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プロローグ

「あの時私にこの力があればあんたに殺されなかった!」

 女は身体に似合わない大剣を振りかざした。

「この程度の斬撃で私を殺せると思うな!もう1度殺してあげるわ」

 屈強な男は攻撃を受けてもなお立ち上がる。

「これで終わりだあぁぁあああ!!」



「腹減った…」

 夢から覚めた俺はそう呟く。

「しかしやけにリアルな夢だったな」

 寝るつもりはなかったが気付けば寝ていたのだろう。真っ暗なボロアパートの1室。ガスも水道も電気も止まっているこの部屋。

「今何時だ?」

 外から明かりの差すはずの窓は外から黒い何かで覆われていて朝か昼か夜かさえ分からない。今日が何日かさえも分からない。

「…っと」

 立ち上がろうとするも体に力が入らない。あー。こりゃ本格的にマズいな。このままいけば多分1週間以内に死ぬだろう。まあ、楽になれるならそれでも良いか…。力なくそのまま地面に落ちる。このままあいつに何の復習も果たせないのか。それだけが心残り…。


「あー。可哀そうな死に方でしたね」

 なんだ…?眩しい光の先に誰かいる。誰だ?と声に出したいがなぜか声が出せない。

「あー。今体を創り直しているので声出せないんですよー」

 のほほんとした口調でそいつは話を続ける。

「あ、心の声は聞こえますからー」

〈ここは?〉

「死の淵ですねー。んー日本で言う三途の川的な?」

 は?

「まあー、藤宮悠一【フジミヤユウイチ】はー残念ながら亡くなったってことですよー」

 そいつはのほほんとした口調のままそう告げる。

〈死んだ?〉

「そーですよー。いわゆるひとつの虐待死♪あ、母親は逮捕されましたからー」

 こいつに悪気はないのだろう。ないのだろうがすげームカつく。ってか結局死んだのかよ俺。あいつに復讐出来ないまま。

「ところでー。親より先に死んだ子供ってどこに行くと思いますー?」

〈よく言われるのは賽の河原〉

「そーでーす。正解。でもですねー問題があるんですよー」

〈問題?〉

「はい。昔に比べー医療が発達した現在ではー子供の死者数は減っているんですよねー。」

 まあ、確かにそうだろうな。

「ところがですよー。貴方のように虐待で殺されるー。いじめはどんどん陰湿になってー自殺者は増えるー。もー三途の川の方たちもどうしたらいいか分からないんですよー。こんな辛い目にあったのにー、更に地獄でいじめるとかー。もう賽の河原の方たち困って困って」

〈で?〉

「私が任命されたんですよー。その子供たちを助けるためにー。もうこれ責任ばりばりある仕事なんですよー。もうてっぺんとったどー!って気分ですよー」

〈はあ・・・〉

「なんですかーその反応―。せっかく生まれ変われるのにぃ」

〈・・・え?〉

「どうしましたかー?」

〈俺生まれ変わるの!?賽の河原とか裁判とかなしに!?〉

「そーですよー。ちゃんと話聞いてくださいよー」

〈いや、1言も言ってねえじゃん!!〉

「あれぇー?そうでしたっけ?」

〈・・・ポンコツ〉

「まぁそー自分を卑下しないでいいですよー」

〈いや。お前のこと〉

 こいつどこまで楽観的なんだよ。

「良いんですか?そんな事言って」

〈何だよ?〉

「いまーあなたの体治しているの誰ですかねー?」

〈・・・は?〉

「私ですよねー。そんな酷いこと言われたらー手元がくるってー」

 何する気だおい!

「さ、藤宮悠一。あなたは私女神であり地獄の使者」

〈いや、どっちだよ!〉

「もーうるさいですね。今私が決め台詞言うんですからー黙っていて下さい」

〈自分で決め台詞とか・・・〉

「おほん!あーあーあーテステステス。聞こえますか。うん。問題ないですね」

〈・・・〉

「では改めまして。女神であり地獄の使者イナンナの名において藤宮悠一を女勇者ルイとし異世界に転生させ魔王を退治していただきます。アーユーレディ!」

〈おいまてこら!今!女勇者とか異世界とか聞こえたぞ!〉

「ゴー!!」

「覚えてろよー!!」

 あ、声出た。めっちゃ可愛い女の子の声。






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