そーさくきょーしつ②
創作教室と言っているが、自分の創作論とかを共有する交流会に近いものだ。
「プロットってどうやってるん?」
加瀬さんがそうみんなに問いかける。今日揃ったメンバーは6人。3年生の偏野先輩と2年生のいつもの3人、そして俺たちだけ。全員物書きだから必然的にそっちの話になっていく。
「駿人っていつも書いてないんだっけ?」
「書き方が分からんくてな。」
「そういや、高校のときもそんなこと言ってたな。」
創作初心者の俺からすると、プロットは何がなんでも全員が書くものとばかり思っていたが違うようだ。加瀬さんは書かない派のようだし、ショートショートに至っては全員が書かないらしい。長くなればなるほど書こうとするとか。
「俺の場合はこうやってるな。」
森本先輩がPCの画面を見せてくる。そこには小説のエディタサイトの中の昨日としてあるプロット制作の画面が映っていた。びっしりと文字が書かれていて、流れだけでなく伏線や重要なセリフまで書いてある。
「まずこれを書くために、1回メモでどういう流れにするかざっと書く。これは人に読まれるようなものではないから自分だけに分かるように。」
メモのところにページを飛ばすと、2万文字近いメモが出てきた。箇条書きのように並んだ文章は、小説の流れを意識して書いてあるものだろう。
「んで、それに肉付けをしていって、最後にこのプロットに書くって感じやな。肉付けは頭から順番に割と詳しめにする方がいい。」
そうやっているのかと頷きながら聞く。いつもなら噛み付いている木崎先輩も今日は静かだ。そんな木崎先輩が口を開いた。
「それを大まかなラインとするのはいいとして、そこから外れたくなったらどうする?」
「基本的には外れないことが命かな。朱莉みたいに日常系ばっか書く人は外れることなんてザラだと思うけど、俺とか偏野さんみたいな異世界ファンタジー系書く人って、自分で考えたところから外れたら崩壊するから。」
ほえーと頷く木崎先輩。加瀬さんも頷いて納得している感じだ。
「1年生ズはこんな感じで言ってることわかる?」
「はい。」
「まあ、自分でやってみないことには。」
「そうだね。小説なんて書けば書くほど上手くなるからさ。」
書けば書くほど上手くなるか。そういうのは作詞と同じなんだなと思う。自分のインスピレーションをいかに落とし込めるか。それは経験で変わってくるものだ。
「私も高校時代とは作風変わったからなぁ」
偏野先輩がそう呟く。それを聞き逃さなかった木崎先輩は笑って偏野先輩に問いかけた。
「高校時代はどんな作品を書いてたんですか?」
これは脱線するな。