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2)旅人は王様を盾にする

「ワシが、侵略者、とな?」


クロトにそのように指摘された王は、重々しくそう言った。


そんな王の様子を見ながら続ける。


「今、この世界にある大きな3つの勢力。5王国がまとまった王国連合。隣接する魔族領、北方の獣人諸島連合。この中で戦争したがっているのは誰でしょう?」


王は黙ったままだ。クロトはさらに言葉を紡ぐ。


「アンタらが魔族領、魔王軍と呼んでいるハナム。代が替わったここ10年ほど戦う意思を見せていない。むしろ平和への方法を模索しているようにさえ見える。にもかかわらずこの国の王は無駄に戦争を仕掛けようとしている。互いに手を出さなければ何も起きないのに、わざわざ火種を投げこもうとするアンタが侵略者だろ? 違うか?」


クロトの周辺の殺気がひときわ濃くなり、カチャリと、剣の音もする。


「それは物を知らぬものの言葉よ。現に10年前までは我らと魔族は血で血を洗う戦いを繰り広げてきた。奴らの息の根を完全に止めねば、真の平和は訪れぬ」


「争わなくて済むものを、わざわざ争ってまで手にする平和とはなんだ? 5王国の中でトップに立ちたいのか? もっと領地が欲しいのか?」


王は沈黙し、手を胸元に上げる。


「西の砦に向かえと言ったな? さしあたってアンタが欲しいのは中立地帯のキロル鉱山か?」


王の手が降りる。


「斬れ「瞬足ブースト」」


王が言った瞬間、クロトは急加速スキルを発動、その場にいる全員の視界から消えた。


「逃すな!」「遠くには行けぬはずだ!探せ!」


怒り狂い真っ赤な顔をした近衛兵の怒号が飛び交う中、一人だけ真っ青な顔をした男がいる。王だ。


「みなのもの、、、動くな」


先ほどまで居並ぶ20の近衛兵より遠い場所で謁見していたクロトが、瞬きの瞬間、王の首にダガーを添えている。


王は絞り出すように言った。


「このようなこと、、、許されると、、思うか、、もしここから生きて出られても、貴様は連合王国から追われることになるぞ、、、」


「どうかな? 王国も一枚岩じゃないと聞くぞ? 例えば欲の皮の突っ張った国王に苦い顔をする国もあるんじゃないか?」


しかし、とりあえず王を人質に取ったが、ここからどうしたもんか。


流石に王を盾にして傷つけでもしたら、理由はともかく王国中から追われるわな。


ちょうどそこで転がっているコロンコロン君も捕まえて盾にして、謁見の間を強引に切り抜けるか? あいつならどうなってもいいだろ。多分。


見た感じタフそうだし。


だが、近衛騎士達との長期化しそうな睨み合いは、思わぬ形で終わりを告げる。


謁見の間の入り口から赤い鎧をまとった女騎士と、女騎士よりふた周りは小柄な少女が現れ、少女の方が声を張り、叫んだ。


「お父様の代わりに私が人質になります! そのまま国を出るまでは私の命で保証します! どうか、お聞き届けくださいませ!」


あ、思ったより早く姫が来た姫がきた。それじゃあ作戦開始だな。

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