土佐にっき⑥
「海だぁぁぁぁぁぁ!」
「奏、うるさい。」
「やらんと海に失礼やろうが。」
車を駐車場に停め、浜に行く。すると、水平線の向こう側まで見えるような海が広がっていた。
「それにしても綺麗やなぁ」
と海人。手に構えたスマホでパシャパシャと写真を撮りながら波打ち際まで歩いて行っている。
「こう見ると地球って丸いんやなって思うわ。」
晴彦はそう言いながら、その場に腰を下ろした。見れば水平線はまっすぐじゃなくて、少しだけ丸まって見える。
とりあえず浜からは一旦引き上げて、奥にある龍王岬、そして海津見神社に向かう。岬の先っぽにあるその神社は海を一望できる最高の神社だった。
「うわっ、綺麗。」
「マジですげーな。」
外国人観光客も沢山いるここは、太平洋を本当に一望できる、最高の景色を見せてくれる。
「せっかくやし、おみくじでも引かん?」
晴彦がそう提案してきて、俺はそれに乗る。晴彦は浪人生。医学部入学を目指して勉強中で、ここでまたゲン担ぎをしたいところだろう。
「っしゃ!大吉や!」
そんな晴彦は大吉を引いた。年明けには入試が待っている晴彦には最高の結果だろう。
「よかったやん。」
そう言う俺は吉。まあ、可もなく不可もなく。
「奏が大吉引いたん見たことないよな?」
「ほっとけ。」
引いていない2人はというと、もう階段を降り始めている。マイペースな2人に呆れながら、俺たちはゆっくりと階段を降り始めた。
1度車に戻って……の前に休憩タイム。近場のカフェに入ってアイスを頼んだ。
「うっま。」
俺が頼んだのは柚子と塩味。柚子は何となく予想していたが、それよりも驚いたのは塩味のアイスの方。少し塩っ辛いところがあるけど、アイスらしい甘さも相まっていい感じ。
「何にしたん?」
「柚子と塩。海人は?」
「柚子と卵のやつ。これめっちゃ濃いわ。」
「そーなんや。1口ちょーだいや。」
「嫌。」
「ケチ」
なんて掛け合いをしていたら、晴彦も帰ってくる。
「何にしたん?」
「海人と一緒。」
「そーなんや。」
やっぱりこの2人は仲良いなと思いながら、俺は俺のアイスを食べ進める。ちなみに亮介は喉が渇いたということでアイスに加えてジュースも頼んでいた。俺もそうすりゃ良かった。
ひとまずまったりして、次に移る……わけもなく、
「せっかく海来たんやし、入らん?」
「ここOKやっけ?」
「波打ち際歩くぐらいやったらええやろ。」
なんてことを話していた。