何気ない日々の片隅に①
「よいしょ……っと。」
こんなにぐうたらしていたら太るなぁとか思いながらも、大学の課題がなくなった今、私はバイトと車校以外にやることがない。だからこんな風にアニメやラノベ漬けな日々を送っている。
今日も車校以外、1歩も外に出なかった。そして、久志は今はバイトに行っているから、この部屋には私1人。アニメの再生は止めたから、クーラーの音だけが響いている。
「そろそろ、作らないと。」
そんな久志に晩ご飯を作ってあげることが、今やらないといけないこと。だから起き上がった。起き上がって、こうしてキッチンに立っている。
何を作るかなんてまだ考えていない。けどまあとりあえずキャベツを千切りする。トントンと気持ちいいリズムを奏でながら、細いキャベツの山を築いていく。この1晩で食べるにはちょっとだけ多く感じるが……そうだ。鯖の塩焼きにしよう。
「ってことは……」
冷凍庫から鯖を出して、電子レンジでチンする。解凍した鯖は、軽く塩をまぶしてフライパンの上に並べた。
付け合せは何にしようかと考えて、結局思いついたのは、作り置きしていた浅漬け。これは久志が「きゅうり買いすぎたー!」とか言って作ったもの。私も、キャベツが安かったから作ろうとしたが、浅漬けの素が少なすぎて作れなかった。ちくしょう
ジューっといい音を鳴らして、フライパンの上で焼かれている鯖の切り身(エルパでめちゃ安で買った)を眺めながら、お湯を沸かす。これはインスタントの味噌汁を作るためのもの。本当は出汁からちゃんと作ってってしたいところだが、時間がないのでパス。
「ふんふんふふーん」
鼻歌を歌いながら晩ご飯を作っていると、ガチャっと音が鳴った。
「ただいまぁ〜。疲れた〜。」
疲れた様子の久志が帰ってきて、そのまんまの勢いで椅子に座り、もたれる。
「おつかれ。」
「おう。」
気の抜けた返事をする久志にお茶を持っていったら、「ありがと」って言って、美味そうに飲んだ。
「今日の晩はどーすんの?」
「鯖の塩焼き。私が今日は作るから、明日はよろしくね。」
「ありがと。明日は任せといて。」
そう言って笑う久志。その間に鯖も焼けたみたいで、いい匂いがしてきたので、盛り付けにキッチンに戻る。久志は疲れているだろうに、ご飯と味噌汁の用意をしてくれて、机の上に置いた。
「「いただきます」」
2人揃って手を合わせて、晩ご飯を食べ始める。そして今日1日あったこととか、何気ない話をして夜のひとときを過ごした。