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人間誰しも隠したいものくらいある③

 現役の大学生(きい姉は除く)に教えてもらうことはまあ珍しいことなので、せっかくだからと教えてもらうことに。やはり理系でそこそこ成績を取っていたバカ兄も、文IIでほぼトップ成績を取っていた桜さんも、頭がいい。勉強の仕方が上手い。


「ここはどうするんすか?」

「そこかぁ、俺も苦手やったな。ここはこことここの値求めて、あとはここを文字でおいたらできるで。」

「ありがとうございます。」


いつもは全く勉強しない憲士も、今日ばかりは少し勉強をするようで、バカ兄に教えてもらっている。そして私は桜さんに古文を教えてもらっている。


「こんな感じの訳やと思うねんけど、これで解けそう?」

「いけそうです。」


桜さんはうちの高校の文IIだった人だ。もちろん、この程度の古文など簡単にこなせる。


 そうしてしばらく勉強を進めていると、もう外は暗くなり始めていた。


「どーする?晩ご飯、誰が作る?」

「せっかくやし、俺たちで作ろーや。桜もそれでいい?」

「オリーブオイル、いいヤツあるんやしパスタとかでどう?」

「やな。ペペロンチーノとか?」

「材料あったらね。」


バカ兄たちは立ち上がって、晩ご飯の準備を始めようとする。「やば、広」とか「部屋とちゃうなぁ」とか言いながらキッチンに向かっていく2人は、なんかこの家にいた時よりも夫婦感が増している。


「やっぱあの2人、めっちゃ仲良いよな。」

「元からよかったけど、同棲始めてからさらにって感じ。」


憲士とそんなことを話しながら、問題を解き進める。今日はご飯のことを気にしなくてもいいから、勉強に集中できる……


「なあなあ、たまには一緒にメシ作るとかせーへん?」

「憲士はうちのキッチンをぐちゃぐちゃにする気か?」

「そこは教えてーや。」


憲士は勉強の手を止めて、そんなことを言ってくる。それが本気じゃないことは分かってるし、憲士はそんなことやりたがらないことも知ってるからいいけど。


「ねぇ2人とも。」

「イチャイチャせんとやりや。やないと食べさせへんぞ。」

「「はーい!」」


2人に注意されて、私たちは勉強に戻る。ニンニクのいい匂いがし始めて、胸を踊らせるけど、ここで気を散らしたらきっと食べさせて貰えないだろう。


 ちょっとだけ待っていると、麺をフライパンの中に入れたいい音がし始めて、これを最後の問題にすることにした。そして、その音が止む。


「おーい、できたぞ。」

「2人とも机の上片付けて。」


2人は皿に盛ったペペロンチーノとコンソメスープを持ってやってきた。久しぶりのバカ兄のご飯だ。

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