帰ろうか、帰ろうよ④
門真にある試験場。そこには懐かしい顔がいた。
「あっ」
「えっ、まじ?」
「めっちゃ久しぶりやん。」
高校時代、3年間ずっと同じクラスで仲良くしていた2人。戸津井くるみと船戸花胡だ。戸津井さんは国学社大学に進学し、船戸さんは公立大の物理学科に進学。大学も全員違って、もう会うことがあまりないと思っていたメンバーが集まった。
「こっち帰ってきてたんやな。」
「住民票移してないからな。2人は?」
「私たちは一緒に合宿行ってたから。だから2人とも同じ日にしよーって。」
「そういうことね。」
大学が違っても2人は交流を続けているらしい。なんとなくこの2人はずっと一緒にいるような気がするから納得だ。
「それにしても久しぶりやな。お土産とかないん?」
「会うって分かってたら持ってきててんけどな。残念ながらないねんなぁ。」
「「けちー」」
なんてふざけ合っているうちに、窓口の順番がもうすぐそこまで来ていた。
受付のために何回も列に並び、そして書類を提出していく。1時間ほどこれを続けたらやっと受験受付が完了した。
「これからどうするん?」
「どーしよっかなって感じやけど、お腹にはなんか入れときたいな。」
「私もちょっと空いてきたし、5時まで拘束やろ?んなら、早めにお昼でもええかな」
受付を終えた俺たちは、試験開始までの1時間半の間、どうするか相談する。
「目の前パン屋あるね。」
「150円やってさ。どーする?」
「俺としてはその値段はめっちゃありがたい。」
地図を見ていたら、目の前にパン屋を見つけてそこに行くことにする。時間も潰せそうなところだから、選択としてはベストだ。
歩いて2分ほどでそこに着き、いくつかパンを買って席に着く。この店はコーヒーは無料で飲み放題らしい。最高だ。
「自信ある?」
「まあ、勉強は珍しくちゃんとしてきたし。」
「いけんことはないやろ2択やし。」
戸津井さんは珍しく勉強してきたらしい。てか、ちゃんといつもしとけって話だけど。船戸さんは2択だからと余裕そうだ。まあ、いつもの通りならいけるだろう。
「由良くんは?」
「まあ、何とかなるんちゃう?」
本当はここで勉強をガッツリして行くつもりだったけど、今はそんなテンションじゃない。もう諦めてあとは問題に身を委ねるだけにした。
パンを食べながら近況を話しながらと時間を潰していると、もう集合時間に。
「行くか」
「嫌やなぁ」
「まあ50分耐えたらいい話や」
「せやな」
そういいながら会場に戻り、試験を受ける。3人全員合格だった。