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【完結】エドラックは通りかかった「だけ」なのに!?【300万PV感謝!】  作者: ひろしたよだか


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4)旅人は頼られる

クロトが助けた馬車の中にはこの国の姫と、その騎士がいた。


「それで、アメリア姫様がなんでこんなところに?」


「公的な場でもありませんし、アメリアで良いです。ましてクロト様は私達の恩人」


「こちらも様付けはやめてください、マジで超落ち着かない。様付けやめたらこちらもアメリアと呼びますので」


「わかりました。では、様付けはしませんがクロトさんも敬語はやめてください」


というやりとりがあって、馬車の中。


シーラがお茶を淹れてくれる。ビシッとした鎧を着込んだ凛々しい騎士が、優雅な手つきでお茶を入れるのは、思った以上に不思議な光景だな。


先ほど蹴散らされた護衛の半分くらいは戻ってきて、外の警備をしてくれているのでとりあえず安心。


もちろん、野良ドラゴンの縄張りからは移動済みだ。


「それで、なんでこんなところにいるんだ?」


アメリアとシーラが顔を合わせ、頷きあう。


「表向きは、この先にある砦の兵士の労い。ということになっています」


「表向き?」


「はい。多分ですが、私は命を狙われたのだと思います」


「え?そういうの、行きずりの旅人に明かしちゃっていいの?」


「現在の王国内部の人間よりはよっぽど安心かと」


アメリアとシーラの話を要約すると、こうだ。


ロッセン王には4人の子がおり、長女は別の王国に嫁いでいるため、国内の王位継承権は長男、アメリア、次男と続く。


それぞれに派閥のようなものがあり、利権なども絡んでいるらしい。


本来であれば長男が継承して終了となるはずなのだが、長男は妾の子であり、第一妃の実子である次男との派閥争いが激化している。


また、王は第一妃に頭が上がらず密かに次男への王位継承を考えているが、第一王子である長男は優秀で温厚、臣下の期待も厚い。


ここで無理矢理に次男に継承させるようなことがあれば、最悪国が割れかねない。


そこで、次男に「王にふさわしい」と思わせるだけの功績を作ってしまえばよいと考えた。


狙いをつけたのはキロル鉱山。この鉱山は国境の砦のすぐ先、魔族領との緩衝地帯にあり、良質な鉱石が産出されることで知られている。


戦争中、この鉱山を巡って王国と魔族で衝突があったらしいが、結果的に鉱山の一時閉鎖に繋がってしまった事もあり、現在はどちらにも属さない諸島連合の鉱山師の集落を作り、公平に双方に販売する事で安寧を保っていた。


このキロル鉱山をロッセン王国が独占することができれば、5王国の中の発言権も大きくなり、来るべき魔族との戦いも有利に進められるに違いない。そして制圧を指揮した次男こそが、我が国の次期王にふさわしい。という雑なシナリオ。


ところが、キロル鉱山への侵攻に異を唱えたのが、長男とアメリア。


「魔族どころか、鉱山師を派遣している諸島連合とも無駄な争いや軋轢を生む」と強く反対。


ちなみに渦中の次男は言われるがままとのこと。


もちろん臣下の中にも反対するものが少なくなく、この計画は頓挫するものと思われた。


そこに降って湧いたのが「魔族領との最前線で日々身を粉にして警備している、西の砦の慰労をするべきだ」というイベント。


次男派の家臣からの提案で、やはり慰労に向かうなら見目麗しい第二王女がご足労いただいた方が、兵たちも嬉しいであろうとはその家臣の弁。


なんだか、きな臭くなってきたなぁ。


一応話としては筋が通っているので、アメリアも了承するしかなく、慰労旅団を結成。


そこに加わった護衛の半分が帰ってこないということは、馬車の御者も含め、次男派の息がかかった者達だったのだろうとはシーラの談。


ここからは想像の域を出ないが、と、シーラは前置きしたが、おそらく野良ドラゴンの縄張りである事も分かった上で突っ込んだのだろう。


もしここでアメリアが死ねば、魔族の差し金として攻め込む名分にしたのではないか。同時に、キロル鉱山を擁護した長男は、魔族をかばって、この事故の遠因を作ったという因縁をつけて発言権を減らそうとしたのでは。


「特にこの馬車は窓もなく作りも頑丈で、外の状況がわかりにくい。何かの襲撃を受けたのは気配でわかっても、私が姫のそばを離れた隙に、隠し扉などから賊が侵入してこないとも限らないため、後手を踏んだ。そこにたまたまクロトが通りかかってくれたのだ」


アメリアが言葉を繋ぐ。


「ドラゴンをたった一人で撃退するその実力。王国の息のかかっていない貴方が、この場に居合わせたのはまさに奇跡」


あ、姫。姫様や。その話ちょっと待って。なんか嫌な予感がするから。


「どうか私たちの窮地をお救いください」


そう言うと、一国の王女が頭を下げたのだった。

次回も読んでいただければ嬉しいです

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