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第十七話 『祖母の命日』
基本的に平日は夜19時以降、休日は朝8~10時に更新。
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【共通テストまで 171日】
朝、線香の匂い。
今日は祖母の命日。
母が静かに花を替えている。
祖母が亡くなって5年。祖母の命日には誰が決めたでもなく
越知内家が全員集まって手を合わせる。
タロウも寝癖のまま、仏壇の前に座る。
「……おはよ」
誰に言ってるのか分からない挨拶。タロウも仏壇に手を合わせた。
写真の中の祖母は、相変わらず優しい顔だ。
いつも強がってふざけてばかりのタロウだが、祖母の前では少しだけ素直になる。
5年前。
病室の白い光が脳裏に焼き付いている。
しわくちゃで柔らかくて、細い手がタロウの右手を握る。
「タロウは優しいから、医者向いてるよ」
あの言葉だけが、やけに鮮明に残っている。
手を合わせながら、タロウは祖母に話しかけた。
――おばあちゃん。まだ受かってない。
「まだ」言い訳みたいで嫌だった。
でも本当だ。
タロウは心の中で言う。
――ごめん。
謝ることじゃないのに、謝る。
静かな朝だった。風が庭の金木犀の木を揺らす音だけが聞こえた。




