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記憶が一日しか持ちませんので、貴方のことは知りません  作者: 涙川
第一章

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20/25

3月2日


3月2日

僕にとっての運命の日が来た。



今日は学園の完全休日の日で、早起きはしないつもりだったが目が覚めてしまった。

時間はまだ朝の四時頃と言ったところか。

カーテンの隙間から明るい外の光が差し込んでいる。春の気候になってきているのを感じた。


寒い空気も、いつのまにか少し暖かいような気がする。ぼんやりあくびをしていた。


その時ふと桜の香りがした

気付いたらリビングの僕が寝ている横にさくらさんが膝を立てて座っていた。


「!!」

あまりに驚いて声を上げようとした僕の口をさくらさんの手が塞ぐ


昨日はさくらさんが僕の名前を思い出して呼んでくれた、今日はもしかして、キスのことを思い出したの?あの日の続きをしようとか…?

 

口を塞いだままさくらさんの顔が近づいてくる。こんなことなら、新品の部屋着で寝たらよかった——————




 

「‥声を出すな、外に誰かいる‥」

さくらさんが小声で囁いたのは全く違う話だった。動揺を隠せない。思わず起き上がりそうになって体を抑えつけられた。


耳を澄ましても外の気配なんて全くわからない。音もしない。

なんなら密着されていて緊張と不安とでおかしくなりそうだった。



 

「‥3人に守護をかけてくる‥動くなよ‥」

 僕に触れたのはそれもあったのか。

泊まり込んでくれている床のレイたちを見る。


首を振って理解の合図をしたらさくらさんの手が離れた。唇に触れていた手の感覚を反芻してしまう。


命を今狙われているというのに僕はどこまで呑気なんだ…

 


ドォン!!!!!!

さくらさんが3人に守護をし終わったかどうかわからないタイミングで、大きい地響きのような音と共にガタリと部屋が揺れた。


意図せず声が出てしまう。地震のような、もっととてつもない大きな揺れだった。




 

「ハルト」

揺れている中で自分と同じような声の響きが聞こえる。


 

「なぁ‥死んでくれ」

懇願するような声にそちらを向いてしまう。

これは弟の、ルカの声だ。



この世で初めて呼吸をしたのがほんの数秒違っただけの自分の片割れ——その数秒で、僕たちの道は変わってしまった。

哀れな弟、僕より有能な弟、僕はお前のために死んだっていいんだ……

暗闇に手を伸ばす。僕はそちらに向かっていこうとした。

 

 


「死なせない」

声がして気づいたら僕の前に人がいた

僕より小さいのにとても強かった。僕の伸ばした手を掴み自分の体に回した。



世界がグラグラ揺れているのに、その背中は揺らぐことはなかった

 




「ちゃんと掴まってろ、戻るぞ」

手を上げて指を鳴らすと、一瞬で世界が変わった。


そこはあの学園のそばの倉庫だった。揺れは止まり、倉庫の中にはレイとリアとシオンもいた。僕に向かって来る。

その奥、そこには自分と同じ顔の人間が立っていた。


「‥ルカ‥」

僕と同じ淡い茶色の髪、僕より少し濃い目の色

背丈もほぼ同じ、僕の双子の弟だった





「‥本当に全員飛ばしてきたんだ‥」

レイが僕のそばで呟く。

何が何かわからないが、眠っていた3人や襲撃者もまとめてさくらさんがここまで全員飛ばしたらしい。


全員素足にパジャマ姿で、そばには昨日枕元に用意していた剣だけが転がっている。

動揺する僕の横にシオンとリアが立つ



「ハル、俺は剣術しか使えない。どうにか耐えるぞ」

「ハル!俺は剣術も封言も割とダメだ‥でも、盾くらいならなるはずだ!」

「ふたりとも‥」

床に落ちた剣を拾い、レイも横に来た。笑っている。



「さくらが助けてくれるの待つだけじゃ流石にカッコ悪いもんね」

そう言って剣を抜いた。



僕たちに実戦の経験はない。授業や家で訓練した方があるだけだ。

辛うじてリアが騎士団の訓練に参加しているが、優秀な成績を授業で収めるのとは訳が違う。全員が緊張していた。




「ハルト、四家のやつらに囲まれていいご身分だな」

僕と同じ顔で叫ぶ。その周りには見知った顔の貴族や、術師であろう人間が数人いた。



 

「なぁハルト……なぜ生きているんだ……俺のために死ぬって言ったじゃないか」

そう言ってこちらに向かって銃を撃つ。

僕に当たるとルカが傷つくのに、わかっているのだろうか。

 

「やめろルカ!もうやめよう…」

剣を構えていられなくて、床に向けた。



「貴方はどこまで弱腰なのですか?一ノ瀬ハルト、貴方は後継者には向きません。やめるのは貴方です。私たちは貴方を認めない」

見たことがあると思ったら国の宰相だった。

そんな立場からも僕は相応しくないと思われていたのかと愕然とする



術師が手を上げて何かをするが、守護で弾かれる。


「有栖川め‥」

さくらさんの守護を通過させるためには自ら死にたいと思わせるしかないのだろう、だから追い詰めてくる言葉で傷つけてくる


それはわかっていた。本当でも嘘でも構わず、僕が死にたくなれば良いんだから。



 


「お前がずっと嫌いだった!」

「やめろ‥」

「ハルトが死ねば俺が後継者だ。父さんもそれを望んでる」

わかってる。


そんなことずっと前からわかってる。

生まれたのが逆ならよかったって何百回も思ってる。



痺れを切らしたのか、貴族達が僕らに剣を向けて来る。慌てて剣を構えて応戦する。


授業と違って予想のできない動きに何度も斬られそうになるが、その度に守護で相手が弾かれていく。



「僕は弱い‥今だって守ってもらわないとダメだ‥」

「そうだ。お前は弱すぎる、ハルト」

ルカの声がする。


「でも、僕はもう、譲らないって決めたんだ‥」

剣を持ち直す。

周りをみたら3人も同じような状況だった。ルカは余裕のある微笑みでこちらを見ていた






 

「家族会議は終わったか?」


いつのまにか倉庫の真ん中でさくらさんが立っている。赤のチェックのパジャマのまま、裸足でぼんやり立っていた



「‥有栖川さくら」

「一ノ瀬ルカ様、初めてお目にかかります」

そう言って胸に手をやり、スカートを広げる仕草をして礼をした


その姿にルカは微笑んで、さくらさんとの距離を詰めていく。


「貴女が居なければとっくに俺が後継者だったのに。なんで貴女みたいな人がハルトを庇うんだ?」

さくらさんの腰を引いて抱き寄せる


「ルカ!」

「ハルトの助けを期待しても無駄だよ。封言士は口を塞がれたら何もできない。剣術の方はお粗末だって聞いてるよ」

さくらさんは黙って聞いている

僕が近寄ろうとしても、貴族が剣で切り掛かってきて先に進めない



「貴女は魅力的だ。ハルトじゃなく俺にしたらいい。ハルトより俺の方がなんでも上手いよ?キスも‥それ以上のこともね」

さくらさんの頬に手を当てている。

ここから顔が見えない、さくらさんは、なぜ抵抗しないのか不安になる



「‥剣術がお粗末で悪かったな」

さくらさんはそう言った。ルカは笑った。



「勘違いしているようだが、貴方達はそこまで似ていないぞ。」

「俺たちは双子なのに?」

「私から見たら全然違う。それは‥貴方にもわかってるはずだ。」

「‥ッ黙れ!」

ルカがさくらさんを突き飛ばした。

飛ばされたさくらさんは床に倒れた。

僕たちがさくらさんの名前を呼ぶ。




さくらさんが両手を掲げた。

息を吸って詠唱を始める。それを止めようと唇を塞ぎにルカは走った。



 

 

「有栖川さくらの名において命ずる。この場にいる私の守護のある者以外の人間に呼吸を禁じる。今すぐ頭を垂れて‥」




「跪きなさい」

 


 ザッ————

一斉に床に膝を付ける音がした。


それは異様な光景だった。

先程まで剣を構えていた人間までもが、僕らを除いて全てその場で頭を下げて跪いている。

それは全員で命乞いをしている様に見えた。

 



さくらさんは膝を払って立ち上がった。

髪の毛は爛々と赤に輝いていた。

その色は、ゾッとするほど美しかった。

  




「おまえ‥ッ!あ…かの……ばけもの…っ」

封言の力を使う術師はさくらさんに向かってそう言葉を出した。


さくらさんはその術師に向かって歩いていく。

僕たちはその場に立って、剣を離し、ただ見ているしか出来なかった





「よく知ってたな。でも無理に会話をしたお前はもう生きられないよ」

 ドサッ、ドサッ、息を止めた人間から倒れていく。


僕らも力が抜けて膝をついた。

跪く中にルカの姿もあった。






 

「一ノ瀬ルカ、呼吸を許そう」

さくらさんがルカの肩に触れたら、咳き込んでフーフーと呼吸をした。目は虚になり、まだ視点が合っていないようだ。


 

「ルカ……っ」

僕が駆け寄ると、ルカは肩で息をしながら泣いている。僕の手を何度も何度も払う。



 

「な……で、ハルトばっかり……っ俺だって……同じなのに……」

声を上げて泣く。

その後ろでも一人、また一人とルカの味方は息を止めていく。




「ごめん、ごめんな……代わってやれなくて…………ごめんなさい…」

双子の片割れを抱きしめた。なりそこないの後継者の僕と、完璧なのに後継者にだけはなれない弟。




カチ、鈍い金属の冷たさが目に当たる。

「やめッ‥!!!」

バァンと言う音で弾が放たれた。

僕の目に向かって放たれたそれは、ルカに倍になって戻っていった。目の前で頭が貫かれる様を見た。スローモーションのようだった。




弟は僕の腕の中で静かに息絶えて、もう動くことはなかった。僕は何もできなかった。結局ルカを助けられなかった。


ドサ、と人が倒れた音がすると、それ以降音はしなかった

僕が泣く声だけがその場にこだまする。

ペタペタ、歩く音がして上を見ると、赤い髪の人が立っていた。



 

 


「はじめましてみなさん、私は有栖川櫻子と申します。」

赤色の目に赤色の髪、そして名前を櫻子と名乗った。和かに微笑む姿は、いつもと同じようで少し違っていた。



「さくら……こ…?…」

「はい、そうです」

僕の頭は全く働かなかった。何がどうなっているかわからなかった。



僕は心のどこかで先輩はルカを説得したり、能力を使ってどうにか穏便に済ませてくれるのではないかと思っていた。


襲撃者は全て皆殺し、それが今回の顛末だった。


「一ノ瀬ハルト、貴方は優しすぎる」

それだけ言うと先輩は背中を向けた。



「とりあえずここから移動しましょう。着替えないといけませんし、きっとこれから忙しいですからね」



先輩のその言葉の通り、その後僕の家やレイの家から人が押し寄せた。王国の警備隊も交代で僕らの元を訪れて事情を聞いて行った。


南の国から僕の両親が呼ばれて、数日後訪れた両親はルカの亡き骸と対面した。

事情を聞いた父さんは僕に泣いて謝ったが、僕は何も言えなかった。





倉庫の中の亡き骸は貴族が大多数で死に方も特殊だった為、王の判断を仰ぐまでになった。





「‥寂しい?」

ルカの亡き骸を見つめる僕の横にさくらさんがいつのまにか立っていた。声をかけられても反応できなかった。


遺体安置所の真っ黒な棺の中で、僕の片割れは花に埋もれて眠りについていた。


僕と全く同じ髪色、瞳だけ父親似なだけ、それ以外全く同じな僕の弟。小さい頃からずっと一緒だった、母のお腹の中でもずっとそばにいた。どうしてこんなことになったんだろう。




「‥救えなくてごめんな」

「……さくらさんの…櫻子さんのせいではありません。」

隣を見ることは出来なかった。

僕は心のどこかで彼女を責めていたのだろうか。



とにかく胸が苦しくて何も考えられなかった。


その日は葬儀を行う建物に泊まった。

先輩と離れて眠るのは実に半年ぶりのことで、顔を合わせないのも半年ぶりだった。


翌日も朝から忙しく、朝から様々な事の対応に追われていた。



ルカは本来ならば僕を殺そうとした事で犯罪者として一族から除名になるところだったが、僕が反対したことで何とか免れる事ができた。

これでルカは一族の墓に眠ることができる。それだけが今となっては唯一の救いだった。

葬儀は一部の一族の者だけで行われ、世間的にはルカは事故死したことになった。

葬儀が終わると、両親は今回のことの後始末を付けるために国に戻ることになった。



「王からの質疑の日、立ち会えずすまないな」

父たちに声をかけられたが僕はまた何も言えないまま、両親を見送った。


そこから王都にある別宅に行くつもりにもなれず、先輩の家に帰ることにした。

 

部屋の扉が開くと、驚いた顔の先輩がいた。

髪や目は赤いけど、それ以外は全く変わらない姿だった。



「僕‥‥ここにいてもいいですか?」

「‥‥上がってくれ」

僕は招かれて部屋に上がり、ソファに座った。

黒いシャツからネクタイを緩めて外した。



長い一日だった。

先輩が温かい紅茶をソファの前のテーブルに置いてくれたが何もする気力が沸かなかった。


先輩は向かいのソファに座っていた。何も言わず、ただそこにいてくれた。時折何か言おうとして口を開いては閉じるを繰り返している。



「抱きしめてもいいですか」

僕が聞くと、先輩は困ったような顔をした



「私が怖いだろう‥貴方の期待した私はこれではない‥貴方が悲しんでいるのは、何もかも私のせいだ。本当に申し訳ない‥」

先輩が泣きそうな顔をする。

なぜそこまで謝るのか分からなかったが、断られなかったので立ち上がって隣に座った



「‥いいですか?」

僕が腕を開げると、何かまた言おうとして口をきつく結ぶ。

また何も言われなかったので肯定と捉えてそのまま腕に納めた。


とくん、とくんと心臓の音がする。ルカからはもうしない音。

心地のいいリズムは、少し早めに音を立てている。



「封言は想いの強さが大切だと前にも言ったな‥私はあのとき‥一ノ瀬ルカを許せなかったんだ。他にも何か出来たかもしれないのに、私は彼が死んでもいいと思ってしまった‥貴方が悲しむことは考えていなかった」

何も聞いてないのに早口でそう言う。


だから一ノ瀬ルカは、私が殺したようなものだ。と続けた先輩の顔は見えない。


先輩が僕の代わりにルカに怒ってくれているのはわかっていた。僕は誰のことも責められなかった。





「‥櫻子さんを怖いなんて思ったことありません、守ってくれてありがとうございます。」

「私は‥」

「少なくとも僕がここにいるのは、貴女のおかげです」

それだけは間違いなかった。

腕の中の彼女は泣いているように感じたが、顔を見ることは出来なかった





僕は僕が許せない。

僕が最初から期待させなければルカが死ぬことはなかった。

櫻子さんが悪いなんて絶対に言えない。

それだけは耐えられない。



「‥櫻子さん、目の色をまだきちんと見てません。顔を見てもいいですか?」

腕の中に問いかけると、櫻子さんはゴソゴソ僕の胸に顔を押し付けてから顔を上げた


ルビーのような深い赤の瞳に、鮮やかな赤色の髪だった。それはすごく綺麗だった。



「すごく綺麗です‥僕も櫻子さんの目の色の宝石を買わなくちゃ」

僕が笑うと、先輩は複雑な顔をする。




「私は貴方の思っているような綺麗な人間じゃないよ‥全て思い出したからにはここには居られない。」

赤色の瞳は泣いたように濡れていた。



明日、王との謁見がある。

そこで今回の件がどう判断されるのかは僕にはわからない。特に、櫻子さんの能力について知った王がどうするのか。




「今日だけは、僕のそばにいてくれますよね?」

「‥私たちは口付けまでした仲だしな。」

ああ、もう全て覚えているんだった。

これからはいいことも悪いことも全部覚えていてくれるのか。そんな普通のことが怖くもあり、嬉しくもある。



「一ノ瀬ハルト、明日以降どうなろうが、私は貴方との生活が楽しかったよ。私を怖がらないでいてくれてありがとう」

「‥最後みたいな言い方ですね」

先輩は笑った。


「どうかな、私はもう忘れない。今日が最後かどうかはわからないよ」

その言葉を信じてまた抱きしめた。


 

 





「一ノ瀬家の次期後継者、ここへ」

王の前に立ち、ことの次第と顛末を伝えた。


王族は皆黄金の髪に碧眼を持ち、歳を重ねても見た目がほとんど変わらない。

今の王も父と同世代なのに全くそうは見えない若々しさだ。

 

「有栖川櫻子、ここへ」

頭を下げて櫻子さんが進み出てきた。

今日は裾にかなりボリュームのあるドレスを身につけていた。動きにくそうだ。



「今回の件より前に、偽りの名を騙っていたのはなぜだ?」

王は櫻子さんに問う。


「私は‥幼き頃よりこの赤い髪と目のせいで、化け物と呼ばれ‥封言を使いこなすようになると、力を持て余しておりました。」


「叔父の伝手でこの王都にある学園の封言の講師として招かれ、喜び勇んで参ったのです。しかしいざ学園に入ったところ、私も…私も学びたいと思ったのでごさいます。」


「でもこの髪や目、膨大な力のままでは、いくら多種多様な人種が集まるこの国でも悪目立ちすると思い‥‥有り余る力と記憶と共に自らで封じたのです。」

櫻子さんは頭を下げたまま言った。





「学園で学びたい?そんな事のために‥身分を偽ったと申すのか」

「‥‥その通りでございます。」

その言葉にざわざわと王の側近が騒ぐ。

ただ学びたい。そのためにあんな事までできる能力を封じるなんて思わないのだろう。


僕は櫻子さんがどれくらい授業を楽しんで受けていたか知っていた。記憶を無くしてもそれだけは変わらなかったようだ。

 

王は騒ぐ側近を手で制し、しばらく無言で考えたあと話し始めた。




「ともかく、その力は素晴らしい。その身はひとまず王城で預かろう。それ以外の者はご苦労であった。よく休みなさい」

王はそう言ってこちらに微笑んだ。


櫻子さんは頭を上げたあと、騎士に連れられて奥に消えていった。こちらを一度も振り返らず、声をかける暇もないまま、その場は終わった。






僕たちは翌日からまた学園に戻った

何もなかったように過ごしたが、僕が一ノ瀬家の後継者に決まったことを知った貴族の子たちの態度が全く変わっていた


僕は変わらずとも、周りは僕を後継者として見ている。その重圧を感じて、僕はルカを思う。



何日過ぎても櫻子さんは帰ってこなかった。



「‥最後じゃないって言ってましたもんね」

僕は櫻子さんを思って、部屋で待ち続けた

いつまでも。





 

 

 

 

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