部室掃除をしよう!③
「よぉーし、ここまでにするかぁ。」
時間も8時を回った頃、掃除を一旦切り上げる。この人たち、本当に1クール終わるまで掃除するとは。頭おかしいな。
となるとあとは帰るだけ。だけど、もう最終バスは行ってしまったみたいだ。
「どーするよ、桜。」
「ん〜、歩く?」
「死ぬぞ。」
「死ぬなぁ。」
ここから家までは小1時間。なおかつ、通る道全てに街灯があるわけではないから普通に危ない。
「それなら、俺たちが送ってくよ。2人にはこんな時間まで残らせてしまったし。」
「ついでにご飯も食べようよ。奢るし。」
「「奢り!?」」
「やけに食いつくね。奢りよ。私たちの。」
「「行きます!」」
普段はお金がかかりすぎるからと外食はしないようにしている俺たち。それがタダ飯を食べれるなんて。もう、断るわけがない。
とりあえず、森本先輩の車に乗ってエルパまで。エルバはここら辺でいちばん大きな商業施設で、だいたいここに行けば全て揃うって感じだ。揃わないものも近くのところに行けば全部そろうし、ちょっと買い物と言えばここになる。
「そういえば何が食べたいとか聞いてなかったな。どんなのがいい?」
「俺はなんでもいいですよ。」
「私も。」
「それが1番困るんだよなぁ。朱莉は?」
「がっつり!」
「んじゃ肉系か。そこの肉そばとかどう?美味いし。」
断る理由もないので、4人でそこに入っていく。カップルごとに別れて向かい合う形で座った。注文を済ませて持ってきてもらった水を飲む。この5時間の疲れが抜けていくような感覚がした。
「「あ〜」」
こりゃあ溶けると声を出したら、隣の桜と被る。そんな俺たちを見て、目の前の2人が笑った。
「本当に仲良いね。」
「どうしたらそんなにお互いのことが分かるの?普通に不思議なんだけど。」
お互いのことが分かっている…か。分かったらどれほど簡単だったのだろうと思うけど、傍から見たら分かっているらしい。
でも、やはり3年間一緒に暮らしてきたということで、何をして欲しいのかが分かるのはある。むしろ、それだけは意識して分かろうとしている。
「まぁそれは、かくがくしかじかです。」
「そうやね。かくがくしかじかです。」
「「へぇ〜」」
怪しげな視線を向けてくるが、ふと思った。この2人って去年はどんな感じだったのだろうと。
「2人はなんで付き合うことになったんですか?」
「「え」」
あからさまに聞かれたくなさそうな表情を浮かべる。桜もそれを感じ取ったらしく、聞きたいオーラが隣から。俺たちはずいっと体を乗り出して圧をかけた。
「えっと」
「「かくがくしかじかです。」」
恥じらいながらそう言う2人を見て、これはなんかありそうだなと思う。加瀬先輩に聞いてみよう。