表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
121/133

土佐にっき①

「よっ」

「久しぶりやな。」


夜の光善寺駅。人もほぼいない改札口の前で手を挙げる2人。リュック1つだけ背負っている2人は前に会ったときよりも少し大人っぽくなった気がする。


「待たせたか?」

「いや。」

「どーせ楓とイチャイチャしとったんやろ?」

「まあな。普通にメシ食ってただけやけど。」


俺も2人と合流して、改札に入る。


 2人の内、身長の小さいほうの名前は中野海人。今でも付き合いのある、幼稚園からの幼馴染の1人。大学は大阪の私立大学に進学し、今は理学療法士を目指している。


 そしてもう1人は前田晴彦。こちらも幼稚園からの幼馴染で、医学部を志願して受験したが、残念ながら不合格。それで今は浪人生として生活している。


 このメンバーが揃ったのにはもちろん理由がある。普段は全員バラバラの生活をしている俺たち。その中でも遠くに行ってしまった北亮介のいる高知に遊びに行くためだ。


「この時間はやっぱ空いてるな。」


来た準急に乗り込み、3人並んで座る。


「そもそもこの時間から市内に行く奴なんてほぼおらんやろ。」

「それに俺たちは今から夜行バスやし。」


梅田までは京阪とJRを乗り継いで行くが、そこからは夜行バス。高知までの車の旅だ。


「そういえば席順どーするん?まだ決めてないやろ?」

「何で決める?」

「じゃんけんでええんちゃう?」


守口市を過ぎたくらいでじゃんけんをする。結果として順番は晴彦、俺、海人になった。


「俺後ろ乗るわ。」

「じゃあ俺は窓側の前。」

「ってことは俺真ん中やん。」


席はしれっと決まって、俺は一応寝れそうなところを陣取った。


「亮介になんか買ってく?」

「なら淡路島でSA寄るんやからそこで買お。」

「やな。」


亮介のお土産も決まったところで乗り換え。京橋で降りてJRの方に向かう。ちゃちゃっと乗り換えを済ませて梅田まであと少しだ。


 窓の外の明かりが明るくなってきて、賑わいが目で分かるくらいになってくる。梅田はこんな夜にもかかわらず煌びやかで、夜というものを感じさせない。昼みたいなところだ。


「うわっ。すんごい人。」

「多すぎやろ、やっぱ。」


改札を出ると、やはり人でごった返していた。酔っぱらいのサラリーマンに大学生。高校生らしきカップルもちらほらいるし、明らかに今帰りの観光客もいる。


「こんなん、人住めるようなとこちゃうやん。」


俺たちが住んでいる枚方はもっと人が少ない。1番多いであろう枚方市駅でもこんなことにはなってないし、ルールもちゃんとしている。


「で、俺の記憶ではこっちやねんけど。」

「俺も。てか、そこ以外に俺は知らん。」


晴彦と俺が、記憶を頼りに歩いていく。その後ろを海人が「連れてってくれるやろうとは思ってた」なんて呟きながらついてきた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ