ぐらんぶるーに潜りたくて⑫
2日目。同じように朝集合して、ダイブ前の時間を過ごす。
「身体痛ぇ」
「主に肩まわりやろ?」
「せやな。」
そう会話する俺たち。他の奴らも疲れていて、目が死んでいるのも多数。普段と違う環境に、体力が持っていかれているような感じだ。
しばらくするとイントラの人がやってきて今日の説明が始まった。
「今日は遊びます。はい。遊びます。」
笑顔でそう言う。けど、その後に「やけど、1回プールで緊急時の訓練をしてから入ります。まあ、10分ちょいくらいだけど。」と付け加えた。そりゃあそうか。一応、講習やもんな。
「でも、それやって、海の中で中性浮力と緊急系のやつやったら、遊ぶから。」
そう言われて、機材の準備に入る。今日は見本なしで昨日の復習みたいな形だ。
ちゃんと思い出しながらつけて、バディチェックまで済ませる。そしてプールの中に入った。
「まずやるのは緊急スイミング浮上な。これは浅いところでエアが無くなった時に浮上する方法…なんやけど、プールでやるんは普通にしんどいねんな。」
このプールは浅いから、浮上するように泳ぐのは難しい。だから、浮上してからの動作を主に練習することになった。
「浮上してきたら、インフレーターホースに口から空気を入れて、BCを膨らます。」
膝立ちの状態で足をバタバタさせて身体を浮かし、口から空気を吹き込む。そして空気が入ったらシュノーケルを咥えた。
「OK?」
そして一人一人やっていく。膝立ちになって浮いて口から空気を吹き込むだけ。昨日よりは簡単だ。
そして、次は緊急浮力浮上の練習だ。これは深いところでエアがなくなったときに、浮上する時に使う。
「見といてな。」
そう言ってイントラの人は水の中に沈む。そしてウエイトベルトを外して、上向きに大の字になって浮いてきた。大の字になる理由は、少しでも浮上する速度を落とすためだ。早すぎると身体に異常が出てしまうから、潜行する時も浮上する時も、毎分9mのスピードを超えないようにしないといけない。
「OK?じゃあ、やってみよっか。」
これもまた一人一人やっていく。水の中に沈んで、ウエイトベルトを外し、大の字になって浮き上がる。浅いから大の字になるのが難しいが、海ならできそうだ。
そして最後にコンパスの練習だ。コンパスの赤い線を向かいたい方向に向けて、磁針の北の方を合わせる。そして泳ぎ始めた。
「それじゃあ、そのスロープから上がって、海行こう!」