レポートの完成は耐久が近道
「テステスー。聞こえてるか?」
『おうよ。お前の彼女は?』
「寝る準備してるで。レポートないからな。」
夜10時すぎ、学科のグループRINEの通話を始める。ゴールデンウィークが終わって1週間が経ったが、レポートの書き方も何も知らない俺たちにレポートの課題が出てしまった。内容は先週末の講演会。うちの学部だけに焦点を当てて行われたものであるため、内容的には比較的書きやすいのだが、分量が多い。なんせ、2000文字近く書かないといけないから。
『よぉっす。』
『おっ、よっさんも来た。』
『だけじゃないぞ。』
続々とメンバーが揃っていく。そう、この通話の目的はレポート耐久だ。完成するまで寝れないという縛り付き。後回しにしてもただ負担になるだけだから、それなら先にきついことをしておこうかという話だ。
『てか、マジで耐久するの?』
「もちろん。終わるまで寝れへんからな。」
『明日の授業は?』
「それは知らんな。」
耐久すると決めた以上、そこはちゃんとしないといけない。
「みんな進捗は?ちな俺ゼロ。」
『俺1割ちょい。』
『俺もゼロ。』
『昨日の晩やって半分ぐらいまではいってる』
とそんな感じ。このメンバーは誰も終わってない感じ…
『よっ。進捗どんな感じ?』
「『帰れ!』」
『来ていきなり酷いな。』
やってきたのは洋樹。こいつはもう終わっていてただ煽りに来ただけのやつだ。
『みんなどんな感じかなーって心配して来とるのに。』
『いらん心配やな。終わってるんやったら寝ろ。』
『えーっ。みんな終わるまでおるで。』
そんな感じでレポート耐久は始まった。
開始から2時間ほど。もうすぐ12時を回りそうな時間で一旦全員休憩をとる。それまでも軽く話しながら書き進めていたが、やはり全員根は真面目なので、普通に喋らない人が多い。喋っても釣りのことか魚のことばかりで、さすが海洋系の学部だなと思う。
『あ゛〜!あとラストだけ〜!』
「早っ!もうそんな書いたん?」
『まあ昨日の晩やってるから。2日連続寝るの遅くなりそうだから明日死ぬのは確定してるけど。』
『あね、それは可哀想。』
そんな話をしてからまた始める。時間もそこそこ遅くなってきたので、落ちていってるヤツも多いが、コーヒーのおかげで何とか意識を保っている。
そして1時間後。
「終わった〜!」
『おつかれ〜。早ない?』
「よっさんが凝りすぎなんちゃうん?そんなガチで書かんでもええやろ。」
『そんな俺凝ってる?』
「『凝ってる。』」
俺はもう終わったが、もう1人の企画主のよっさんはまだまだのようだ。
「写真貼っつけてる時点でな。」
『それな。全部文字にしたよ。』
けど耐久はこれで終わりだ。まあ他にやることもあるし、
「俺はよっさんが終わるまで残るわ。」
『俺も。』
結局よっさんはこの後も終わらず、1時半に落ちたので通話を終えた。