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烏の飛翔

作者: レイヴン

丑三つ時。

 この時間になっても企業統制都市<ビィクティム・シティ>は眠ることを知らない。


 ビィクティムシティは企業の統制を認める代わりに一部の技術を都市の開発に利用している先進都市だ。そのため、大陸の各地に存在する多くの他の都市に比べ、その技術力は抜きん出ている。


 都市ごとの経済戦争においても、幾度も利益を出している。


 大企業<ビィクティム>は電気工学を専門とし、その最先端を行く。その経営理念は行き過ぎた利己主義により、自企業の利益の為ならば社員からも実験の被害者が出るほどである。


 また、安全性が実証されていない、実験段階にある技術をビィクティムシティに提供してデータを取るなど、非人道的な面も存在する。

 

 そのビィクティムシティでは今、経済戦争により勃発した騒乱が起きていた。

 

 災害や敵から都市を守り、天候の影響を受けない巨大なドームの下、鋼鉄が火花を散らしながら道路上を突き進む。


 大企業ビィクティムの研究施設に繋がる道路、周囲をビルに囲まれたその直線に動きがあった。


 シャッターのみのコンクリートの建造物のシャッターがガラガラと音を立てて開いていく。開ききると同時に不格好な機体が現れる。


 拠点防衛型四足歩行機<椋鳥ムクドリ>はタランチュラのような脚を忙しなく動かして、道路上に出る。一車線ごとに四機並び、斜めにつけられた装甲板が展開される。

 本体の2倍ほどの大きさになった装甲板の下部から鉄の杭が道路に孔を作る。機体前面に付いた4枚の装甲板が一つの<壁>と化す。


 その<壁>の手前の交差点から()()が飛び出して来る。


 全長15メートルほどのその機体は黒をベースとした機体色をしており、右肩が白く塗装されている。その肩には機体の半分ほどの長さの砲筒を備え、片手に携行マシンガンを持っている。


 二足歩行機の中でもかなり人間に近い形をしており、ビィクティムのデータ照合にも反応しない。


 企業の中でも最先端を行くビィクティムだ。

 そのデータ照合に反応しないということは市販の機体ではない。他企業の実験機か、そうでなければ傭兵団体、それも一握りに絞られる。


 その未確認機は道路上の車を跳ね除けながら速度を落とすことなく<壁>へと近づいてくる。

 刹那。<壁>から銃身が飛び出した。<壁>の一部に穴が開き、細長い円筒が構えられる。

 4門の銃身から徹甲弾が発射され、マズルフラッシュにより装甲板が怪しげに浮かび上がる。


 未確認機は背部のブースターにより、<壁>の上方に躍り出る。

 肩の砲筒から発射された榴弾が椋鳥の後ろの空間に着弾する。


 爆風により、周囲の建造物のガラスが派手な音を立てて割れる。


 装甲板を展開した椋鳥はその場を移動することが出来ず、放射状に広がる爆炎に呑まれた。


 椋鳥が呑まれた爆炎を越えて着地するや否や、未確認機目掛けてエネルギー弾が放たれる。

 未確認機は前方に移動しつつそれを避ける。


 全長約20メートル、逆関節で機体下部にブースターを4門、背部に2門つけた3次元戦闘を得意とした機体、


 二足歩行型実験機<ケリ>が未確認機を見下ろす。


 未確認機は鳧を一瞥するが、攻撃する事なく下を通り抜けようとする。


 真下を通る直前、鳧が鋼鉄目掛けて落ちる。

それを待っていたかのように、未確認機が機体を軋ませながら減速する。


 予測した位置に敵機がいないことに気付いた鳧は、しかし、一撃で仕留める為に速度を出していたため、足の先から出していたエネルギーのブレードを道路に突き刺す。


 未確認機と鳧がゼロ距離で睨み合う。


 着地の衝撃で鳧の関節から「キリッキリッ」と独特の音が響く。

 未確認機は腕部内蔵型ブレードを起動し、強烈な光を放つ短刀が手の形をしたマニピュレーターから飛び出した。


 脚部のブレードを消した鳧は未確認機から離れようと身を縮めるが、縮めた為に狙いやすくなったコクピット部分を的確に狙った一撃が鳧を屠る。


 鳧は心臓部を焼かれ、物言わぬ金属の塊となった。


 椋鳥と鳧を倒した未確認機は、先へ進むべくブースターを吹かす。


 未確認機以外動くものが無くなった道路上に、増援部隊が到着する。


 未確認機の前後の交差点から椋鳥が現れ、道路を封鎖する。

 鳧が周囲の建造物の影から躍り出る。


 未確認機──否、汎用戦闘二足歩行機<八咫烏(ヤタガラス)>は敵の数を確認する。


 椋鳥が銃身を突き出す。

 鳧が跳び、道路上に降り立つ。


 八咫烏は一番近い鳧へ、携行マシンガンを向けた。

評価4以上頂けたら書きます。

好意的な感想を書いてくれたら書きます。

書きたくなったら書きます。

とりあえず続篇を書く気はあるので乞うご期待。

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