第二十七話 『面接前の妄想100パターン』
二次試験・面接控室。
受験生たちはこの控室に入る時 スマホや貴重品以外の手荷物を没収される。
自分を強く見せていた全て装備を奪われ、身一つで勝負しなければならない気分だ。
控室で雑談に興じる者はおらず、皆一様にカンペを見ながら
必死に受け答えのシミュレーションをしているようだった。
タロウもおとなしく椅子に座っているも、足が貧乏ゆすりをしている。
緊張していた。
――落ち着け、大丈夫、今年はいける。
よし、俺もシミュレーションしよう。
タロウの脳内劇場が始まった。
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【妄想1:超圧迫面接】
面接官A:4浪? 4浪もするなんて遊んじゃったんですか?
面接官B:もっと向いてる学部あるんじゃないですか?
面接官C:あなたがそれでも医学部に入りたい理由は何ですか?
タロウ(現実)、思わず控室の机にガンッと頭を打ち付ける。
いつの間にか隣に座っていた俊が小声で言う。
「静かに」
「あ、はい」
タロウは驚かせてしまった周囲の人間に謝った。
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【妄想23:人格否定型】
面接官A:あなたは努力が足りない。そういう人間は根性がない。
タロウ:4年やりましたけど!?
面接官:それでも受からないなんて、やはり才能がないんだよ。
“お前みたいなやつ”は人生も失敗する。
タロウ(崩壊):主語がでかい、主語がぁあああああ!!!
――ハッと現実に戻る。
まだ呼ばれていないようだ。
心拍数だけ上昇。
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【妄想30:突然の英語】
面接官:“Why did you fail four times?”
タロウ:“Because… because… destiny…?”
面接官:“So, do you blame destiny?”
タロウ:“No no no destiny not blame please”
終わった。
――ハッと現実に戻る。
まだ呼ばれていないようだ。
心拍数だけ上昇。
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【妄想47:謎の医学クイズ】
面接官:膵臓癌の5年生存率は?
タロウ:え?
面接官:答えられない?
タロウ:え?
面接官:勉強不足のようですね。お帰りください。
タロウ(崩壊):それを学ばせてくれよおおおおお!!!
――ハッと現実に戻る。
俊が水を渡す。
「顔色が悪いですよ」
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【妄想82:泣き落とし失敗】
タロウ:もう4浪もしててぇ……親にも超心配かけててぇ……(涙)
面接官:感情論は結構です
――即死。
――ハッと現実に戻る。
俊が呼ばれ、席を立つ。
タロウは目線でエールを送った。
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【妄想100:言いがかり】
面接官:越知内?
タロウ:はい! 越知内タロウです!
面接官:うちの大学に越知内教授がいるんですが、もしかしてコネですか?
お帰りください。
タロウ:だ、誰!? 違います!!
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「受験番号10307の方」
タロウの番号が呼ばれた。
「ひゃいっ!」
タロウ立つ。声が上ずってしまった。
一歩一歩足を動かす。
心臓の音が体中に響いていた。




