表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】エドラックは通りかかった「だけ」なのに!?【300万PV感謝!】  作者: ひろしたよだか


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

77/201

76)連合議会②

「では、説明いたします。まずは時系列に沿って発生した出来事を申し上げます。少々長くなりますが、ご清聴をお願いいたします。その後、個々の件の詳細の説明や質疑を取りたく思います」


そう前置きをして、バーンがアラクネの騒動からのあらましを話し始める。


ロッセンの第一妃がアラクネという魔物に取って代わられていたこと、アラクネの手により王や一部家臣の意識誘導が行われ、危うくキロル鉱山への侵攻、および魔族との開戦寸前であり、ギリギリのラインで企みを防いだことが伝えられる。


クロト達は知らなかったが、各国が情報を共有していたのは、アーミーアント以降の事件だった。


アラクネの件に関しては魔族が主犯だったこと、王家の乗っ取りなど国家を揺るがしかねない事象が含まれていたため、情報の取り扱いは慎重を極めたのだ。


そのためアラクネの件を聞いた各国から漏れ聞こえるのは押し並べて驚きの声と、困惑の声が入り混じったものとなった。


バーンは意に介さず続ける。


次に説明されるのはアーミーアントのオベリア砦の襲撃である。

この件に関しては、アメリアの奇跡の鐘と共に各国へ広く知られているため、皆淡々と話を聞く。


次は闇奴隷商の暗躍と、ハンベット卿およびヘカトンケイルの件。ハンベット卿が言った「ドラグロア」という組織の件。


続いてファウザの軍の中枢部にいた、カイロンの裏切りと思われる失踪まで話が及ぶ。


「以上が今回、短期間に起きた事件の表層です。ここからは順々に現状をお話し致しますが、この時点で何かありますか」


発言は無いので続ける。


「まずはアラクネの件ですね。アラクネは現在も拘束中ですが一日の大半を沈黙で通しており、残念がら有益な情報はほとんど得られていません。ただし、魔王や魔族の関連を聞き及んでも無関心を決め込んでいたアクラネが、試しにドラグロアという組織を貶めてみると、若干の反応を示しました」


「若干の反応とは?」マルメの大使が問う。


「言葉こそ発しませんでしたが、明らかに殺意を持った目で睨みつけてきたと担当官より聞いております」


「担当官の印象だけですか?」


「はい。ですが、立ち会った兵全てが感じ取れるほどの殺気とのことでしたので、信用に値するかと」


「しかし、都合のいい矛先ができたので、魔族領との関係を隠すためのフリでは?」ランカータの大使だ。


「ええ、これだけなら。しかし、こちらに控えるエル・ポーロの皆さん、当時はクロトさん、アメリア姫、シーラの3名でしたが。。。この3人は私とともにアラクネに立ち向かった面々です。その際にアラクネは魔王に対して忠誠を誓っているようには思えない発言をしました。アメリア姫、いかがですか?」


バーンから水を向けられたアメリアが立つ。


「この場で偽証を行わぬことを誓います」と手を胸に当ててから話し始める。


「バーンが言ったことは事実です。細かな言い回しは違うかもしれませんが、アラクネは魔王をあの腰抜けと呼び、笑わせないでほしい、なぜあのような者の下につかなければならない。忠誠を誓うのはただひとり、それは魔王では無い。と、確かに叫んでいました」


前後の会話も思い出しながらアメリアがなるべく正確に伝える。


「クロト殿、シーラ殿、今の発言に相違はありますか?」


バーンの呼びかけに2人は「相違は無い」と返す。


すると、ゲラントが宜しいかな? と議長に発言許可を求めた。頷く議長。


「アラクネの件に関して、各国に提案したいことがある。聞いた通り、現状で魔王の差し金である可能性が低いことから、一度ハナムへ情報を共有する使者を送ってみようと思うが、いかがか? ヘカトンケイルに関しても同様であるな」



「魔族と情報共有、、、?」


「今回の件が魔族のせいである可能性も完全否定できたわけでは、、、」


「休戦中とは言え、敵国だぞ、、、」


各国からは厳しいの意見が上がる中、最初に賛意を示したのはファウザ。


「我々も当事国の一つとして、今回の件は魔王絡みでは無いと言う印象を受ける。ハンベット卿やカイロンが魔族に組していたと考えるより、内容から別の組織があると考えた方が自然だ」


そこで一旦言葉を止めて、逡巡してから再び口を開く。


「私はその組織が、誘拐事件のようにハナムにも何らかの策を仕掛けている可能性を懸念している。ロッセンや我が国に戦争をけしかけているのなら、ハナムから戦争をしかけさせようと画策している可能性も考えられる。こちらに戦争の意思はないと言う意味合いも含め先手を打つべきだと思う。ゆえに情報共有に賛成する」


「だが、ハナムが弄した策であった場合は、こちらの動きが筒抜けになるのでは?」マルメの文官が発言する。


「万が一ハナムが元凶であれば、その時はこちらに大義名分が生まれる。中立を守る獣人諸島連合も我々を支持することになるだろう。政治的な駆け引きとしても悪くない手であると思われる」そうファウザの大使が答えた。


「ハナムと隣接し、ハナムの謀であれば真っ先に窮地に晒される2国が良いと言うのであれば、当国に異存はない」


マルメとファウザのやり取りを聞いていたエルトラの大使が賛同の意を示す。


「そうですね、エルトラの大使がおっしゃる通りですかね。ただ、条件が1つ。ハナムへの使者は各国から出すべきかと」


ランカータの大使の提案に「無論だ」とゲラントが応じたことで、マルメも一応の賛同を示すこととなり、ハナムへの使者派遣が決定。早急に使節団を構成することとなった。




「では次に、アーミーアントについて。こちらは偶発的な発生ではなく、人為的な禁術による可能性がほぼ確定しています」


そうですよね、アーヴァント殿? とバーンがアーヴァントに起立を促す。


「こちらのアーヴァント殿は、アーミーアントの発生源の調査団の学士団長であられた。ゆえに禁術について考察をお聞かせ願いたい」


「調査団の団長? エル・ポーロのパーティメンバーでは?」エルトラの後方に座っていた者から質問が飛ぶ。


「然り。私はアーミーアントの発生源の調査後、エル・ポーロ一行のヘカトンケイルの対応など、ファウザへの貢献の褒賞として、ファウザ王よりエル・ポーロへの協力の勅命を受けました」


「なるほど、失礼した」質問した文官が引き下がると、アーヴァントが目礼。


「さて、アーミーアントの発生の要因となった禁術であるが、召喚術と呼ばれる物である、現地の調査の結果ー」


アーヴァントが専門用語を交えて、自然発生ではないことを説明。時折、質問を受けながら一通りの解説を終える。


「そしてこの召喚術であるが、ファウザ国内で別の場所、おそらく首都を狙ったであろう位置から未完成のものが発見されている」


と、アメリアが提唱していた「アーミーアントによってオベリアに意識と兵を集中させて、ファウザの首都ガノーを狙う」と言う可能性についても言及。


「発言を希望する」と手をあげたのはファウザの大使。議長がどうぞと促す。


「エル・ポーロ一行がファウザを発ってからもたらされた情報だが、造反者カイロンの私財の中から、いくつかの禁術の研究の跡が確認されている。肝心の召喚術に関する書などは発見されていないが、アーミーアントの召喚に関して、カイロンが一枚噛んでいる可能性は非常に大きい」


「では、そのカイロンと言う男が捕まらなければ、再びアーミーアントが生み出されると言うことか?」


マルメの文官のつぶやきは、その場の全員がカイロンの危険性を理解したと思わせた。


「それで、カイロンと言う男の手がかりは?」


ロッセンの文官の質問にファウザの大使は首を振る。


「実は、軍部で所有していたイエロードラゴンが盗まれていたことがわかった。状況的にカイロンだろう。イエロードラゴンを手にしている以上、大陸のどこに逃げ込んでもおかしくはない」


「では、現時点をもって、カイロンは王国連合共通の危険人物として大陸全土での指名手配。各国一級犯罪者として対応することで宜しいかな」イグナシアの提案に反対意見はない。


議長よりイグナシアの提案が採択されたことが宣言される。


「捕獲は生死は問わず。と言うことで良いでしょうかな?」ザーバルの質問に


「できれば捕らえて情報を引き出したいが、危険性を考えれば生死は問わずと考えます」とはファウザ大使。



ここで一旦休憩となり、各国は魔族領への使者の選定と、カイロンの指名手配のための本国への連絡などに走る。


クロト達も一度大きく息を吐く。


そして僅かな休息の後、会議はまだ続くのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ