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2人はずっと彼らを思う

 ここでもまた1組のカップルがスーパーで買い物をしている。


「今日の晩、どーする?」

「ん〜、じゃあホイル焼きで。」

「おっけー。ほんなら、鮭としめじは買わなあかんな。付け合せなんか考えといて。」

「ういー。」


売り場をゆっくりと歩きながら、必要なものをカゴの中に入れていく。その手際の良さと言い、喋っていることと言い、夫婦と言われてもなんの違和感もない。


 彼女のほうは熊野音羽。黒い髪を腰の辺りまで伸ばしている、お姉さん系の女子だ。エスカレーター式に国学社大学には進まず、大阪にある公立大学に進んだ、国学社大学附属高校では珍しい部類に入る。


 彼氏のほうは新宮カレン。イタリアと日本のハーフで、喋らなかったら、または家事をしなかったらただのイケメン。したら残念な男。音羽のおかげで料理は少しずつできるようになってきてはいるが、それでもまだまだなところがある。


 そんな2人はこの春から同棲を始めた。


「あの2人さ、元気してると思う?」

「またその話?大丈夫やろ。ゲームの方のインも毎日してんねんし、2人でデート行ってる写真も投稿しとったやん。」


音羽が心配しているのは、親友の桜と久志のカップル。2人だから心配ないというのは分かっているにしても、今までずっと近くにいて、それが急に離れたから少し心配になっている。そんな音羽とは対称的なのがカレンで、あの2人だから別れることはないと思っている。


「久志はさ、とことん変わっててとことんめんどくさい奴やん。」

「それはそう。私も私以外にあんなに面倒臭い人見たことない。」

「んで、桜も桜でめんどくさい奴。」

「確かにね。お似合いやわ。」

「やろ?」


カレンはカゴの中にマカロニを入れながらそう話す。


「あの2人はお互い気ぃ遣いすぎて気まずくなることはあるやろうけど、それが分からん2人ちゃうから多分大丈夫や。」

「そうやな。うん。そう信じとくわ。」


 2人でレジに並んでお金を払う。持ってきたエコバッグの中に全部を入れて、カレンがそれを持った。


「あの2人もこんな風に2人で買い物とかしてんのかな?」

「たしかに。んでこうやって何食べるか相談してんのやろうな。」

「うわぁー、久しぶりにあの2人の成分が欲しい〜!」

「んじゃ、ゴールデンウィークにでも突撃するか?」

「ええやん。やろやろ!」


 夕焼けの道。2人は影を重ねて歩く。その足取りは軽く、明るい音楽を奏でているようだった。

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