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神と地下空間

最近は毎週日曜日に投稿しています。

この話で18話。

21話まで書き上げました。

20話にまた番外をやらせていただきます。

クロトスが穴に飛び込んでしばらく降下していくと穴の底に光が見え始めた。

クロトスが穴を抜け出した先は海だった。

何処を見渡しても広がる青い海。

上空には青い空があり、クロトスが通った穴がポツンっとあった。

さらに落ちるクロトスの下には空に浮かぶ島があった。

何処かの小島をとてつもなく大きなシャベルで掘り出したような島は海から1000mほどの高さに浮いている。

島の中心には山、それを取り囲むような森林、島の半分は砂浜になっているがもう半分は岩場になっている。

クロトスは砂浜に何事もなかったかのようにゆったりと降り立つ。

数千mも落ちてたはずなのにその衝撃は皆無であった。

クロトスは服に付いた砂を軽く払いながら森の中へと進む。

森は深く、太陽もさえぎるほどだが妙に静かである。

聞こえるのはクロトスが木々を掻き分ける音、風で葉や木々が揺れる音。

生き物の鳴き声が聞こえないのである。

いや、気配すらない。

しかし、クロトスは気にせずにどんどん森の奥へと進んでゆく。

ここはクロトスが力で【創造】した空間。

店ではできない元の世界に戻るための大掛かりな魔法や実験をするために創ったのである。

しかし、それでは空や海を創る必要は無い。

だが、それには理由がある。

この王都:パシフィスは巨大な大陸の中心にある。

王都は森と山に囲まれており、海産物などは町から仕入れている。

しかし、新鮮な海産物が手に入るわけもなく、多くは日持ちのする保存食であり、生の物は結構な額となる。

そのためにこの王都内の飲食店は肉料理や野菜料理が中心である。

魚が食べたかったら馬で数時間かかる港町に行くしかないのだ。

クロトスはその王都の食糧事情に目をつけた。

そんな王都に新鮮な魚料理を安く提供できたらどれだけの話題となるであろうか。

すでに実験としてクロトス自身が海で捕らえた魚介類を下の海に放している。

ようは下の海は巨大な生け簀なのである。

今のところは特に問題もない…ことも無い。

前にクロトスが下の海を泳いでいたときにイカの群れが泳いでいた。

そこまでは特になんでもない。

……全長10mほどのイカの群れでなければ。

もちろんクロトスはそのような馬鹿でかいイカを放した覚えはない。

クロトスが過去に放したのはごく普通の大きさのイカである。

クロトスがそのイカに目を見張っていると脇から現れた巨大な魚がイカを捕食しようとしていた。

クロトスにはその魚にも見覚えはなかった。

心当たりはある。

大きさを考えなければ…。

細長い体。

銀色に光る体表。

口先はほんのりと黄色い。

…たぶん、サンマ…であろうとクロトスは考えた。

たしかにクロトスはごく普通の大きさのサンマを数十匹ほど放った。

10mのイカを捕食しているのは30mはあるであろう巨大なサンマ?である。

…クロトスは見なかったことにした。

しかし、そういうわけにもいかないのでクロトスはそのことを今後どうしようか考えていると森を抜けた。

そこは広大な草原であった。

至る所に花が咲き乱れ、自然の息吹が溢れるかのような場所であった。

クロトスはなるべく花を荒らさないようにできるだけ花が咲いてないスペースを探す。

10分ほど歩き、希望通りの場所を見つけたクロトス。

クロトスは力で魔方陣を【創造】する。

クロトスがここに来た理由。

クロトスはこの世界から出ることはできなかった。

この世界と元の世界を繋ぐことは出来るのだ。

しかし、その境を通ろうとすると壁のようなものにぶつかる。

力を使っても通る事が出来なかった。

では、向こうからではどうだろうか?

ただの疑問であった。

しかし、可能性があるなら試す。

それに漠然とした予感がある。

【これは成功する】という予感。


「これで…完了!」


クロトスは魔方陣を書き上げた。

魔法陣のような細かなものは力を使っても慎重に少しずつでなければ創ることはできない。

魔法、特に魔方陣は少しの書き間違いで何が起こるかわからないような不安定なものなのである。


「さ〜て、でっきるカナ♪でっきるカナ♪」


クロトスはアドリブで作った謎の歌を歌いながら体をほぐす。

別に体をほぐしても魔法に影響はないのだが気分の問題である、


「………。」


クロトスは何気なしに右腕を振るが何も起こらない。


「あっちの世界だったら無詠唱でも召喚できたんだけどなぁ。」


傍目にはただ手を振っただけに見えるが1流の魔術師でも出来る者が少ない無詠唱での魔法を行っていたのだ。

しかし、そもそも召喚魔法というのは超上級の魔法である。

無詠唱での召喚魔法など常識外である。

それをことも簡単に言うクロトス。


「手応えはあるんだけど…やっぱり、狭間の壁みたいなのが邪魔しているのか?」


と言いつつも笑うクロトス。

可能性が現実と化すかもしれない。

クロトスが向こうの世界に渡るよりも明らかに抵抗が弱かったのだ。

クロトスが魔法陣のほうを向く。


「やっぱり、魔法と力の併用でむりやりぶち抜くしかないか!」


すでに笑いは歓喜と化していた。

体が震える。

ワクワクする。

不思議な高揚。


「【彼の地は幻。紡ぎし現の扉を縛りしは怨鎖。】」


クロトスの言葉に共鳴するかのように魔法陣が光り輝く。


「【万象の理をもって開く虚偶の狭間。】」


光は徐々に強く、時には雷に似た閃光を放つ。


「【果たせ。盟約と汝の誓いを!】」


強烈な光が辺りを、クロトスを包み込む。


「【万物創造 《召喚》】!!」






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