久しぶりにやるか①
こっちに来てからというものの、道具は持ってきているが釣りには行っていなかった。
『キス行こーぜ』
バイト終わり。何か連絡が来ていないか確認したら、よっさんからそんなRINEが来ていた。
「どこ行くん?」
『三国』
「突堤から投げる感じ?」
『そそ』
『まあ俺は釣れたらすぐルアーだけどね』
要するにいつも通りということか。日程は火曜日。予定もないしいけるな。
「行くわー」
「誰の車?」
『そら』
「りょーかい」
とりあえず連絡はこれでおしまい。あとは家に帰って道具があるかの確認だ。なかったら買いに行かんとあかんし、あったらそれはそれでいい。
「あ、せや」
持ってきている竿がそこそこ長いから、大学に持っていくことができないことを忘れていた。一度こっちに回ってもらわないと。
連絡したら『いいよー』との事だったので、とりあえず安心。
「何かあった?機嫌良さそうだけど。」
「火曜日釣り行くことなったんで。」
「いいなぁ」
先輩から羨ましがられる。前回も行っていたが、そのときはバイトがあったから行けなかった。でも、今回は行ける。俺も嬉しい。
家に帰ると、桜が昼ごはんを用意してくれていた。
「お疲れ様。温かいもんの方がええやろ?」
「やな。ありがと。」
手を洗って、部屋着に着替えてから、作ってくれたうどんをすする。冷えた身体に染みる温かさが本当に心地いい。
「火曜日釣り行くことなった。」
「誰と?」
「学科のヤツら。」
「ターゲットは?」
「キスやな。天ぷらしよーぜ。」
「いいなぁそれ。尺釣ってきてくれたら刺身にもできるで。」
「マジか。頑張ろ。」
この時期に尺ギスが釣れるとは思わないが、夢は見ておこう。釣りに行くとなったら色々準備しないといけないし、荷物もそれ用に作らないといけない。幸い、道具はひとつの箱にまとめているから、そこから引っ張り出すだけだ。
とりあえず食べ終わったら昼寝。疲れた身体を休めてからじゃないと動ける気がしない。ベッドに寝転んで瞼を閉じると、すぐに意識を手放した。