表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
116/139

帰ろうか、帰ろうよ②

「ほな、行ってくるわ。」

「気ぃつけてね。」


2泊分の荷物をまとめたリュックを背負って、手にはお土産の寒干大根が入った紙袋を持つ。玄関まで行くと、後ろから桜がやってきて、送り出すようにこう言った。


「今年の冬はジャム勝通おうね。」


いや、それプレッシャーやって。


 昼間の暑い外の世界に踏み出した俺は、いつも乗っているのとは逆側のバス停を目指す。それにしても、9月とは思えないほどの暑さだ。


「あっつ」


バイトは基本的に朝行って夜帰るってのがずっとだったから、この暑さにはあまり慣れていない。その暑さを紛らわすように、両耳にイヤホンを突っ込んで当たり前のようにロックを流す。あれ、これってさらに暑くなるんちゃう?まあ、気にせんとこ。


 バス停に着いて、当たり前のように5分くらい遅れたバスに乗り込む。こんなんやったなと1ヶ月半前のことが懐かしく思えてくるあたり、この夏休みは結構濃かったんやなと思う。


 福井駅まではすぐ。そこからハピラインに乗って敦賀まで。そしてそこからはJRで京都までだ。今日は湖西を通るルートで行けるから、乗り換えが格段に少ない。帰ってくる予定の電車は湖東経由だから少し多いので、余計楽に思えてくる。


 雄大な琵琶湖を左手に南下。窓の外をみながら電車に揺られること2時間。その間は電波が悪かったりするのでオンラインゲームはやめておく。味方に迷惑かかるからな。


 だからWeb小説を漁る。春からちょいちょい読み進めたり、一気にガサッと読んだりした小説の更新分が積まれているから、2時間なんてあっという間。


 京都駅に着いた俺はまた乗り換えて、東福寺に向かう。近鉄乗り換えとかそんなのもあるけど、これが一番楽だからな。


 と言いつつ、少し腹が減った。時間も夕方の5時をもう過ぎようとしている。朝昼兼用で1食しか食べてきていない腹はもう限界だ。


 コンビニで値引きシールが貼られた小さなスイーツを1つ食べ、今度こそ東福寺に向かう。東福寺にはすぐに着いて、また乗り換えだ。


 聞きなれた音楽、聞きなれた表示。青地に白文字の案内の通りに歩いて、改札をくぐれば京阪のホームだ。もう夕方なので、出た時よりは涼しく感じる。


「まもなく、準急、淀屋橋行きが……」


聞きなれた音声案内と共に、いつも乗っていた緑色の電車が入線してくる。少しだけ懐かしい気持ちになって、俺はそれに乗り込んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ