愛しき人は青い鳥に
「ねえ、幸の近くにいつも鳥が寄って来るよね?」
図書室の窓辺のテーブルで手紙を書く私に幼なじみの阿子が近づいてきた。
阿子は窓を一瞥すると青い鳥が幸を見ていた。
「あ、また青い鳥だ。私なんか青い鳥に好かれるのよね」
「青い鳥だけ!?」
阿子はそう言って幸の手元を覗き込んだ。
おばあちゃんへ
おばあちゃんが居なくなってからもう3年。
私が17才のときに身寄りが居なくなってしまったのは悲しかったけれど、働きながらなんとか高校を卒業できました。
今は昼に働きながら夜間に大学に通ってます。
おばあちゃん、私、デザイナーの夢を諦めないからね!
自分の力でなってみせるから!
「……泣けるなあ。またおばあちゃんに近況報告してたのかー」
阿子が涙ぐむ目元を拭いている。
「一年に一度は書かないと」
幸は真っ直ぐ前を向いている。
「半年に一回は書いてるじゃん?」
「そうだったね!」
阿子は幸のペンケースのキーホルダーを指差す。
「そういやそのキーホルダー買ったときのこと覚えてる?」
「覚えてるよ!2年前に卒業旅行に行ったよね!懐かしいな~」
幸は阿子に微笑みかける。
「そうそう!2人ともお金なかったから日帰りでさ!」
阿子は何かに気づいたように目を丸くする。
「そういえばそのときも幸、青い鳥を写真におさめてたよね?」
幸は首を傾け「そうだっけ?」と言ってきょとんとしている。
「そうだよ!温泉入ってから綺麗な秘境みたいな場所を見つけて!そのときにも居たよ!青い鳥!」
阿子の言葉を聞いて「う~ん、まだその写真が残ってるかな~」と言いながら幸はケータイの写真ファイルをスクロールしている。
阿子は食い気味に「ストップ!そこらへんだよ!」と幸のスクロールを止める。
「あ……!」
幸は驚き口を開ける。
「……あった」
秘境のような森の光が差す中で青い鳥がこちらを見ている写真があった。
阿子は驚いたように写真と目の前の青い鳥を見比べる。
「ねえ、幸!目の前にいる鳥とまったく同じだよ!」
「え!?本当だ……!もしかしてだけど、おばあちゃんが青い鳥になってわたしのこと見守ってくれているのかな?」
「そうかもしれないね」
幸の言葉に阿子は優しく微笑んだ。




