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【完結】エドラックは通りかかった「だけ」なのに!?【300万PV感謝!】  作者: ひろしたよだか


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3)旅人は姫を助ける

そもそもクロトが王宮で近衛兵とにらみ合う状況となったのは、この国の第二王女、アメリア姫を行きがかり上助けたことが始まりだ。


ロッセン王国の西部、魔族領にほど近い場所を通りかかったクロトは、そこで野良のイエロードラゴンが馬車の一団に襲いかかっているのを見かけた。


イエロードラゴンはドラゴンとしては小型で、人に馴れやすいため、難易度は高いが乗り物の一つとして使役されることもある。


だが、人の管理下にないイエロードラゴン、いわゆる野良ドラゴンも当然存在している。


野良ドラゴンは野生の本能から縄張りを持ち、自分の縄張りを荒らされた場合、襲ってくることがあるのだ。


ただ、野良ドラゴンの縄張りは広く巡回の頻度も低い。


巡回に見つからなければ問題なく、追われても逃げれば執拗に追ってくることはないため、一旦逃げて野良ドラゴンが去った後に進めば良い。


なんなら野良ドラゴンの縄張りをマッピングして売り歩き、旅費の足しにしている奴がいるくらい。


旅慣れた者や知識のある者にはそれほどの脅威はないが、襲われている馬車は、逃げずに縄張りを強引に突っ切ろうとしたようだった。


小型のドラゴンとはいえ、人の3倍ほどの大きさはある。戦闘となればドラゴンはドラゴン。多少腕が立つくらいの人間が集まったところでひとたまりもない。


野良ドラゴンの特性も知らないようでは、おそらくそれほど腕の立つ集団ではないのだろうと見ていると、案の定簡単に蹴散らされ逃げ出す始末。


興奮した野良ドラゴンは、馬車など平気で握りつぶす。


目の前で中の人ごと握りつぶされる光景を見るのは、流石に寝覚めが悪い。クロトは即座に加速ブーストを使用し、野良ドラゴンと馬車の間に割って入った。


「お前にはなんの恨みもないが、ちょっとすっ飛んでくれよっと」


野良ドラゴンは闖入者に狙いを変え、爪を光らせながら襲いかかる。


だが、クロトはその爪を掴み、思い切りぶん回す。


2回、3回と回転しながら狙いを定めて手を離せば、遥か彼方へすっ飛んでいく野良ドラゴン。


おそらく地面に落下して、いっとき気絶くらいはするだろうが、死にはしないだろう。


クロトは飛んでいく野良ドラゴンを眺めてから、ゆっくりと馬車へ向かってゆき、中にいるであろう人に声をかけた。


「おーい、大丈夫か?」


反応がないので馬車の扉を開けてみれば、明らかに貴族のそれとわかる豪奢な内装。馬車だと言うのに革張りのソファまで完備してある。


その中心には赤い鎧を着た女騎士と、その騎士に抱えられている少女。


「貴殿は? 貴殿が助けてくれたのか? 礼を言う。名はなんと?」


女騎士が一方の手で少女を庇うように包みながら、片方の手で手を求める。


「たまたま通りかかったから一応助けたが、無事で良かったな。クロト。エドラック=クロトだ」


「それでも助けてもらったことに代わりはない。私はモリエト=シーラ、ロッセン王国の騎士団に所属している」


「なるほど、この豪華な感じで王国騎士団所属ってことは、その子は貴族の娘さんか。しかし、モリエトさん、中でじっとしていたのは愚策だな。危うく野良ドラゴンに馬車ごと握りつぶされるところだったぞ」


「シーラでいい。危ないところだったのだな。外の状況が掴みにくかったのだが、私はこのかたのそばを離れる訳にはいかなかったのでな。警護の奴らは何をしていたのか、、、」


「え? 蹴散らされて逃げてたよ?」


「あいつら、、、なんと不甲斐ない。」


シーラが頭をかかえる。


「シーラ、もう大丈夫なら、離して、きついです」


「これは失礼しました。大丈夫ですか」


腕からもぞもぞ出てきたのは、将来間違いなく美人になるであろう顔立ちに金の髪と緑の目が特徴的な17、8歳ほどの美少女。

ただし腕から逃げ出したばかりで髪はボサボサだ。


「あなたが助けてくれたのですか?」


「はぁ、まぁ」


髪を手櫛で整えながら、澄ました顔で革張りのソファに座り直す。


「本当に助かりました。感謝します」


「あ、はぁ」


間抜けな受け答えをする俺。誰だかわからないので、どう対していいのかわからん。


「えっと、どちら様?」


「失礼、名乗りが遅れましたね、私はー「姫!」」


金髪少女が名乗ろうとするのをシーラが止める。それを手で制し


「良いのです。シーラ。と言うか、あなた今もう姫って言っちゃってますよね」


ん? 今、姫って言った?


「私はロッセン王国の第二王女、ロッセン=バルデ=アメリアです。改めて助けてくれてありがとうございました」


と素敵な笑顔で言った。


俺は、めんどくさそうなの助けちゃったな、と思った。

ここまで読んでいただいてありがとうございます。次話も読んでいただけると嬉しいです

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