ぐらんぶるーに潜りたくて⑤
そして実習当日になった。
「おはようございまーす!」
『おはようございまーす!』
そんな軽いテンションで始まった説明。それぞれのグループの担当や、敷地の説明があって、ものの数分でグループごとの説明になった。
一緒のグループになったのは雄之助と先端の先輩2人。2人は2年生だ。
「とりあえず、午前はプールで実習をして、午後に海に2本潜りに行きます。まあ、基本的には全部プールでやったことをやるから、水深の浅いプールでできたことができるかって形になります。」
そんな説明があって、水分を摂ってからプールサイドにある機材の前へ。どうやら、シリンダーの中に入っている空気は乾燥していて、それを吸っているものだから、脱水になりやすいらしい。
バッグの中に全ての機材が入っているかの確認が終わったら、次はセッティングだ。
「シリンダーをこの向きに置いて、BCをこの向きに…そうそう。それで、ベルトを通していって、ギュッって閉める。」
シリンダー1つから向きが決まっていて、前でやって貰っている見本を見ながら、一つ一つセッティングしていく。その中でも1番重要なのがウエイトの向きで、今回使う、腰に巻くタイプのものは、緊急時にバディーがすぐに外せるように向きが決まっている。それも安全のためだ。
「シリンダーの黒いゴムのところに傷がないか確認して、なかったら少しだけ空気を出して、匂いを嗅ぐ。これは、学科でやったな?」
そう言われて、同じように栓を開こうとする。する…する…する。
「あっ!」
思ったより力がいったので、少しだけ力を入れて開いたら、そこそこ空いてしまった。プシューっと大量の空気が漏れ出て、急いで栓を閉める。
「そうなるよな?もうちょっと慎重に開いてもいいで。」
「はい…」
音も大きかったからか、まだ心臓がドキドキしていて、か細い声でそう答える。すると、雄之助のほうからも「プシュー」って音が鳴った。
「あー、びっくりした。思ったより硬いな。」
「よし、お前も同類や。」
そんな幼稚な会話をしていると、次はレギュレータとかの取り付けになった。これは単純で、ゴム栓を外してから、レギュレータとオクトパスが右側になるように取り付ける形だ。ゴム栓が付いている理由は、これは中が空洞になっているので、残圧計に水が入り込んだら、ちゃんとした残圧が分からなくなるからだ。しかし、使ったあとは洗わないといけないため、その時に水が入らないようにしないといけない。そのときに閉めるゴム栓だ。
「OK?それじゃ続きやっていくで。」