情報屋
「おかえりなさいませ。ご主人様」
あれから約1週間が過ぎた。
昼はこのメイド喫茶で働き、夜はイナンナに手ほどきを受け身体はかなり疲れている。でもおかげで
「危ないですよ。お嬢様」
転びそうになっていた女の人を後ろから支える。
「あ、ありがとうございます」
「いえ、お怪我がなくて良かったです」
危機察知能力は完全に身に付いた。私自身だけでなく、周りにも反応できるまで。それは凄く良いことなんだけど
「ルイ様。素敵すぎる……」
「尊い……」
「あのクールな感じが好き」
「ルイ様ー。チェキお願いします」
「はい。本日はどのような姿勢で?」
「か、壁ドンとかお願いしても?」
「もちろんですよ。お嬢様」
相変わらずこれには慣れない。ってか慣れたくない。だいたい何よ。壁ドンって。なんでこれでキャーキャー言えるのか全く分からないよ。サボったらフロットさんに怒られるし。
そんなこんなでどうにか私はやっていっているけどいつまで此処を拠点にして活動するか悩んでいる。私の目標はあくまでも魔王の討伐。その為にはもっと情報を集めたい。そしてその情報を知っていそうな人を私は知っている。
「フロットさん」
「なんだ?」
閉店後フロットさんの元へ行く。
「フロットさんってただお店のオーナーって訳じゃないですよね?」
「……どういう事だ?」
「フロットさんと……お店で働いているカラフィちゃんは別の仕事してますよね?」
「言っている意味が分からない」
「お金ですか?情報屋さん」
そう私が告げるとフロットさんはゆっくりと溜め息をつき
「……私をそう思った理由は?」
そう言いながら椅子に座った。
「お店での動き方観察させて頂きました。ただのオーナーでは有り得ない動き方をしているのも見させて貰いました。カラフィちゃんもです」
「ルイは確か」
「職業勇者。言わなくても知ってますよね。フロットさんなら」
そう言うと1枚の紙を渡される。
「……人身売買」
「ああ。この街では違法だ。だから裏でこういう組織がいる」
「それが」
「もしかすると魔王に繋がっている可能性もある」
「……お金は?」
「いや、いらない。ルイの働きでメイド喫茶も順調だ。売上も上がった。それで十分だ」
「ありがとうございます」
「ただ、これは私個人の頼みになるが」
1枚の写真を渡され
「もしその組織にこの人がいたら連れてきて欲しい」
写真に写るエルフ。写真で分かるくらい強い女の人だ。
「分かりました」
「よろしく頼む」
フロットさんから感じたのは寂しさだけだった。




