端的に言ってアホである④
たとえばの話だ。長らく会えていない親友と連絡するとなったときというものは、どんな気持ちになるだろうか。楽しいとか寂しいとか、また他の気持ちか。
まぁそんなところだろうが、男同士である場合は結局そういう話になる場合が多いと思う。
「小豆島まつりって今日やったっけ?」
ピー也こと田辺拓也の投稿を見て、そう送る。同じ大学と言えど、学部が違うとやはり会うことはない。少ない以前に、そもそも交流がないからしょうがない事だが、会えないとやはり情報共有もしない。ということだ。
『そやでー』
そんなメッセージと共に、祭り会場の写真が送られてくる。
小豆島まつりは2部開かれる。まずは俺たちが行った土庄町のまつりが開かれ、そしてこの写真にある小豆島町のまつり。ピー也が彼女と小豆島町の方に行くと言ったから、俺たちは土庄町の方にした。予めどちらにするかは決めていたのだ。
「あんまり無茶すんなよ」
「今夜は寝る気ないやろうから」
からかい半分でそう送ったら、『せやなー』と返ってくる。そう言うくらいだから、今回泊まる部屋で何回もヤるんだろう。
「避妊はちゃんとしろよ」
バイト帰りに何を喋っているんだとか思うけど、プールサイドですらこんなトークはたまにしていた。あんな公衆の面前でよくやっていたな、俺たち。
『安心しろ』
『8個持ってきてるから大丈夫や』
何が大丈夫なんやろ。何を持ってきてるかはまあお分かりの通りだが、その数を数えているのがまずキモい。そしてそれを俺に言ってくることがさらにキモい。そして何より……
「4個使ってるやん」
単純にそんな感想が出てくる。去年の間にこっぴどく振られたので、新しい今の彼女と旅行というのはこれが初めてだ。そして何よりピー也の性格的に、新しいのを買ってきているのは明らかだ。あのピー也の性欲からして、付き合い始めてから4個分しか使わないわけがないから、2箱かそれ以上かは使っているだろう。ってなんでこんなこと分析できるんだか。俺も大概キモいな。
『バレたか』
『まあ、御祝儀渡さなあかんようにはせんようにするから任せろ』
何言うてんねんアホ。学生結婚は別に反対ではないけど、もうちょい金溜まってからにして欲しい。今は金欠なんや。
「まあ福井から割と強めな死ね死ねビーム飛ばしてトイレットペーパー用意しておくわ」
そう送ったら既読だけついてそこからの返事はなくなった。どうせイチャついているのだろう。お土産話は砂糖たっぷりのものを期待する。そんな俺は端的に言ってアホやなとか思う。