さあ、始めるか⑤
RINEのアンケートで団体名の投票があり、団体名が『魚包《うおぱお》』に決まった。ということで、SNS班の本格始動である。
「やらなあかんことは?」
『Xとインスタ、あとは企業向けのやつは先輩に頼まれた』
SNS班は4人。一応やらないといけないSNSは3つだが、団体の活動自体を紹介する動画や、それらSNSのサイトに飛べたり、活動内容を紹介するためのホームページ制作もしないと、効果はあまり見込めないだろう。
そしてそれらのアカウント作りや仕事を全て、今度ラジオで紹介するまでに終わらせないといけない。後手後手に回りに回ったスケジュールだ。軽く死ねる。
「割り振りはアンケでとるな。どれがいいか選んで。」
俺はそう送ってアンケートを制作する。話に上がったSNSと動画やホームページの係を決めていこうというものだ。全員の既読はすぐにつき、アンケートもすぐに終わる。
結果としてXを俺と宮城が、インスタを俺以外の3人が、企業向けのものを蒼空がやることになったが、ホームページや動画制作に関しては誰も立候補しなかった。動画制作は俺が何とかできることを伝えるとして、問題はホームページだ。
HTMLを通ってきていたらいいものだが、残念ながらそんなものは通ってきていない。もうこれはどちらかと言うとプログラミングに近いものになってくるから、死ぬほどめんどいし、一朝一夕で何とかなるものでもない。
だから誰かに任せれたらよかったのだが……
『この中で1番PC強いの由良やからやってーや』
『僕もあんまりできる気しない』
『俺は他の班の運営とかも任されてるから頼みたい』
完全に俺がやる流れである。過労死するぞ、これ。
「なあ……」
「私にそんな技能ないで」
試しに桜に助けを求めてみるも、あっけなく断られてしまう。桜はこの前録った音声をサンプリングして、それを音MADっぽい音楽にしてもらっているから、これ以上作業量を増やすのは申し訳ないか。
あと考えられるのは大阪のやつら……無理か。技能は持っているけど、まともなものを作ってくれる気がしない。もうやるしかないのか……
「決心はついた?」
「まあ、諦めって書いて決心って読むんやけど。」
俺は「やるわ」とメッセージを送る。でも、大きな問題があるのは桜も分かっていて、
「私も手伝うわ。色遣いとか特に。」
「頼む。仕事増やしてごめんな。」
「ええよ、それぐらい。」
そう言ってくれた桜に心から感謝する。