表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/31

第二十六話 『タロウの二次試験』

二次試験当日。その日はひときわ寒く感じられた。

タロウは北関東(きたかんとう)医科大学(いかだいがく)の校門の前で一度立ち止まった。


5回目。

現役の時を含めて5回、この門の前に立った。


――今年こそ通せよ。


弱気な自分に負けない様に、心の中で悪態をつく。


________________________________________


北関東医科大学の二次試験の試験科目は

数学、化学・生物、英語、面接を含む適性試験の4つだ。


タロウはこの日何故かすっかり落ち着いていた。

共通テストで「もう落ちた」「5浪確定」と結果を受け止めてしまったため

この2次試験はボーナスステージのような気持ちだったのかもしれない。


いつもは周りを見る余裕もなく、心臓バクバクでくぐっていた門。

――こんな形だったっけ。


5年目にして初めて校舎の全体を見渡した気がした。


頭の中はひどくクリアで

タロウは冷静に問題を解くことができた。


そして最後の教科・英語。

北関東医科大学の英語の定番かつ山場は英作文だ。

問題用紙が配られると、タロウはまず真っ先に英作文の問題を確認した。


テーマ:「困難を乗り越えた経験について述べよ」

――出た。大学入試の大好物テーマ。


タロウは自分の中で使えるカードを思い起こす。

・4浪カード

――……重い。


・彼女が生まれてから一度もできていないこと

――乗り越えられていない。


悩んだ末、タロウは数秒止まり、ある一つの出来事を思い起こした。

その出来事を書こうとしたが、少し書き始めたところで手が止まる。


――お前今まで散々ふざけてたくせに、急に真面目ぶるなよな。


少し悩んで、タロウは書き始めていた数単語を消しゴムで消し、

題材を変えて書き始める。


≪タロウの題材:4浪を乗り越えた経験について≫



全ての行を埋めて、見直すとちょうど終わりの鐘がなり、

回答用紙が回収される。



手元から離れた瞬間、

共通テスト後の(しゅん)の言葉を思い出す。


――タロウさんの短所は、ごまかすところですよ……。


タロウは鉛筆をぎゅっと握った。

今日はこのまま、面接だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ