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人間誰しも隠したいものくらいある①

「けーんし!課題一緒にやろー!」

「ようそんなこと言えるな。あんな練習した上で。」

「まあまあ、あんな感じの練習も慣れてきたらね。」

「慣れるって、俺は2年なったけどまだ慣れてへんで。」


いつものようにリビングのソファーに寝転がっている憲士にそう話しかけると、疲れたような表情を見せながら「嫌ー」って感じで言う。まあ、いつも通りと言う感じだが、もう8月も上旬が終わりそうなこの時期。もうそろそろ課題を終わらせにかかりたい。


 私はそんな憲士を横目に、私は課題を開く。そしてペンを持って、問題を解き始めた。


「けーんし!ここ教えてー。」

「ん?どこ?」


解き進めていく中でもちろん分からないところも出てくる。理系クラスに進んだ私たちは国公立大学に進学できるレベルの問題を解くことになるので、私の頭では追いつかないところがある。


 でもそんな時、怠惰なヤツの脳みそのほうが使えるってのも事実。こんなでも頭はいいからこうして教えてもらっているだけだけど。


「ここはこうしてやな。これはここの反応とここの反応が関係するから、こんな感じの式立てれる。」

「じゃあ、ここはこう?」

「そうそう。じゃあ答えは分かるな?」

「うん。ありがと。」


残念ながら憲士は教え方も上手い。だからこうしてたまに……毎日教えてもらっている。


 私は一応国学社大学ではなく、国公立大学に進学する気だ。バカ兄の通っている福井県立大……ではなく、理系のいい感じの学部のある大学に進む気だ。受かったら。


 そのためにはちゃんと勉強しないといけないから、課題もさっさと片付けて、自分の勉強を始めないといけないけど。


「なんでこんな多いねん。」

「分かりきっとったやろ。杏は久志さんの勉強も見てたんやし、課題の量がどんなもんかも見とったやろ。」

「見とったで。見とったけど、いざ自分がやってみるとさ、別モンやなって感じやねん。」


ノートの上にくでーってして、クッキーを食べる。あぁ、甘くて美味しい……


――ピーンポーン


「「え?」」


突如鳴り響いたチャイム音。私は特に注文とかはしていないはず。


「憲士は?」

「何も頼んでへんで。」

「じゃあ。」


考えられるのは2人しかいない。あの2人しか。でも、あの2人なら帰ってくるときは連絡してくるはず。


 ってことは、まさか……


「きい姉から漏れたか。憲士。」

「いや、ええわ。たまにお邪魔させてもらってるって言ったらええし。」

「やな。」


私は通話ボタンを押した。

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