ぐらんぶるーに潜りたくて⑬
昨日のように海に潜って、目を開ける。すると、昨日よりも透き通った、美しい世界が広がっていた。
口で説明することなく、ハンドシグナルで潜行することを伝えて海の中へ。朝、まだ誰も入っていない海の中は、魚たちが自由に泳ぎ回っている、そんな自由な世界がはっきりと見える。
ゆっくりとキックしてついて行くと、すぐに昨日様々なテストをしたところに到着した。
(待ってて)
そう伝えられたので、雄之助と2人で(OK)と返す。先輩たち2人はレギュレータの交換から緊急スイミング浮上までの流れをテストし始めた。これをやっている間は、俺たちは自由。だから、そこら辺の魚たちと戯れることに。
手を出したり、触れようとしたら逃げていくのは当たり前。だから、その場にとどまって近づいてくる魚たちと遊ぶことに。じっとしていると警戒心が薄れるのか、魚たちは目の前を通っていく。その愛らしい姿に心を奪われていると、先輩たちが終わったようで、次は俺たちの番になった。
雄之助と向かい合う。雄之助が(エアがなくなった、レギュレータが欲しい)と伝えてきたので、俺は(OK)と返して、雄之助を引き寄せ、レギュレータを渡す。そして俺はオクトパスを咥えた。(浮上します)と伝えると(OK)と返してきて、そのまま緊急スイミング浮上をする。ゆっくりと上がっていって、水面まで浮いたらBCに空気を入れた。
「OK!じゃあ次は交代してやってみよ。」
また潜り直して、次は逆になって始める。これも難なくクリアして、また海の世界に戻った。
あとやることは中性浮力だけだ。これは本当は昨日やるつもりだったらしいが、雄之助がマスクが合わなかったのでマスククリアに時間がかかり、今日にすることにしたらしい。
身体を浮かして呼吸する。大きく吸ったら浮いて、吐き出したら沈む。これを何回かしたらクリアだ。昨日潜っていた時に自然とやっていたからか、全員クリア。
これでもうテストは 終わり。残りのダイブは全部遊びに近い。まあ、それでも全部意識しながらやらないと危険なことばかりだが。特に呼吸と耳抜きは。
さらに奥の方に泳いでいって、深いところを潜る。場所が変わるといる魚も変わっていって、タイがよく見られるようになった。それと、透明度が高いから見えるカブトクラゲもいた。クローブが黒いから手で囲んでみると綺麗に見える。
そんな時間もあっという間に進んで、岸に戻ってきてしまった。あと1回だ。この海に潜れるのは。