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【完結】エドラックは通りかかった「だけ」なのに!?【300万PV感謝!】  作者: ひろしたよだか


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5)旅人と姫は企む

謁見の間に躍り出たアメリアは、人質にされた実父を見て、溢れんばかりの悲壮感を伴って叫ぶ。


「お父様の代わりに私が人質になります! そのまま国を出るまでは私の命で保証します! どうか、お聞き届けくださいませ!」


「断る。お前よりコイツの方が人質の価値は高いだろう」


すげなく断り、王をつかんでいる手に、少しだけ力を込める「ヒィッ」と言う王の小さな悲鳴が、謁見の間に妙に響いた。


「貴方に命を助けていただいたと、褒賞をお父様にお願いしたのは私です。今の状況は私の落ち度、私の命であればいくらでも差し上げますので、どうか、どうか。。。」


祈りを捧げるような姿勢で、膝をつき頭を下げるアメリア。騎士達は固唾を飲んで見守る。


「分かった」


「では!?」


「いや、今、王を手放すわけにはいかないな。娘を犠牲にして斬られては敵わん。ただし、王都を出て安全な場所まで行ったら、そこから王国を出るまでの人質として交換してやってもいい」


「なっ」思わずと言ったように、近衛騎士の間から声が漏れる。

先ほどよりも明らかに殺気が濃くなる。中にはもはや掴みかからんばかりに、柄に手を掛け目を剥いている者もいる。


こわっ、目飛び出しちゃうんじゃないの? 大丈夫?


「それで構いません」


再びざわつく謁見の間。


「アメリア姫様! それではこの暴漢の思うツボではないですか!?」


「このような者! すぐにでも切り捨ててご覧に入れます!」


「静かに。王を助けるためです。では、このまま城の外に……」


「まて、姫、お前が一番後ろを歩け。騎士達は姫に手が届くより20歩は離れろ。姫は騎士が少しでも近づいたら声を上げろ。定期的に後ろを見る。声を上げずに騎士が近づいてきたら、王も姫も斬る。それと、、、そこの赤い鎧の、この間の馬車に一緒にいたやつだな、お前が俺の前を歩け、騎士が近づいてきたら斬れ。斬らなければ当然、王の命はない」


赤い鎧の騎士、シーラは黙って頷く。


こうして王を人質にして、俺は城を出たのだった。ここまではだいたい予定通りである。



~人質騒動のちょっと前の馬車の中の話~


「助けるかどうかは約束できないが、アメリア達はどうしたいんだ?」


「そう、ですね、、、私の命が狙われたとなると、強硬派はいよいよ手段を選ばなくなってきていると言う事でしょう。本来ならお兄様と協力して、内々に鉱山侵攻を押しとどめ、お父様、、、王を説得したいところでしたが、仕方ありません。隣国へ嫁いだお姉様を頼り、王国間で横槍を入れるのが、今の私にできる最良、、、ではないでしょうか。どうかしら、シーラ?」


お茶を淹れた後も入り口を警戒し、立ったままのシーラに水を向ける。


「他国が絡むとなると、私にはなんとも、、、」


少し困った顔で答えるシーラ。


待てよ? その隣国とやらに行くのなら、このまま向かってしまえばいいのでは?


そうすれば俺も特に労を執る必要はない。なんだったら国境付近までなら一緒に行ってやってもいい。


もちろん、ここから先は依頼として賃金は貰うが。そう、思ったまま口にしてみる。


「いえ、お姉様が嫁いだのはこことは正反対、東のマルメ国です。向かうには王都を迂回することになりますが、おそらく逃げた護衛から強硬派に連絡が行くはず。マルメ国に向かうとわかれば、王の命に従わず反乱の意思ありなどでっち上げて、今度こそ兵を差し向けるか、あるいは国境を無理やり封鎖して捕らえるか。何れにせよあまりうまい手とは言えません」


「はー、よくまあ、そんなところまで考えられるな」


素直に感心。正直、助けた時は箱入りのお嬢さんかと思ったが、これはなかなか、え? 幼いように見えて実は年上?


違ったらしい。見た目通りの18歳だって。「政争は幼い頃からですので」と。末恐ろしい娘……。


「とにかく一旦城に戻って、なんらかの理由をつけて城を出るしかないのか」


「そうですね。ですが、先ほどの通り、私が東へ向かおうとすればどんな理由であれ警戒されるでしょう。一番現実的なのは、夜の間に城を抜け出し国境を強行突破かと。そのためにクロト様、いえ、クロトさんの力をお借りしたいのです」


「強行突破の護衛役ってことか」


「はい。今の王宮内の者では、私が絶対に信頼できるのはシーラだけです。そこで王宮の息のかかっていない、実力も申し分ないクロトさんに護衛していただければ、国境突破は可能だと思います。もちろん褒賞はしっかりとお渡しします」


なくはない手だとは思うが、王都を出たのがバレて追われた場合、この姫様が逃げ切れるのかどうか。


そんな風に見ているのがバレたのが、アメリアは可愛らしく頬を膨らませて言う。


「これでも私、馬にも乗れます。戦闘向けではないですがヒールやガード系の法術も使えます。今回は慰労団の長ということで、姫としての役割を優先していましたが、城の一室に籠るような娘ではないのですよ。ね、シーラ」


「はい。アメリア様は多少の冒険ならものともしないでしょう。ですが、流石に初対面のクロトにはわかりませんよ」


と、苦笑しながらフォロー。そのやりとりだけで、アメリアとシーラが長い時間を過ごしてきたことがわかる。良い主従関係だな。


ふーむ。アメリアが思ったより動けるとしても、それでも視界の利かない夜間、訓練された騎士に追われるのは明らかに不利だ。


最悪追い立てられて離れ離れになる可能性すらある。面倒だが、ちょっと乱暴な手を取るか。


「なぁアメリア、要は国境まで行く大義名分があればいいんだよな。ちょっと乱暴な手でもいいか?」


「え? はい。それは、よほどでない限り、、」


まぁ、余程かもしれんけど。なるたけ人が死なない様に脱出するつもり。多分。



そうして俺は、王を人質に取った。


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