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プロローグ
底無しトンネル物語
僕の住んでいる町には『底無しトンネル』と呼ばれる古いトンネルがあった。
今はあまり使われていないが、つい最近になって新道ができる前まで町のみんなが使っていた有名なトンネルだった。 僕も中学生の頃は毎日このトンネルを使って学校に通っていた。
トンネルの中は緩いSの字に曲がっており、照明は薄明るいオレンジ色をしていて不気味だった。またトンネルの途中に照明の切れているところがあり、あたかも先が真っ暗闇な底無しの道を歩いているようなそんな錯覚からこの名前がつけられたらしい。
しかし、僕が高校にあがると共にトンネルを迂回する新道が完成したため、『底無しトンネル』のある道は旧道となり、今では新道を使ってとなり町の高校に通っている。
これからする話は僕が中学の頃に地元で起こった事件と底無しトンネルとの奇妙なめぐりあわせを綴った物語である──