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記憶が一日しか持ちませんので、貴方のことは知りません  作者: 涙川
第一章

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懇談会

「ハル!こんなところにいた!なんで一人なの?どうしたの?何があったの!?」

ハッとしたら、シオンの声がした。


周りをよく見たら暗くなっていて、僕は一人でベンチに寝転んだままでしばらく放心していたようだった。

 


「口の周りどうしたの?口紅がついてるよ」

指差されて思わず口の周りを拭った。

恥ずかしくてシオンの顔が見れずにいると、ハッとした顔のシオンが怒る



「ハルもさくらさんを襲った??無理矢理襲うなんて人間としてありえない!!!」

「お、襲うなんて……」

顔に熱が集まるのを感じる。

心臓が熱くて溶けてしまいそうだった。

もしかしてもう燃えてしまったのだろうか?




キスしちゃった。しちゃっただけではなくて、されちゃった——


もうすごい長くて……至近距離で見たさくらさんの目は黒ではなくて赤色に見えた。燃えるような赤。

ギラギラしていて、このまま頭からつま先まで溶けてしまってもいいと思ったくらい唇が熱かった。まだ繋がっているように感じるくらいだ

 


「もう懇親会だからしっかり!いつまでも余韻に浸らない!」

先程の出来事を何度も反芻しては口に触れてみて惚けてる僕を引きずっていったシオンは、僕にパッパッと着替えを渡して来た。


もう僕の頭は薔薇色で、正直言って使い物にならなかった。

 



シオンに連れられて懇談会の会場に着くと先に着替えていたレイやリアがいて、そこにはさくらさんもいた。



さくらさんは僕の贈ったドレスではなく、黒色のドレスを着ていた。

今この状況で僕の色を纏うのは色んな意味で危険すぎると判断されたようだ。

  



「あの…さくらさん……」

僕が話しかけると、パッとこちらを見て泣きそうな顔をした。思っていた反応ではなくて動揺する

 

「ほんとにお前ら……」

そのさくらさんの様子を勘違いしたシオンが僕とレイを叩く。


 

懇親会が始まり、僕らは一塊で行動したので個別で話をする時間はなかった。

僕が話しかけようとすると、シオンは僕らの間に割って入りさくらさんはそれを受け入れていた。


さくらさんを見ていても、全く目が合わない。

 


ほんとに嫌で気付けていたらどうしよう‥ていうか朝に違う男にキスされたあとまた奪われたら割と嫌……あの時はよくても後から嫌になるかも、なるかな、どうしてあんなことしたんだ…でも二回目は僕からじゃないけど……

 



懇親会どころではない脳内でてんやわんやだった。

明日になったら、今日のさくらさんの気持ちを聞くことはできないのに。早く話がしたい、気持ちを聞きたい


待って!さくらさんが僕のことを好きだったらどうしよう。



 

「こんばんは、いい夜ですね」

にこやかに近付いてきた男に軽く会釈をした。

もう完全に意識は別のところにあった。


男は胸元に何か握って、そのまま抱きついてくる。ヒュッと何かが抜かれる。





一瞬‥‥‥世界が変わって、気付いた時にはさくらさんの家の玄関に立っていた。





 

「……何……え?」

状況が理解できずに立ち尽くしていると、目の前にレイが慌てた様子で現れた。

僕を見つけると安堵した顔で、また消えようとする

 

「待って、何がどうなったの?!」

僕がレイを呼び止めると、レイは慌てたように早口で言う



「男が手榴弾を持ってた、自殺に巻き込まれる形だったから守護で弾かれなかった」

「怪我人は……さ、さくらさんは?」

「わからない、いまから確認しに戻る」

「僕も連れて行って!」

言い終わる前にレイは消えた。


レイは人と一緒には転移できない。というか、そんなことができる人はさくらさんしか知らない。




 

「きっと大丈夫だ……」

そう思う気持ちがあるのに、心臓がバクバクしている。さくらさんは絶対大丈夫。何故かそう思う。


「いかなきゃ……」

もう気付いたら走っていた。

 

 

 






 


私は逃げた。

懇親会でも申し訳なくて目を合わせられなくて、降谷シオンの背中に隠れて逃げていた。




あの時、完全に痴女だった。変態だ。


穴があるなら入りたい。そしてそのままもう二度と現れないように埋めてほしい——



恐らく一ノ瀬のあの言葉のせいだ。封言となり縛られた。


途中で止められなかった理由はわからないが、もうそれはそれは、どこまでもねちねちと追いかけて唇を奪ってしまった……五分いや十分……それ以上やっていた。捕まってもおかしくない。逃げていても仕方のないことなのに、不意に一ノ瀬の唇を見たり、瞳を見るとおかしくなりそうだった。もう殺してくれ——————

 





心の底からそう思っていたとき、カチという金属音がした。この場に不釣り合いなそれを振り向いて確認したときにはもう遅かった。


「私と死のう、一ノ瀬ハルト」

一ノ瀬に腕を伸ばす男は手榴弾を握っていた




世界がコマ送りのように見える。

この距離で守護のない人間が爆薬の破片や爆風を浴びたら大怪我するかもしれない。


    瞳が熱くなるのを感じる。


一ノ瀬に触れて、指を鳴らして一ノ瀬を家に送って男を受け止めて目を閉じた。

爆破の音がしたあと、しばらくして風が吹いた



 

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