部室掃除をしよう!②
「そういえば、今日は2人はイチャつかないんですね。」
「ん?ああ、俺たちも毎日のようにあんな感じじゃないからな。」
「そうそう。普段は普通に仲良いよ。作品への愛を語るとき以外は。」
テキパキと片付けを進めながら先輩2人はそう言う。いつもはあーだこーだ言い合っているし、学生会館でもたまにやってるから普通に目立ってるし。そんな2人でもこんな感じのことがあるんだと改めて驚く。まあ、いつもあんな感じなら普通に別れるしな。
「それこそ、2人はどーなの?」
「どうって?」
「だから、喧嘩とかするのかなって。」
木崎先輩は部誌の整理をしていた俺たちにそう問いかける。
「喧嘩か…」
「そういや、したことないね。」
「拗ねることはあるけどな。」
「それくらいは誰でもあるやろ。てか喧嘩になるほどお互いの主張が食い違うときないし。」
「あーそれな。」
付き合ってない期間から思い出してみても、喧嘩という喧嘩をしたことがない。
「強いていえばあれやな。一昨年の年末。」
「「その話詳しく。」」
「やめてー!」
お互いの主張が食い違ったことといえばで思いついたけど、その話はNGっぽい。残念だ。
「つまんないなぁ」と呟きながら作業に戻る先輩2人。だけどすぐ、また木崎先輩が振り返る。
「んじゃさ、今お互いが不満に思ってることってある?」
「寝るのが遅い。」
ノータイムで桜が答える。おいおい、その言い方は酷いぞ。毎日2時には寝て5時半に起きる超健康優良児の俺に何を言っているんだ。
「絶対自分のこと健康優良児やと思ってるかもしれんけど、3時間半睡眠って普通に頭おかしいからな。」
「しゃーないやん。そうでもせんと課題終わらんねんもん。」
「それでもさ、2時睡眠は遅いで。」
「え〜っ」
結構生活を切り詰めてそんな感じなのに、まだやらないといけないとか普通に無理がある。というか、無理だ。
「てか先寝たらええやん。今までもずっと1人で寝とってんし。」
大阪ではお互いの部屋が分かれていて、ずっと1人で寝ていた。今でも分かれているし、なんなら桜の部屋にもベットはあるが、ここ最近はずっと俺の部屋で寝ている。
「それは…寂しいんやもん。あと、大阪では杏ちゃんおったから出来んかったことやし。」
顔を赤く染めて恥じらいながらそう言う桜。普段はあまり見せないその表情に見とれてしまう。仕方ない。これは俺が折れるしかなさそうだ。
「分かった分かった。これからは1時には寝るようにするから。」
「それでも遅い!」