表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】エドラックは通りかかった「だけ」なのに!?【300万PV感謝!】  作者: ひろしたよだか


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

53/201

52)その名は黒術(仮)

「クロト、君は魔族との亜人とのことだな?」


「正確には獣人の血も入っているけどな」


有無を言わさずに講師となったアーヴァントの指導は、「まずは知ることだ」と座学からのスタートだった。


ちなみに「せっかくなので君たちも聞いておきたまえ」との講師の言により、全員が参加。なぜかブックも参加。


小さい声で「客人の護衛という大義名分で堂々とサボれるなら参加しない手はない」と言っていた。ちゃっかりしてんな。


「ふむ、この際獣人の血は関係ない、、、いや、全くないわけでないが、法術をコントロールすると言う点においてはさしたる影響はない」


話しながら一番前にある講義用の白板に2つの四角を書く。


「法術と魔法の違いはもう聞いたとのことだったな。では、まずこの2つの四角を箱としてみてくれ。右はクロトの中の魔法を使うための魔力を貯めている魔力タンク。左は法術を使用する際に、空中にある魔素を一時的に取り込むための魔素タンクと考えてくれ」


クロト以外も黙ってコクリと頷く。全員が頷いたのをみてアーヴァントが続ける。


「当然、普通の人間、あるいは魔族はどちらか1つの箱しかない。だがおそらく君の体内にはこのように2つの箱がある。そして、おそらくだが」


書いた2つの箱を消して、今度は2つの箱が重なった絵を書き直す。


「私は今、君のタンクはこのようにちゃんと分けられていないものと考えた。なので、取り込む魔素と放出しようとする魔力がお互いにぶつかっている状態だな。結果、オベリアの爆発や、先だっての遺跡のおかしな火力の放出が起きたと推察している」


「そこまでは分かった、それでどうやって分けるんだ」


「ふむ。そもそも私としては分ける必要はないと思う。むしろ、この2つの箱を1つの箱にしてしまう方向でいろいろ試してみたい。そうすれば外と中の両方のエネルギーを使って、より強力な法術? 魔法? もしかするといずれでもない全く新しい概念のものになる可能性があるな。ふむ、まずは名称を考えるか。呼び方が定まらないのは良くない」


それは一番後回しでいいんじゃないかと思ったが、ジュリアが「はいっ」と元気よく手をあげる。


「クロトさんの名前をとってクロ術がいいと思います!」


なんでもいいけど俺の名前をつけるのは勘弁して欲しいとクロトが訴えた結果、間をとって、クロ=黒として「黒術こくじゅつ(仮)」として話を進めることになった。


ジュリアが再び「はいっ!」と手をあげる。


「アーヴァントさんは魔法も詳しんですか?」


「ふむ、ジュリア君良い質問だ。私は魔法についてもある程度の知識はある。宝具は魔法でのみ反応するものもあるからな」


なるほど、宝具マニアならではの知識というわけか。


「じゃあ、私に魔法を教えてもらうこともできますか?」


「構わん。クロトの指導と一緒に適性があるか試してみよう。交換条件といわけではないが、ジュリア君の弓も見せてもらえるとありがたい。もちろん大切に取り扱うことは約束する」


宝具に関しては本当に妥協しない男、アーヴァント。


結局ジュリア立ち会いの元であれば弓を触っても良いという許可がおり、表情はあまり動いていないが、本当に嬉しそうだった。


その後は今後のスケジュールなどを確認して座学は終了。実戦に移る。


「アメリア達も一緒に訓練するのか?」


「はい。王国連合でも最高峰に位置する法術の都で、指導するのはその中のトップクラスですから、クロトさんとジュリアちゃんの合間に見てもらうつもりです。私の場合は腕輪の件もありますし」


「私も同じ理由だな。こんな好機を逃す手はない」


「自分もせっかくなんで見てもらおうと思います」おい、ブック、お前は帰れ。


連れてこられた実戦場は透明な素材で囲まれた半円形の空間だった。


「ここは強力な法術の研究などで使用している場所だ。特殊な加工を施しているので、よほどのことがない限り破壊されることはない。クロトはまず、ここで思いっきり黒術を放ってもらおう。我々は外側から見ている」


「っても、そもそもその発動方法が分からんのだが」


「特別なことをしなくても蒼月の手甲が触媒になるはずだ。今まではなるべく法術を使わないようにと意識していたと思うが、今度は逆に法術を使うと強くイメージして手甲に伝えるような感じでやってみろ。先入観がない方が自然体でやりやすい感じが掴めるからな。うまくいかなければ別の方法を指示しよう」


法術を使うイメージなぁ。パールが明かりを灯した時って、槍の先に力を集中していた、、、ように見えたな。


とりあえず眉間から手の先にエネルギーを送り込む感じにしてみる。手の先が暖かくなってきた、、、ような気がしないでもない。


なんともふわふわした感じではあるが、一応力を貯めた気にはなったので両手を握って腹の横に揃える。


「よし、行くぞ!」

気合を入れて、右拳を前に突き出す! 。。。。。。突き出す! 。。。。突き出す。。突き。。。


念のため左拳を突き出して見たが、何も起きない。


みんなが見ているあたりを振り向いてみると、少々気の毒そうな表情が見える。いっそ笑ってくれ。。。


アーヴァントに至ってはこちらを見てもいない。


割と早々に心が折れて静かに両手をおろした頃、アーヴァントの声が響く「どうした? もう終わりか?」と。


「終わりも何も、なんも出ないが?」


「ふむ。では、そのまま向こうにある的を殴りつけてみろ」


全くなんのアドバイスにもなっていないことを言うアーヴァントだったが、教えてもらっている身なので、ひとまず従ってやることにする。


ポツネンと立っている人型の的に、先ほどの恥ずかしさも込めて拳を叩きつけっ、、、、、そこから俺の意識は飛んだ。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「よし、行くぞ!」気合とともにクロトが突き出す拳。


しかし何も起きない。


「何も起きませんね、、、」ギャラリーを代表するようにアメリアが呟く。


「ふむ。いや、しかしこれは、、、?」アーヴァントはローブから見慣れぬ機器を取り出して凝視している。


「なんです? それは」


「ああ、これは宝具の発動状況を確認するために私が開発した「宝具力見える君2」だ」


「宝具力見える君?」


「ああ。ある宝具のかけらを使って、近くにある宝具を見つけ出すために作ったのだが、今の所、宝具が発動状態になっていないと反応しないのが課題だ。未発動でも反応するようになれば素晴らしいのだが、、、」


「えーと、その見える君? 何か分かるんですか?」


「無論だ。見てみろ」皆がアーヴァントの手元を覗くと、方位磁石のような”宝具力見える君2”の針が、右に大きく震えていた。


「針が振れていると言うことは、今、宝具が発動しているはずだ。つまり、、、」そのまま自分の世界に浸るアーヴァント。


しばらくすると、なんの反応もなく悲しげにこちらを見つめるクロトの姿が。


今の所、アメリア達は気の毒そうに眺めるしかない。


すると、アーヴァントがふいに顔をあげ「どうした? もう終わりか?」と言った。鬼かな。


「終わりも何も、なんも出ないが?」


「ふむ。では、そのまま向こうにある的を殴りつけてみろ」


しぶしぶと言った感じで人型の的に向かってとぼとぼ歩いてゆくクロト。的の前に立つと拳を振り上げ的に叩きつけた。


ドガぁぁあああああああああああぁぁぁん


耳をつんざくような爆発音と閃光、消し飛ぶ的。衝撃で吹っ飛び転がって壁に激突するクロト。


急転直下の地獄絵図である。


「クロトさん!」慌ててアメリアが治療に向かう。その後をシーラとジュリアが追う。


「なんだ今の、、、」その場に佇み、空いた口が塞がらないブック。


一方のアーヴァントは非常に満足げな顔で「なるほど、そういう宝具か。さすが俺の”宝具力見える君2”だ」と満足そうに頷いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ