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お嬢様が冒険者なのは仕方がない6

馬車を走らせてから既に2時間が立っていた。

丁度タナトス領からお隣の王家直轄地のアルウエン領に入った所だ。

「そろそろおやつ……」


何せ今朝から何も食べていない。


空腹だよ。


そう思いながらユリアナを見れば盛大にため息を吐かれた。


「ではこれを」


そう言って手渡されたのは携行食の硬いパンと水だった。


「えっ。少ない」


袋から出されたそれは、一食分の三分の一にもならない量だった。


「もう直ぐクラウス様の館に着きますから昼食はそこでとの事です。クラウス様の前でみっともなくお腹が鳴らない程度だけお食べ下さい」


鬼……鬼がいます。


ニコリと微笑むユリアナが鬼のようだと思った。


だって、それなら馬車に乗った時に寄越してくれたらもう少し多く食べれたよね。


私は恨めしくユリアナを見たが、ユリアナはそれを楽しそうに見ている。


本当に鬼だよね。


そして、馬車は一時間位でクラウスの館へと到着した。


つまり、クラウスは自宅を立ってから三時間も掛かった事になる。


逆を言えば7時に我が家へやって来たクラウスは4時に自宅を出たのでは?

そんなに早起きだったっけ?

クエストで何日か一緒の時もあったが、クラウスは決して早起きではなかった。


なのに何故今回はこんなに早く起きたのか?

そんなにタナトス辺境伯の令嬢に早く会いたかったのか?

そう言えばお姫様抱っこしていたし……。


ムムムム……と頭を抱えてしまう。



「お嬢様。クラウス様がこちらにいらっしゃいますから姿勢を直して下さい」


キビキビと注意するユリアナ。


「分かっているわよ」

ユリアナの方を見ながら姿勢を直すと馬車の扉が開いた。


「では、ささやかですが、我が家で昼食を」

そう言って手を差し出して来る。


あのクラウスが紳士だ!!

気持ち悪い。


そう思ってクラウスを見れば何故か微笑まれてしまう。


イケメンだけど、慣れないな。


でも、クラウスの性格を知っているからあえて言わせて貰えば、わざわざ遠回りをして自宅へ戻る理由が分からない。

そう。

遠回りなのだ。



「食後に少々お願いしたい事があるのですが」


クラウスは胡散臭くそう言った。

だから思った。

『やっぱりな』と。


お読み頂きありがとうございます。

また読んで頂けたら幸いです。

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