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「えっ…」
「強いモンスターも、多少はこの世界におるからのぉ。まぁ一度くらいなら生き返してやれなくもないが…」
「本当ですか!?」
生き返してもらえるなら、少しは安心して過ごせると喜ぶ。
「ただ、多少は条件があるのじゃがな。わしが他の世界に行ってる時や、見てなかったら無理じゃな。あと回復魔法が使えない程体がバラバラになったりしてもダメじゃ。もちろん寿命で死んでしまってもじゃ。」
いろいろな条件を聞きながら、だんだんと暗い表情になっていく。
「運が良ければって、ことでしょうか?」
「そういうことじゃのう。」
「ちなみに、車の下じきになってる俺の体に、その回復魔法をかけてもらって、地球に帰るって事はできないんでしょうか?」
なんとなく疑問に思った事を省吾は口にする。
「地球には、魔力がないから無理なんじゃよ。どうしても地球にって事になると、転生や転移じゃなくて輪廻転生になってしまうのじゃ。そうなると記憶はもちろんすべてリセットされてしまうから、もうお主とはいえんじゃろうのう。さて、どうするのじゃ?」
「それじゃあ、さっきの世界に転移で。」
そう指座したのは、田舎風景が広がる映像が流れた惑星だった。
それを聞いて、微笑みながら頷く老人は杖を省吾の頭の上の方に向けて、振りだした。
「お主が生活するのに困らん程度には、力をさずけるのじゃ。そして言葉や文字じゃな、次に服装。」
キラキラと省吾に光が降り注ぐ。
「これで、よいかのう。」
すると杖を上に投げて掴むと、杖は鍵になっていた。その鍵を惑星に差してまわすと先ほどまで映像を写していたが今度は扉になる。省吾はあまりの急展開に着いていけず立ち尽くす。
「これって、すぐに行くかんじですか?」
振りかえるとそこに老人はいなくなっており、鍵が刺さった惑星の上に黒猫が乗っていた。
「そうじゃな、ずっと世界を繋げておけるほど、わしも力がないのじゃよ。すまないのう。」
「えっ!?じゃあ最後にひ…」
「時間じゃ。お主に幸多からんことを。」
そういうと黒猫は省吾に向かってジャンプしてきてその勢いのまま、肉球でおでこを押す。扉は勝手に開き、背中から吸い込まれるようにして省吾は落ちていく。
最後に見えたのは、鍵に手を伸ばそうとしていた女神だった。女神は省吾の視線に気付き微笑み、そして鍵を閉めるように回してぬくと同時に、扉も閉まり消えていった。