海を浴びて③
宿泊研修の夜、やることは一つだけだ。
「まじでやんの?」
「やるで。」
荷物になること承知で持ってきたPC。そして、ファイル。このファイルには全教科のプリントが入っているが、使うのはほんの数枚だけ。選別するのがめんどくさかったからそのまんま持ってきた。
こういったフィールド演習としての宿泊研修がある学科だが、1年目に学ぶことは他学部と大きくは変わらない。つまり、他学部と同じようなレポートの課題も出ている。
「来週末までやねん。心理のレポートが。」
俺の取っている心理学も例に漏れず、レポートの課題が出ている。性格検査のレポートだ。授業内で行った2つの検査の結果についてレポートを書くもので、字数は2000文字以上。ちょっと長く感じるが、一度同じような分量のレポートは書いているので、何とかなりそうだ。
昼間に近くの道の駅で買った寒干大根をポリポリと食べながら、PCを立ち上げる。やっぱこれ美味いな。
「明日乗船だから早く寝なよ。」
よっさんはそう言って、もう1つの方の部屋に行く。向こうではゲームをしているみたいで、実際こっちの部屋は人が少ない。
Wordを開いて、レポートを書き始める。だいたいのアウトラインは先生から例として出されているから、構成はそのままパクろう。内容も資料からいくつか引っ張ってきて…検査関連は長めに作るか。
持ってきた柿ピーの袋を開けて、いくつか口の中に放りこんだら口の中がピリピリする。そうそうこれこれとひとりで頷きながら、キーボードをカタカタ。軽く眠くなってきたらコーヒーでリセットして、また書き始める。
そんな時間を過ごしていると、何人かこっちの部屋に戻ってきて寝始めた。となると、イヤホンもせずに動画を流すのはさすがに躊躇われる。
イヤホンをして、深夜帯になってきたからロックで目を覚ます。脳内に直接響いてくる重低音が脳を覚醒させていき、閉じてしまいそうなまぶたを無理やりこじ開ける。
そんな感じで午前2時半。最後のエンターキーを押して、レポートの完成だ。
「ん、ん、んぁぁぁぁ!づがれだぁ〜!」




