ぐらんぶるーに潜りたくて⑪
しばらく休憩を挟んで2回目を潜り、俺たちのグループは基本的なスキルのテストは終わった。
「終わってもうたから、明日潜る2回は遊びになるわ。今日やってないスキルが中性浮力とあともう1個あるからそれをやって、終わりって感じになると思う。でも2回潜らなあかんから、もう1本は確実に遊びになると思う。」
そんな話があって、俺たちの班は解散に。しかし、帰る前に終礼みたいなのがあるし、鯖江駅までは先生に送ってもらうため、片付けが終わるまでは待たないといけない。
ということで、俺と雄之助は堤防に腰掛けて待つことにした。それぞれ、ジュースを片手に。俺はレモンの風味がついた炭酸水。雄之助はぶどうジュースだ。
「「づがれだぁ!」」
海から上がって感じる疲れ。さっきまではそうでもなかったし、海の中では何も感じなかったのに、身体の重さを強く感じる。下の方ではいくつかの班がまだ潜っていて、飛び込むところで話している声が聞こえてくる。そっちからも「キレイだった」と「疲れた」の声が聞こえてくる。
炭酸を塩辛い喉に流し込むと、喉の奥がシュワシュワする。これがビールだったらもっと気持ちいいだろうなとか思うけど、俺は未成年。その楽しみは来年に持ち越しだ。
「俺らってもしかして進むん早いんかな?」
「そうちゃう?他の班は見る感じまだやらなあかんことありそうやし。」
「ってことは、明日海入るん1番かな?」
今日はプールでほぼ全部の練習をしてきたから海に入るのは少し遅かった。だから少し濁っていたり、底の藻が巻き上げられていたけど、明日はきっとそれがない海に潜れることになる。
そのことに気づいた瞬間、身体中の疲れが吹き飛んだ。
「楽しみやな。」
「なんか急に元気なってるし。まあ、楽しみやけど。」
そう雄之助と乾杯をする。今から明日が楽しみだ。
しばらく海を眺めていると、最後の班が海から上がってきたのが見えて、俺たちは元の席に戻った。
「めっちゃ疲れてるやん。」
別の班で潜っていた同じ学科の奴らに話しかけて、海の感想を語り合う。潜っている間だけじゃなく、外でも楽しめる。そんな魅力がダイビングにはあるのだと思って、まだ1日あるのに、この授業を選んでよかったなと思った。