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最終話 『エピローグ』

数週間後、

北関東(きたかんとう)医科大学(いかだいがく) 後期試験合格発表当日。


黒岩から連絡があった。

結果はなんと「合格」だ。


前期の倍率が9.6倍だったのに対して、

後期の倍率は16.2倍だったらしい。


そこを勝ち抜くなんて、さすが元・エリートサラリーマンは地力が違う。



五條は私大も後期も惜敗し、

また来年度も医学部専門予備校 メディカル∞インフィニティにお世話になる予定らしい。


(おわる)は就職が決まり、一人暮らしを始めるために家を出た。

ここから6年間学ぶ自分とはずいぶん差が開けられてしまったように感じたが

最近はまた「ビーストクエスター」のギルドに毎日のように集まっている。


そして(しゅん)(みお)、黒岩とは来年同級生になる。


タロウは合格の報告をした帰り、

見慣れたメディカル∞インフィニティの校舎を見つめた。


ガラス張りの6階建てのやたら綺麗な建物。

もっと良い案あっただろうと言いたくなる謎の予備校名。

みんなで集まったラウンジ。


浪人した4年間はタロウにとって不思議な時間だった。

青春ほど生ぬるいものではなく、

現実というには地に足がついていなかった。


ただこの4年間を自分はずっと忘れないだろうと思った。


4月からは医学生一年。

ここからが本番だ。



≪完≫

あとがき小話「タロウ、合格。そして1ポイント」



北関東医科大学――合格。

番号を見つけた瞬間、タロウは3秒フリーズ。

「……あった」


そして五秒後。

「うおおおおおおおおおお!!!!」


予備校メディカル∞インフィニティに響く絶叫。


「うるさい」

「マジか!」

「おめでとうございます」

「自分ごとのように嬉しいよ」

「待って待って、動画回していい~!?」


タロウ、泣きながら笑う。

「俺、受かった。やっと、受かった」

そこにまた神様がふわっと現れた。


「願いを言え」


「もういい」

タロウははっきりとした声で彼に告げる。


「ほう」

「自分の1点は、自分で取った」

「成長したな」


タロウ、にやっと笑う。

「でもさ」

「うむ?」

「ここまで読んでくれた人がいなかったら。たぶん、途中で折れてた」


予備校の自習室の机。

赤本。

E判定。

泣いた夜。

笑ったクリスマス。

全部、思い出す。


「みんなのおかげで俺は受かった。

だから今度はさ作者に1ポイント、やってくれない?」


「最後の最後まで圧!?」


「俺はもう合格したから余裕なんだよ」



「今ならお祝いムードで押しやすいですよ〜」

「たしかに心理的ハードルは低いですね」

「ご祝儀だとおもってここはひとつ」

「……無理はしなくていい」

「任意ですよ、任意」


「ここまで一緒に戦ってくれて、ありがとう。

もしよかったらこの物語にも、合格をください。」


神様は静かに笑った。

「ポイントは、努力の証ではない。だが、背中を押す力にはなる」


「押してくれたら?」

「作者が次の作品も書ける」

「よし、それでいこう」


春の風が吹く。

浪人生だった少年は、医学生になる。

物語は終わる。

でも。

もし1ポイントが届けば――

また、どこかで。

白衣姿のタロウに会えるかもしれません。

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