとウリエルは顔を真っ赤にしながらも目を背けようとも止めようともしない。

グラムに関しては理解できてないというよりも知識がないのでただなんとなく観察しているだけである。

クロトスも呆然と見ていたがハッと気が付くと一瞬でハリセンを《創造》する。

それをノーモーションでティニアの頭を叩く。


「教育的指導っ!!」


スッパーンっと心地よい音が喫茶店に響き渡り、後には頭を押さえるティニアとウリエルの影に隠れる真っ赤な顔のリンがいた。


「何するのよ!」

「何してるんだよ!?」


先ほどのは傍目からみたら誤解されるような光景であろう。

泣きついてきたリンにウリエルは苦笑しながらも頭を撫でてあげている。


「『お姉ちゃん』って呼んでくれないからちょっとした教育をしただけでしょう!」

「やるなら人のいないところでやれっ!」

「それもおかしいわよ!?」


クロトスの言葉にウリエルがつっこむ。

そして、ウリエルはとりあえず二人をなだめる。


「クロトスはいくらなんでも女の子に手を出さない!ティニアさんも仕返しにしてはやり過ぎよ。」


ウリエルの言葉にしぶしぶながらも落ち着く。


「それと…ティニアさん。そのやり方は誤解されるわよ。」

「誤解?」


首を傾げるティニアにウリエルはため息を吐き、こっそりと耳打ちをする。


「そういう趣味の人ってことよ。……もしかして、本当に男よりもそっちが好きなの?」


ウリエルが囁くように言うとティニアは顔を真っ赤にする。

ちなみに、ウリエルの囁きは喫茶店内の者に丸聞こえである。

その反応にウリエルは更に何事かを囁く。


「そんなんじゃあ………。」

「―――っ!?」


突如として声にならない叫びをあげて顔どころか全身を真っ赤にしたティニアはリンの傍へ行き、土下座をする。


「ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!……」

「おっ王女様!頭を上げてください!リンちゃんも良いよね!!」


土下座をしながら何度も謝るティニアとそれを慌てて止めるエル、エルの問いに何度も首を頷かせるリン。

それを見ながらクロトスはウリエルにこっそりと聞く。


「……何を言ったんだ?」

「うふふっ♪」


怪しげな笑みを浮かべるだけで何も答えないウリエル。

グラムはその光景を見ながらも首を傾げるだけであった。


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