第十四話 『#理系男子 と #映え女子』
基本的に平日は夜19時以降、休日は朝8~10時に更新。
たまに一日に複数話投稿することもあります。
【共通テストまで 198日】
医学部専門予備校 メディカル∞インフィニティ・自習室。
白川 澪は机を整えていた。
・文房具の色はくすみ系カラーで統一
・IPhone角度は床から75度
・スタバ(今日は本物)
・光の入り方チェック
「撮影入りまーす」
そしてシャッター音。
澪のインスタグラミン用の撮影はもはやメディカル∞インフィニティの日常の光景になっていた。
もう誰も気に留めたりしなかったが、
タロウの小声の合いの手により、終は思わず吹き出してしまう。
「見栄を張らない」と決めた澪だったが
ちょっとした息抜きとや自分へのプレッシャーとして、SNSへの投稿は続けていた。
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「俊くん、ちょっと」
「はい」
休憩時間、澪が俊を呼び止める。
「この位置に座って」
ラウンジの中・観葉植物の前。窓際で自然光が当たる位置だ。
「え?」
「背景に数III入れたい」
「……?」
「ペン持って」
「こうですか」
俊が自分のペンを握って見せる。
「違う、顔はもう少しキリっとして。もう少し“努力してる感”ほしい」
「努力はしてます」
俊は何を指示されているのかよく分からないと思いつつ、
気持ち眉を寄せて見せた。
パシャ。
「被写体にされとる」
その様子を浪人生トリオは見ていた。
澪がスマホで写真を確認。
「いいね」
そして満足げな表情でうなずいた。
「何がですか」
「“黙々と難題を解いてる天才感”出てる」
澪のスマホをタロウたちものぞき込んだ。
「出てる」
「出てるな」
「出した覚えないです」
俊は首をかしげながら頭をかいた。
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@mio_shirakawa0908
努力
#医学生になる #勉強仲間
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という投稿文と共に、
先ほど撮影した写真が投稿されている。
顔はしっかりとは映っていないが、イケメン感は醸し出ていた。
5分後。
いいね:300
「今までにないスピードだわ」
澪がどや顔で5人にスマホ画面を見せた。
「戦略家だな」
「将来は企業の広報担当とかむいてそうだね」
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コメント欄:
「お似合い!」
「カップルで勉強なんて素敵!」
「彼氏ですか?」
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「!?!?」
俊が珍しく動揺して、手元のペットボトルを床に落とした。
「カップルだと勘違いされてるな」
「みたいだねぇ。俊くん、なんて返そうか~?」
澪はニヤニヤしながら俊に尋ねた。
「ただの予備校仲間です!!!」
俊は強めに否定した。
いつもA判定で余裕ぶっている俊の動揺に、浪人生たちは面白がった目線で見ている。
「だよね、私 年上好きだし~」
澪はしれっと交わした。
からかわれた俊は、顔を赤くして何も言えずに口を開けている。
「だからと言って、浪人生も嫌だけどぉ」
面白がっていた浪人生たち、流れ弾を食らう。
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翌日。俊、復讐(?)。
「白川さんって“映え“好きですよね」
「なに?」
俊は数Ⅲの問題集をひらいて澪に見せる。
「この問題、解法3通りあるんです」
「うん」
「どれが一番“映え”るか解いて教えてもらえませんか?」
「……」
澪は数学が苦手だ。
俊の見せた問題を見て固まっている。
「逆襲」
「学力で殴った」
その日の夜の澪の投稿。
昼間に俊に解かされた数学の問題の途中式の写真と
一文が添えられているだけだった。
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今日は映えない日。
#医学生になる
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いいね:1500
過去最高の数字を記録した。
「なぜ?」
その投稿をみて俊が澪に尋ねる。
「こういう真面目な投稿が、たまには“映え”る」
逆襲のために解かせた問題が、結果として”映え”を手伝ってしまったことが
俊は悔しいようだった。
「まあでも、からかってごめんね」
映え女子、白川 澪。
理系男子、早瀬 俊。
今まで交わることのなかった二人。
だが今日も同じ教室で問題を解き続けている。




