最初の一文字
掲載日:2025/10/29
最初の一文字は、いつだってめちゃくちゃ重い。
何から書き出せばいいのか、
どんな展開にすればいいのか、
まったくもって分からない。
そんなときは
「神様、いい閃きをください」
なんて、つい願ってしまう。
でも、もし本当に神様がくれた閃きなら、
それはもう自分のものじゃない気がして納得できない。
神様に手柄を取られるなんて嫌だ。
やっぱり自分の頭からひねり出した文字でこそ、
手応えを感じられる。
そういう意味では聖書や神話は言葉の余白で遊べないから苦手かも。
誰かが作った作品は賛否両論で議論の余地があるからいい。
そうして憧れとか、反発とか、刺激とか、
そういうのが火花になって、頭の中で化学反応を起こす。
そこから燃え出た作品こそが、
「ああ、これ作った人、ちゃんとこの世界に生きてたんだな」
って思わせる。
それがとてもいい。
この頭の中には、いろんな人の言葉や今までの経験が詰まってる。
本や映画や会話、ちょっとしたニュースや風景。
そういうのが毎日のなかで
ぶつかって
混ざって
ふいに何かが生まれる。
そしてようやく、一文字目が出てくる。
最後の一文字を打つとき、神も偶然も沈黙する。
ただこの手だけが、その余白の意味を知っている。




